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こうさぎの読書日記マガジン

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こうさぎが書いた、本の紹介記事を集めました。
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2022年10月の記事一覧

命を紡ぐ者の葛藤/知念実希人「ひとつむぎの手」

命を紡ぐ、ひとりの心臓外科医の葛藤と成長を描く傑作医療小説。 「ひとつむぎの手」は、知念実希人さんの本屋大賞ノミネート作です。 日々の激務に耐える、心臓外科医の平良。キャリアへの不安が膨らむ中、教授から三人の研修医の指導を任され、そのうち二人を入局させれば憧れの出向先に行くことができる、と言われる。 医局を騒がせる怪文書、心臓外科が抱える多くの問題、研修医たち、そして患者の事情……。ひとりの外科医の成長を描く、感動の医療小説です。 この本はこんな人におすすめ ①医療小

現代版「罪と罰」/東野圭吾「白鳥とコウモリ」

このまま二人でどこかへ消え去れたなら、どんなにいいだろう、と思った。 「白鳥とコウモリ」は、大人気作家・東野圭吾さんの作家40周年を記念して幻冬舎から出版された長編小説です。 とある弁護士が殺害された事件から、物語は幕を開けます。捜査が進む中、ひとりの男が犯行を自供。殺害の動機は、かつて自身が犯し、既に時効を迎えた過去の殺人を、隠蔽するためでした。しかも、その事件は被疑者が自殺をしたことで幕を下ろした、警察の汚点とも言える案件。世間に衝撃が走る中、弁護士殺害の事件は解決し