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5 - 賦得詠靑(2/2)

菅家文草(菅原道真)

「青を詠ずということを賦し得たり」

水衣苔自織
天鑑霧无迷
髣髴佳人家
潺湲道士溪
鋪蒲今未奏
紋竹古應稽
故意霞猶聳
新名石欲題
明經如拾芥
迴眼好提撕

水衣(すいい) 苔 自(おのづか)らに織る

天鑑(てんかむ) 霧 迷(まど)ふことなし

髣髴(はうふつ)たり 佳人(かじん)の家

潺湲(せんくわん)たり 道士の溪(たに)

蒲(がま)を鋪(し)けども 今(いま)奏(そう)せず

竹を紋(あや)にすること 古(いにしへ) 稽(かむが)ふべし

故意(こい) 霞(かすみ) なほし聳(そび)え

新名(しんめい) 石 題せむことを欲(ほ)りす

經(けい)を明(あきら)むること 芥(あくた)を拾ふが如し

眼(まなこ)を迴(めぐら)すこと 提撕(ていせい)するに好(よ)し


「水中の青苔はあたかもみずから衣を織っているようだ。天が見ているので、霧の中でも迷うことがない」(1-2)

「家のなかにはほのかに美女が見える。道士の谷にはさらさらと水が流れている」(3-4)

「蒲を敷いても、いまは演奏はしない。竹が紋をなした故事を思い起こしてみるとよい」(5-6)

「古くからの意志は、青雲のようにそびえている。その新しき名を石に刻んでおきたい」(7-8)

「経書に通じることは、ごみを拾うように簡単なものだ。後進を指導するには、目でしっかり見ることだ」(9-10)

・水衣:青い苔
・潺湲(センカン):さらさらと水が流れるさま
・提撕(テイセイ): 弟子などを教え導くこと


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