保安規程と消防法の関係(LPガスの場合)

都市ガス事業については許認可官庁は経済産業省ですが、LPガス(販売)事業については、許認可権限下部委任されている関係で、自治体(主に都道府県、政令指定都市)が認可する案件となります。
消防法は所管官庁は総務省なので、官庁立場的には、許認可権限に係わる経済産業省の法律が上位となります。

関係部局等に問合せした際、「消防法に合格した設備なので問題ない」という言葉を何度なく聞かされましたが、上位の法律が存在する以上、消防法に合格した設備であっても「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」の規定に合致する必要があります


つまり、「消防法」は設備単体(構造、仕様等)、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」は事業者としての対応全般の在り方を規定しているとみることができます。

「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」(いわゆるLPガス事業法)では、保安業務を行う義務、保安業務規程の認可について、それぞれ第二十七条、三十五条にて定めています。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=342AC0000000149

第三章 保安業務
(保安業務を行う義務)
第二十七条 液化石油ガス販売事業者は、その販売契約を締結している一般消費者等について次に掲げる業務(以下「保安業務」という。)を行わなければならない。
一 供給設備を点検し、その供給設備が第十六条の二第一項の経済産業省令で定める技術上の基準に適合しないと認めるときは、遅滞なく、その技術上の基準に適合するようにするためにとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその供給設備により液化石油ガスを供給している液化石油ガス販売事業者に通知する業務
二 消費設備を調査し、その消費設備が第三十五条の五の経済産業省令で定める技術上の基準に適合しないと認めるときは、遅滞なく、その技術上の基準に適合するようにするためにとるべき措置及びその措置をとらなかつた場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知する業務
三 液化石油ガスを消費する一般消費者等に対し、液化石油ガスによる災害の発生の防止に関し必要な事項であつて経済産業省令で定めるものを周知させる業務
四 液化石油ガスによる災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該液化石油ガスに係る一般消費者等からその事実を通知され、これに対する措置を講ずることを求められたとき、又は自らその事実を知つたときに、速やかにその措置を講ずる業務

(保安業務規程)
第三十五条 保安機関は、保安業務に関する規程(以下この章において「保安業務規程」という。)を定め、その認定をした経済産業大臣等の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 保安業務規程で定めるべき事項は、経済産業省令で定める。
3 第一項の認可をした経済産業大臣等は、その認可をした保安業務規程が保安業務の適確な遂行上不適当となつたと認めるときは、その保安機関に対し、その保安業務規程を変更すべきことを命ずることができる。

保安に関することなので、一般論として広義な解釈が可能となります。テロ対策上の設備不備、不審者侵入対策設備不備、通学路への配慮不備、住宅地に設置する場合の保安上の配慮不備等(いわゆる特殊事情等)を想定する必要があるということです。

上記保安業務に係わる記述から、消防法は、保安(設備の運営管理全般)について定めた法律ではないことがわかります。

以上から、LPガス設備に関しては「消防法に合格した設備なので問題ない」という解釈は完璧ではなく、消防法の検査に合格しかつ「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」の保安等に関する規定に合致する必要があると言う趣旨で説明とすべきとなります。

ちなみに、電気事業において保安規定は、許認可官庁(経済産業省)との対応において、法律の世界で言うと憲法なみの位置づけとなります。電力会社において、保安規程は、設備関連の最上位の社内規則です。LPガス事業者の場合も当然そうなっているはずです。しかし、LPガス事業者の中には、その趣旨が理解されず徹底されていない企業が存在します。

LPガス事業において、「消防法に合格した設備なので問題ない」などとする解釈は、LPガス事業法の保安規程の要求事項を知らないか見落としによる解釈と考えざるを得ません。

そして、当然のことですが、LPガス事業法にて保安規程条項が存在している関係で、LPガスタンクの所有者が誰なのか、不明確な状態であることは、一般消費者等の立場からみて「LPガス事業における保安上の重大な問題」、「公衆安全維持・確保上の重大問題」として扱われることとなります。

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