5 - 賦得詠靑(1/2)
菅家文草(菅原道真)
「青を詠ずということを賦し得たり」
正色重冥定
生民万里睇
寄書仙鳥止
干呂瑞雲低
馬倦經丘岳
車疲過坂泥
雨晴山頂遠
春暮草頭齊
井記鳧張翅
田看鶴作蹊
正色(せいしよく) 重冥(ちようめい) 定まる
生民(せいみん) 万里(ばんり) 睇(み)る
書を寄せむとして 仙鳥(せんてう) 止(とどま)る
呂(りょ)に干(ふ)れむとして 瑞雲(ずいうん) 低(た)れり
馬倦(う)みて 丘岳(きゆうがく)を 經(ふ)
車疲れて 坂の泥(こひぢ)を過(よ)きる
雨晴れて 山頂 遠し
春暮れて 草頭(さうとう) 齊(ひと)し
井(ゐ)には鳧(かも)の翅(つばさ)を張るを記す
田には鶴の蹊(こみち)を作(な)すを看(み)る
「正しい色のひとつとして青が定まる。人々が万里にわたり見わたせる」(1-2)
「手紙を寄こそうと仙鳥がとまる。律呂にふれようと、瑞雲が低くたれこめてくる」(3-4)
「馬はくたびれつつも、丘や山を越えていく。車も疲弊しながら、泥道の坂を進んでいく」(5-6)
「雨はあがり、遠くに山の頂が見える。春は終わりに近づき、草がひとしく伸びてきた」(7-8)
「井戸には鴨が翼を休めている。田には鶴が足跡を残していくのが見える」(9-10)
重冥:青空
律呂:律と呂、音階のこと
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