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空中船舶模型2号機・製作風景

<概要>

空中船舶模型の2作目です。
例によってまず結論から。完成状態のチラ見せです。

2号機・完成

空母で運用される軍用機で、小型高速のインターセプター、という設定です。
パイロットのなかに双子の姉と弟がいて、1番機は姉、2番機に弟が乗ります。

「フリーハンドで同じ形のものを2機つくれるか」というテーマで造りました。2機の形をそろえる作業にかなり時間を取られましたし、それほど重要でもなさそうですので、これはもうやらないつもりです(苦笑)。

ただ部品については、同じものを多数つくる必要が増えていき、精度の高い作業が要求されるようになっていくため、無駄ではなかったと思いたいです。

設計図・・・?

図面だの設計図だの言っていますが、この程度のものです。
同じものを2個造るということで、型紙をとるために原寸大の図に描き直した記憶があります。

空中船舶シリーズのデザインの特徴である「着陸翼脚」ですが、この2号機にして、さっそく例外的なデザインになっています。主翼の端が直角に折れ、先端で着陸(艦)に使用するスタイルです。しかも、前脚は胴体内部に収納式で、着陸時に伸びて出てくるという反則技(苦笑)。以後、気をつけます。

製作期間は2018年 4〜5月頃です。
それでは見ていきましょう。

画像はほぼ撮影時のままで、けっこうサイズが大きいと思います。
クリックすると拡大されます。


■工程1・船体


型づくり

発泡スチロールで船体の型を作っています。
手前にあるのが設計図からとった型紙です。電熱線で発泡スチロールを切る作業は、なにか懐かしいですね。2号機の構造は、ボートのような船腹に、ボンネット状のカバーが乗ったものですので、まずそれらが一体になった、魚のような立体物をつくり、それを上下に切断し、船腹部・カバー部に分けます。それぞれに土台をつけたものを型として利用します。

カバー部の型

これがカバー部のほうの型です。
これらは、型としては「内側の型」というものです。こいつに対して紙や石粉粘土を盛っていくため、外形は型にはまらず、手作業なりの形のズレが出ることになり、後でこの調整に苦労することになります。

張り子のように

このカバー部の型に、水で柔らかくした紙を、木工ボンドで貼り重ねていきます。張り子と同様の手法です。

石粉粘土を重ねる

こちらは船腹部の画像です。
下地の紙が乾いたら、石粉粘土を薄く盛り重ねます。

各2個

同じようにして、カバー部、船腹部を各2個ずつ造ります。
よく乾燥させてから型から外します。画像の一番右のものが、型から外れた状態です。

船腹の内装1

船腹の内装を造っていきます。
厚紙をアクリルで塗り、板状に切り込みを入れ、木材の感じを出そうとしています。

船腹の内装2

内装だけで形状が出るかのチェックのため、テープで仮止めして自立させています。なんとかセーフです。

船腹の内装3

内装の感じを出すため、板に釘穴や木目を入れていきます。

船腹部に組み込む

これを船腹部に組み込みます。

構造物受け台

キールの表現のためと、あとで内部の構造物を乗せる「台」としてのパーツを中心につけます。画像の茶色い帯状のものです。

板チョコ

これは板チョコです(嘘)。
石粉粘土にアクリル絵の具を混ぜ込んで着色したもので、木材の感じを出そうとしています。キッチンペーパーの上で薄くのばし、半乾きぐらいになったら線を引いて、完全に乾いてから切り離します。船腹に貼り付ける横板の材にします。

船腹の横板1

船腹部に対し、横板を貼っていきます。

船腹の横板2

船腹部に横板を貼り終わったところです。
石粉粘土で、船腹部の板貼り構造を造るのは、やや無理があるようです。スケール的にも厚みがありすぎて、不向きだと思います。これ以降の作品では、この工程をすべて紙でやっています。

板のスキマ塗り

板のスキマから素材の白色などが透けて見えるとよくないので、先に暗い色で塗っておきます。船腹の下地も同じく黒く塗るべきですが、やり忘れていますね。

カバー部

カバー部の形を整えていきます。
粘土を盛ったり、削ったり・・・。盛るのはいつでもできるのですが「削り」は乾燥してからでないとできないので、もどかしいです。石粉粘土自体は、加工性が高く、おもしろい素材なんですが。

カバー部内側

カバー部の内側を造っていきます。
グレーのパーツが、給気口からエンジンに外気を通すパイプ状の部品です。

カバー部 船腹部 各2個

カバー部と船腹部が各2個、できあがりました。

■工程2・付属構造物


内部や周囲の付属構造物を造っていきます。

機銃 造形

内蔵の機銃です。
口径8ミリぐらいのイメージでしょうか。威力不足を2丁積みでカバーしようとしていますが、それでも火力不足で・・・、というような設定です。

機銃 塗装

機銃の塗装
模型を造っていて、とても楽しいのがこの「塗装により質感を得る」瞬間かもしれません。直前までそっけない白一色の、いかにも紙でできた立体物だったのが、色がついたとたんに質感を主張しはじめるのです。なかでも、この「鉄色」に設定している濃いグレーのときに顕著に感じます。うすうす感じてはいたのですが、この工程のあたりで確信を得た記憶があります。

