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こうさぎの読書日記マガジン

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こうさぎが書いた、本の紹介記事を集めました。
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2022年7月の記事一覧

苦しみの先の幸せへ/町田そのこ「星を掬う」

私の人生は、私のもの。 「星を掬う」は、町田そのこさんの、本屋大賞受賞後第一作目です。 「ある夏の思い出」を募集するラジオ番組。千鶴は、小学一年生の夏休みに母親と共に旅をし、「母親に捨てられた」思い出を投稿して、賞金をもらいます。 そのラジオを聞いて連絡をしてきたのが、千鶴を捨てた母親の「娘」と名乗る女性・恵真。 千鶴は母と再会を果たしますが、現在の母親の姿は、想像とは全く違うものでした。 苦しみの中で、きらめく希望を見出だす物語です。 この本はこんな人におすすめ ①

ちょっと立ち止まって、今を見つめて/ほしおさなえ「言葉の園のお菓子番 見えない花」

「言葉の園のお菓子番 見えない花」は、ほしおさなえさんの新シリーズ第1作目です。ほしおさなえさんと言えば、「活版印刷三日月堂」を、以前こうさぎも紹介させていただきました。優しく丁寧な文章が印象的な作家さんです。 主人公の一葉は、勤めていた書店が閉店してしまい、現在失業中。そんな時に出会ったのは、亡き祖母が生前やっていた「連句」でした。 祖母に倣って、毎月季節のお菓子を持って連句の会に行くうちに、徐々にその奥深い世界に魅了されていきます。 連句を通して出会った人たちから、書店