吉本問題への既視感の話をしたい。

若干今更感漂う話題ではあるが「ベテランvs若手」みたいな構図になっていた頃があったと思う。
吉本の体制を非難する若手と、「こういう時に乗っかりやがって」「不満があるなら辞めろ」と言うベテラン。
ベテランを老害と言ってしまうのは簡単だが、ここで私はある既視感を覚えることがあった。

というのも、今は異動して別部署だが、当時すっっっっごく嫌いな直属の課長がいた。
40人近く部下がいるのに話しやすい部下にしか物を頼まない。そうでない私達は眼中にないって感じに思えた。

私の3つ上のA先輩に物を言いつけることが多くて、明日有休を使う人が重なっちゃって人員が足りなくなりそうだ、となった時に「お前これどうすんだ」とA先輩に対して延々言っているような人だ。

A先輩は平社員だし、「部下の休暇の問題なんだからどうにかするのはあんたの仕事だろ」と私は思っていた。

さらにA先輩がある文書を作った時、一桁の数字は全角、二桁以上は半角で入力していた。課長は「なんで半角と全角が混じってるんだ統一しろ」と指摘する。
その場にいた元総務の私は「総務の文書と同じ形式ですよ」と口を挟んだ。課長は私にはなにも答えず、A先輩に総務へ確認に行かせた。

後日、総務から文書形式についてのマニュアルが全社に配布された。結局A先輩の作った形式が合っていた。

……と、まあなにかにつけてこんな調子だったわけなので私がA先輩に直接「なんでもああいう風に言われるの大変じゃないですか」と訊いたところ
「でも課長も大変だからさ」と、別に苦に思っていない様子。

課長は私が入社する前、係長手前ぐらいの平社員だった時に、超ブラックだった部署でものすごく頑張っていらっしゃったと聞く。A先輩はその時同じ係にいた直属の後輩だ。

要するに、A先輩にとってその課長には「お世話になった先輩」としての恩がある。私にはそれがない。最初から課長という人間に対する見え方が違うのだ。

年度末の面談で私が上層部にその課長に対する私見を述べたところ
「他の社員からも同じような意見を聞いている」
とのことだった。つまり私ひとりが感じていることではなかった。

面談は入社順、つまり私より先に面談しているのは私の後輩達ということだ。やっぱり世代による違いなんだなあと感じた。

「私達側にとってのその課長が、吉本の会長社長にあたるのだろうな」というのが私の覚えた既視感である。
会長社長に恩を感じている世代が、吉本が大変な時に彼らを非難する若手に文句が出るのも仕方のないことかもしれない。

けれど私は若手側の立場として、実際に恩を感じてないのに尊敬するのは難しいんだよな、と思う。
吉本のような大きな組織で、全員が同じ気持ちになるのがどだい無理な話なのだ。

とはいえ吉本の芸人さんにたくさん笑わせてもらっている私としては、なんとかしていい方向に向かってほしいな、と切に願っている。

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