【社会人経験者】論文試験で志望先の事例を書かないと合格できないのか?

今回は、公務員試験の論文試験の「都市伝説」について解説していきます。

それは、
「論文試験で志望先の事例を書かないと合格できないのか?」
というものです。

例えば、
特別区経験者試験の政策課題論文で、
取組みの中に、特別区の事例を書かないと、
合格できないといけない、
ということです。

受験指導においても、それなりに言われていることなので、
聞いたことがある方も多いと思います。

結論から申し上げると、
そんなことはありません。

志望先の事例を入れなくても合格できますし、
論文で高い評価を得ることができます。

※資料やテーマで志望先の自治体の課題を与えられている場合は別です。
例えば、横浜市や川崎市の経験者試験の論文試験などです。

合格するための論文の書き方はは、
弊社の教材をご利用いただくとして(苦笑)、

ここでは、
なぜ、志望先の事例を入れることが指導されているかを確認していきたいと思います。

理由1:指導として分かりやすいから

論文指導をする際に分かりやすく伝えることは、非常に重要です。
なぜなら、わざわざお金を払って論文試験対策の講座を受講するくらい、「論文試験が得意でない方」が集まっているからです。

行政の取り扱う政策範囲を理解していて、
どこまでを書けばよいかを把握していて、
論文試験が得意な人材は、あまり多くないからです。

そうすると、
志望先の論文試験では、志望先の自治体を書こう!
そのために志望先のことを研究しよう!
と教えた方が、わかりやすく、受講生に訴求力があって、
志望先のことを学ぼうという方向性に誘導することもできて、
受験指導として望ましい方向を示すことができることができるわけです。

なお、
実際には、志望先の取組を把握した上で、
他の自治体の先進事例も把握する必要があります。

ここでいう「先進事例」とは、多くの自治体が抱える課題に対して有効な取組みを行っていることを意味しています。
例えば、若者や生活困窮者など、行政との接点が少ない住民向けのアプローチなどが代表的なところです。

なぜ先進事例を把握する必要があるかというと、
論文試験の「構造」上、書く必要があるからです。
政策課題式の論文試験では、出題テーマに関して、行政における課題と取組みを論じる必要があります。その取組みを論じる際に、課題に対して有効な取組みを知っていることが、いかに有利か、ということです。
他の受験生と比べて有利な立場にいることがご理解いただけると思います。

とはいえ、先進事例の自治体名を書く必要があるか、
というと、必ずしも、その必要性はないと考えています。
書けた方が説得力が高まる点は望ましいですが、
先進事例の取組みの内容や期待できる効果などを書けば十分でしょう。

理由2:予備校にとって有利になるから

予備校の提供価値として、受験情報の提供があります。
その中には、志望先の政策情報が含まれます。
このため、志望先の情報を提供できる予備校に受講生をロックインする効果を得るために指導する傾向がみられます。
今回もその一部になっている、ということです。

それ自体は営利起業として当然のことなので構わないのですが、
必要条件ではないものを必要条件であるかのように扱うことは、受験生に余計な負荷をかけることにつながりますから、控えた上で、なぜそうなのか、という点を含めて説明する方が望ましいと考えます。

以上、
「論文試験で志望先の事例を書かないと合格できないのか?」
という点について、解説してきました。

志望先の事例が書いてないから落ちると思っている受験生が一定数いらっしゃるような状況を早期に改善した方がよいと考え、取り上げさせていただいた次第です。

最後まで読んだいただいた方だけに、
これまでの添削経験・指導経験を踏まえた、有益な情報をお伝えします。

それは、事例を書く際に、「やってはいけない」ことです。
良くないのは、自治体名と取組みだけ挙げるだけ、という書き方です。

自分の答案の取組みのエビデンスとして具体的政策を示しているのに、得られる成果などが書かれていないのでは、説得力に欠けることになるからです。

本稿をご参考にしていただけると幸いです。

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