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こうさぎの読書日記マガジン

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こうさぎが書いた、本の紹介記事を集めました。
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#小説

現代版「罪と罰」/東野圭吾「白鳥とコウモリ」

このまま二人でどこかへ消え去れたなら、どんなにいいだろう、と思った。 「白鳥とコウモリ」は、大人気作家・東野圭吾さんの作家40周年を記念して幻冬舎から出版された長編小説です。 とある弁護士が殺害された事件から、物語は幕を開けます。捜査が進む中、ひとりの男が犯行を自供。殺害の動機は、かつて自身が犯し、既に時効を迎えた過去の殺人を、隠蔽するためでした。しかも、その事件は被疑者が自殺をしたことで幕を下ろした、警察の汚点とも言える案件。世間に衝撃が走る中、弁護士殺害の事件は解決し

ちょっと立ち止まって、今を見つめて/ほしおさなえ「言葉の園のお菓子番 見えない花」

「言葉の園のお菓子番 見えない花」は、ほしおさなえさんの新シリーズ第1作目です。ほしおさなえさんと言えば、「活版印刷三日月堂」を、以前こうさぎも紹介させていただきました。優しく丁寧な文章が印象的な作家さんです。 主人公の一葉は、勤めていた書店が閉店してしまい、現在失業中。そんな時に出会ったのは、亡き祖母が生前やっていた「連句」でした。 祖母に倣って、毎月季節のお菓子を持って連句の会に行くうちに、徐々にその奥深い世界に魅了されていきます。 連句を通して出会った人たちから、書店

小説×音楽の化学反応/「夜に駆ける YOASOBI小説集」

「夜に駆ける」は、コンポーザーのAyaseさんとボーカルのikuraさんからなる、「小説を音楽にする」ユニット・YOASOBIのデビュー曲です。 この小説集は、これまでYOASOBIが作った音楽の、原作となる小説を集めた一冊となっています。 私はこの本を読むまで、YOASOBIの楽曲は「夜に駆ける」しか知らなかったのですが、これを機会にYOASOBIの1stアルバム「THE BOOK」を聴き、すっかりAyaseさんの作る曲と、ikuraさんの歌声のファンになりました、ぴょ