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東証が上場企業に求める不祥事対応原則(東証プリンシプル)

ガスヒートポンプ等設置工事を取扱う上場企業(特に工事会社)が、手抜き工事等により公衆災害等発生させたを想定、東証側はどういう扱いとする方針なのか、東京証券取引所HP情報を整理してみました。


・関連サイト

上場会社における不祥事対応のプリンシプル
https://www.jpx.co.jp/regulation/listing/principle/index.html

上場会社における不祥事予防のプリンシプル
https://www.jpx.co.jp/regulation/listing/preventive-principles/index.html

コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/nlsgeu000005lnul.pdf


・東証組織内対応部署

所管は上場部のようです。

東証組織図
https://www.jpx.co.jp/corporate/about-jpx/organization/01.html


・情報受付窓口

公衆災害案件等発生した場合等、情報受付すると読みとれます。

上場会社の上場適格性に関する情報受付窓口
https://www.jpx.co.jp/regulation/mail/disclosure/index.html

上記情報の中から、上場企業による工事にて、施工不良等の問題(不祥事等)を発生させた場合の該当しそうな事項を以下に抜粋、列挙します。


・東証が求める不祥事対応原則

https://www.jpx.co.jp/regulation/listing/principle/index.html

上場会社における不祥事対応のプリンシプル
本プリンシプルは、以下のとおり4つの原則から成るものです。

上場会社における不祥事対応のプリンシプル ~確かな企業価値の再生のために~

企業活動において自社(グループ会社を含む)に関わる不祥事又はその疑義が把握された場合には、当該企業は、必要十分な調査により事実関係や原因を解明し、その結果をもとに再発防止を図ることを通じて、自浄作用を発揮する必要がある。その際、上場会社においては、速やかにステークホルダーからの信頼回復を図りつつ、確かな企業価値の再生に資するよう、本プリンシプルの考え方をもとに行動・対処することが期待される。

① 不祥事の根本的な原因の解明

不祥事の原因究明に当たっては、必要十分な調査範囲を設定の上、表面的な現象や因果関係の列挙にとどまることなく、その背景等を明らかにしつつ事実認定を確実に行い、根本的な原因を解明するよう努める。
そのために、必要十分な調査が尽くされるよう、最適な調査体制を構築するとともに、社内体制についても適切な調査環境の整備に努める。その際、独立役員を含め適格な者が率先して自浄作用の発揮に努める。

② 第三者委員会を設置する場合における独立性・中立性・専門性の確保

内部統制の有効性や経営陣の信頼性に相当の疑義が生じている場合、当該企業の企業価値の毀損度合いが大きい場合、複雑な事案あるいは社会的影響が重大な事案である場合などには、調査の客観性・中立性・専門性を確保するため、第三者委員会の設置が有力な選択肢となる。そのような趣旨から、第三者委員会を設置する際には、委員の選定プロセスを含め、その独立性・中立性・専門性を確保するために、十分な配慮を行う。
また、第三者委員会という形式をもって、安易で不十分な調査に、客観性・中立性の装いを持たせるような事態を招かないよう留意する。

③ 実効性の高い再発防止策の策定と迅速な実行

再発防止策は、根本的な原因に即した実効性の高い方策とし、迅速かつ着実に実行する。
この際、組織の変更や社内規則の改訂等にとどまらず、再発防止策の本旨が日々の業務運営等に具体的に反映されることが重要であり、その目的に沿って運用され、定着しているかを十分に検証する。

④ 迅速かつ的確な情報開示

不祥事に関する情報開示は、その必要に即し、把握の段階から再発防止策実施の段階に至るまで迅速かつ的確に行う。
この際、経緯や事案の内容、会社の見解等を丁寧に説明するなど、透明性の確保に努める。


・ステークホルダーである住民と上場企業とのあるべき関係

https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/nlsgeu000005lnul.pdf

【株主以外のステークホルダーとの適切な協働】
2. 上場会社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であることを十分に認識し、これらのステークホルダーとの適切な協働に努めるべきである。取締役会・経営陣は、これらのステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきである。



・まとめ

意外だったことは、(いわゆるビジネス本に書いてあるとおり)現実問題として、地域社会(住民)をステークホルダーと位置づけていることです。
一般論となりますが、工事会社としてコーポレートガバナンス上の問題状態を放置(例:親会社と競合状態にある、治外法権状態の組織等が存在していること等)、杜撰な工事設計、施工管理上の手抜き、問題発生後のいい加減な処置(合理的かつ迅速でない対応処置、被害者住民対応無し、抜本対策ではない小出しの対策提案、最終確認のための立会い確認無し等)を続ける工事会社に上場資格があるとは思えません。

ステークホルダーである住民として、「迷惑行為等の対策・措置に関して上場企業に要望書等提出」する際は、当該上場企業に対し上記①~④を考慮しつつ回答いただくことが想定されます。

ステークホルダーとして納得いく回答、対応が得られなければ、東証に対応経過を報告しつつ適切な処置を求めることが考えられます。

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