手仕事で紡ぐ、自然の温もり/伊吹有喜「雲を紡ぐ」
「雲を紡ぐ」は、伊吹有喜さんの高校生直木賞受賞作です。伊吹有喜さんは、「犬がいる季節」でも本屋大賞にノミネートされ、いま注目の作家さんです。
学校でのいじめがきっかけで不登校になってしまった美緒は、亡き祖母が織った「ホームスパン」と呼ばれる赤い毛布を被って、部屋にこもっていました。しかし、ある日、その毛布を巡って母と口論になり、かねがね憧れていた父の郷里・岩手県盛岡市の祖父のもとへ家出をします。そこで出会ったのは、羊毛を紡いで糸をつくり、それを染めて布を織る「山崎工藝舎」の