【令和5年度 特別区経験者】政策課題論文テーマ予想の答合せ
特別区経験者の試験を受けた皆様、大変にお疲れ様でした。
試験から1週間程度を経て、特別区人事委員会HPにて、令和5年度の試験問題が公表されました。
そこで、論文のテーマ予想を行った立場として、
事前の予想が、どの程度当たっていたのか?
答え合わせしていきたいと思います。
まず、事前の予想内容を掲載します。
基本的な出題パターンは、行政運営系の出題と、地域課題系の2つに分類できる。
時々、ピンポイントな政策課題が出題される(2022年①シティプロモーション)。
2題中1題を選択すればよいので、ピンポイントな政策課題は準備していなければ選ばないこと。
行政運営系とは、2022年②複雑化・多様化する区民ニーズへの対応など。
地域課題系とは、2021年①インターネットを活用した誰もが利用できる行政手続に向けた取組など。
過去の出題テーマを基に、一定数の論証パターンを準備しておけば現場で対応可能。
特徴として、よくある政策的なテーマがそのまま出題されにくいことが挙げられる。
例えば、待機児童問題、高齢者の社会的孤立、DXなどのテーマが直接的に聞かれない。
では、どのような方向性で書くことを採用者側は求めているのだろうか。
政策的な課題自体(知識)ではなく、公務員として働く上で必須、と採用者側が考えていることを聞いている。
このため、行政の職員として働くことが、どのような意味を持つのか、という観点から説明できると、高い評価を得られる可能性が高くなる。
<注目テーマその1>
○地域の防災力強化【基本】
○限られた行政資源による区政運営【基本】
○多文化共生の促進【基本】
○区民との信頼関係の構築【基本】
○地域コミュニティの活性化【基本】
○資源リサイクルの推進【政策】
<注目テーマその2>
○ユニバーサルデザインの視点に立ったまちづくり【大穴】
○区民ニーズに即した公共施設のあり方【大穴】
○自治体業務のアウトソーシング【大穴】
○個人情報保護【大穴】
○自治体の説明責任【大穴】
以上を踏まえて、当たっていたのかどうかを確認しましょう。
令和5年度 特別区経験者 政策課題論文の出題テーマは、
1 図書館機能の充実について
2 これからのイベント実施のあり方について
からの2題中1題選択でした。
事前予想と比較してみると、
ドンピシャで当たっているテーマはありません。
では、外れたのか?というと、実はそうでもないと考えられます。
実は令和5年度に出題された2題とも、基本論点の「限られた行政資源による区政運営」の派生形にすぎない、と捉えることができるからです。この点を理解している受験生であれば、どちらでも選択できて、合格レベルの答案を書くことができたことだと思います。
ただ、「1 図書館機能の充実について」は、各区の取組みを知らないと書きにくいところがあったと思います。従前の図書館としての図書等の貸出や文化的な側面に加えて、新たに防災対策や地域コミュニティの拠点としても注目を集めている点を知らないと、答案を書きにくかったと思います。
また、「1 図書館機能の充実について」を、大穴論点「区民ニーズに即した公共施設のあり方」と関連づけて論じることもできたことでしょう。
以上を踏まえると、「2 これからのイベント実施のあり方について」を選んだ受験生が多いと思います。
注意すべき点としては、「これからの」と、わざわざ出題テーマに書いているわけですから、これまで、つまり、コロナ禍以前と比べて、「これから」はどのような点の強化や拡充を目指す必要があるか、どのように取り組んでいくのか、といった点を書くことが必要だったことを指摘しておきます。この点をクリアできていれば、合格レベルの答案になったと思います。
政策課題論文については、特別区経験者採用試験は2題から1題を選択できるという受験生に有利な仕組みを採用してくれています。自分が書けるテーマを広めに準備しておき、試験当日に、出題テーマに即して回答していくことが受験対策としてポイントとなります。
以上、ご報告させていただきます。
※ちなみに、令和5年度における特別区経験者(技術職)の職務経験論文のテーマが「特別区における脱酸素化への取組」でした。今後、技術職について同じ試験形式が続く場合は、政策課題論文のテーマのうち、技術職的なテーマが上記論文のテーマとして出題される可能性があることを読み取ることができます。