折りたたみ翼

上記の「例外スタイル」の翼端です。
穴が見えますが、ここに「つまようじ」を通すことで、ヒンジ構造となります。伸ばし状態と折れ状態で90度変わりますが、自由な軸回転ではなく、一度ピンであるつまようじを抜いて固定を解除し、好みの状態で再度ピンを差し込んで固定、というスタイルです。

折りたたみ翼の本体結合

翼パーツをカバー部に取り付けます。

エンジン 造形

エンジンです。
発電と、プロペラの駆動に使用します。あとで説明しますが、構造的には、固定ピンであるプロペラの芯を差し込んで受けるようになっています。

エンジン 塗装

エンジン部の塗装です。
もうすこし細かめに造り込んでもよかったと思います。

操縦席 シート

操縦席のシートです。
使うのは紙か粘土か、どういう構造で立体化するか、なぜかいまいち決まらず、あいまいなまま成り行きで作業を進めてしまい、妙に時間ばかりかかった記憶があります。

浮遊ユニット

浮遊ユニットです。
中に○○が入っていて、電圧をかけることで重力に反する浮力が発生する装置です。大型艦ではこれが2箇所以上に配置されており、おもに前後方向の姿勢傾斜制御に使用します。この機体では、あえて球形の不安定なものを、しかも単体装備にすることでバランスを悪くし、急激な姿勢変更を可能にしている、という設定です。加えてプロペラの配置もプッシャー方式で「震電」と似たような設計思想、ということにしています。

外部燃料タンク

追加の外部燃料タンクです。
本体内に2個が標準で装備されていますが、必要に応じて外部に1個、追加で装備ができます。取り付け位置には、以下の「爆弾」を交換で装備できます。

投下爆弾

小型の自由落下爆弾です。
運動性の高い「戦闘機」に、爆弾を装備させるという運用思想は、この世界でも有効なようです。空中戦艦に対しても、爆弾の投擲という戦法がしばしば行われます。

運搬台車

空母甲板上などにおいて、人力でこの機体を移動させるための台車です。この機材程度で動かせるような、小型で軽量な機体だという設定です。大型バイク程度か、より軽いぐらいでしょうか。

フィギュア1

パイロットですが付属品扱いです。
スケールが1/20のはずですので、それに合わせてサイズとりをしています。針金の芯にアルミホイル巻き、石粉粘土盛り付けで造ります。ヘルメットの型取りを、フィギュアの頭部で直接やっています。あらっぽいですね。

フィギュア2

フィギュアの手の部分です。
薄い紙で「こより」をつくり、短く切って接着剤で手の形に固める・・・。
「この製法はなかなか工夫が効いているぜ・・・」と自画自賛していた時期が、私にもありました・・・。多少は指が動かせたり、物を持たせたりできて、いい方法だと思います。これよりマシな方法が編み出せていないので、現状ではベストです。

フィギュア3

ヘルメットです。
ちょっとデザインがよくないです。デザインそのものでなく、立体物にするときの相性が悪いデザインなのかと思います。「見栄え」がしないので、損をしていますね。

フィギュア4

フィギュアに塗装をしました。
紙で髪の毛を・・・の部分はいい案だと思いますし、造っていて楽しかったんですが。後ろ姿はまあまあです。

■工程3・全体の仕上げ


全体の仕上げ工程です。
組んだり塗ったり。一気に完成状態に近づくので、楽しみが深い工程だと言えます。

内部構造物を搭載

各部品の塗装を終え、所定の位置に固定していきます。

カバー部と船腹部を仮合わせ

カバー部と船腹部を組んでみます。
機銃の銃身をフックにして、後ろのプロペラをピンのように差し込むことで固定されるしくみです。ここでも、形状の調整で時間を食われました。

カバー部 塗装開始

カバー部の塗装開始です。
1号機が赤だったので、じゃあ次は青かと、あまり考えずに色を決めました。

カバー部 塗装とディテール追加

塗装の重ねとディテールの追加です。
リベットの穴や、表面の凸部など、細かいところを足していきます。なかなか楽しい工程です。

エンブレム作成

エンブレムの作成です。
塗装でやってもよかったのですが、くっきり感をしっかり出したかったので、紙を切り抜いて貼り付ける方法にしました。普通のコピー用紙です。1番機の姉がうさぎ、2番機の弟がヘビです。

カバー部ウェザリング

いわゆる「よごし」工程です。
絵の具を薄めに作って、塗っては少し拭き取る、乾かす、を繰り返していきます。けっこう楽しい作業なので、ついやりすぎてしまいますが、ほんとうに「きたない」感じになりますので、ほどほどに。

■工程4・台座


展示用台座を造る工程です。
空母の飛行甲板をイメージ、半ジオラマ的な効果を狙っています。

台座1

木の甲板の下の構造です。
こんなふうに鉄骨が通っているんだろうなあ・・・と、かなりイイカゲンな設計です。リアルさより、造っていて楽しい構造を優先してしまいました(テヘペロ)。

台座2

エレベーター部分です。

台座3

仕上げです。
甲板の板材を貼ったり、エレベーターのフチをつけたり。板のはがれかけ部の表現が楽しかったです。

■完成

完成展示1

完成展示状態です。
台座から、ここまではみ出す展示はありえないですね。反則だと思います。

パイロット姉

パイロット姉フィギュアです。
やはりまだフィギュアはむずかしいです。

パイロット弟

パイロット弟フィギュアです。
やはりまだフィギュアはむずかしいです。

完成展示2

できばえはともかく、制作過程がなかなか楽しかった作品です。


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