接待と賄賂と天下り

川崎重工による海上自衛隊に対する金品提供事件に関連し、個人的経験に基づき述べさせていただく。

川崎重工は、メーカーの中でも個人商店的な営業活動する傾向がある企業として知られている。

川崎重工業、海自隊員に金品提供か 十数億円流用疑いも
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF03BJ50T00C24A7000000/


報道となった件であるが、十中八九、天下りが手引きする形で現役職員のニーズを聞き出し、対応した可能性がある。そうやってシエアを広げてきた企業とみていい。

メーカーでも財閥系、かなり歴史ある古い企業はそんなことはしない。同種の防衛装備品を納入している、三菱重工やIHIにて同様のケースを疑う方もおられるかもしれないが、もしあったとしても例外的な扱いと考える。

個人的には、現場にいた時に、向こうから頼まれて寿司屋と温泉にワリカンでお連れしたことがある。

一般論となるが、自治体許認可事業とて、接待、賄賂、天下りと無縁ではない。
自治体が大規模イベントを計画した場合を想定したい。たとえば、東京オリンピックの場合、招致を確実なものにするために帳簿に載ってない膨大な裏金を必要としたようだ。IOC役員に対し???を提供して招致決定に持ち込んだはずである。会うのにも金が要る世界の話である。
イベント主催組織が、裏金を直接受け取れない東京都に代わり、窓口となって裏金(裏協賛金)を受け取り、その金で招致活動の原資としたことが考えられる。金品提供の見返りとして認可される場合、資力ある事業者が選ばれることになる。
自治体に寄付の受付窓口がある。ひょっとすると、許認可の事業者が殺到した場合の優先順位付けの評価のモノサシになっているかもしれない。
実は、イベント主催団体に出向した際、出展企業から個人的に裏金をせしめた人物を知っている。それ以来、裏金は大規模イベントに付き物と思うようになった。

一方、元自治体幹部からは、昨今の社会事情等から、業者から接待を受けると「サラリーマン人生が終わる」との話を聞いたことがある。が、接待と言われないために、職場の忘年会等の二次会を(業者指定の)特定の飲食店で実施することにより、特定の認可事業者がこっそり支払っているケースが考えられる。

銀行でも、バブル崩壊の影響で倒産した、日本を代表するあの長期信用銀行はちょっと知り合いになっただけでご馳走いただいたことがあった。倒産した四大証券の一角だった証券会社、独立系の商社は、営業マンが交際費予算をたくさん持っていた。受注拡大目的で、天下りOBを介して役職者に金品を手渡ししようとした企業もあった。

「接待は文化だった時代」があったのは確かである。

一応、接待、賄賂等に手を染める企業について、経験的にわかっていることがある。

・天下り受入れ
・財閥企業でない
・資本的には独立系
・一代で規模拡大
・経営者がワンマンあるいはカリスマ傾向
・シエア拡大にこだわる
・経営者個人に利益が吸い上げられる収益モデル
・社風的に個人商店的
・経営方針と実態の齟齬発生

受注拡大、許認可、目的がどちらであろうと傾向的に変わることはない。名刺交換した際の、相手の目つき、雰囲気でなんとなくわかるものなのだ。
許認可事業でも裏で金が飛び交うという噂がある。
金は事業者だけが動かすのではない。メーカーや工事会社絡みのケースもある。

社会的影響を考慮すると、政権与党の裏金問題など大した話ではないのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?