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港町、大通りを海方向に進んですぐ。海沿いの道に出ると、そこは熱気で満ち溢れていた。 店員さんの掛け声や、客が注文する声。それらが道沿いの店のあちらこちらから聞こえる。 「お祭り、みたいだ」 漂ってくるご飯の匂いに、お腹が鳴る。 先ほど売ってきたお金で今日はご馳走を食べようと決意した。 【新米旅人の紀行録】港町ご飯【ご】 それにしても、人が多い。 一般客はもちろん、近隣で売ったり飲食店で使ったりするのであろう商人やそれを支える御者の姿も見える。 中には、荷
「ほぁあ……」 目の前の大都市を前に、私はそんな感嘆の息を漏らした。 縦に大きい四角い建物群。立体的に四方に広がる道。空を飛ぶ気球たち。 それらを目の前にして、私の感想は――。 「……お腹空いた」 いつものものだった。 【新米旅人の紀行録】始まりの街【いち】 美味しいものを探して旅人になり田舎から出てきた私にとって、初めての大都市というものは刺激が強すぎた。 ぐぅ、と鳴るお腹をさすりながらそう考えていると、目の前に出てきたのは旅人御用達と言っても過言では
前日、大通りに面した宿に一泊した私は、宿の一部屋ベッドの上で大きく伸びをした。窓から入る日差しが気持ちのいい、気分のいい朝だ。 ベッドから立ち上がり、荷物を纏めて出発する準備。 荷物を背負い、財布の中身を確認したところで非常事態に気が付く。 「お金……そんなに残ってない……」 【新米旅人の紀行録】旅のお金の稼ぎ方【に】 これは緊急事態だ。 今日の朝食分はともかく、夕食分までのお金はない。 田舎で用意できるお金は少なかったし、昨日は奮発しすぎてしまったし。
行商を始めると言っても、今はまだお金がない。元手もないとなったら、今ある材料で作るしかない。 宿で汲ませてもらった水と、職業病でここに来るまでの間に拾ってしまった薬草。道具としては、簡易錬金セット。 「やるしか……ないか」 日差しが高いうちに、人通りが多いうちに売ってしまいたい。 そんな一心で、腕まくりをした。 【新米旅人の紀行録】薬師として【さん】 「まずは……っと」 簡易錬金セットに含まれている乳鉢に、薬草を入れてすり潰す。 完全にすり潰されたら、ビ
ガタン、ガタンと揺れる馬車。 森と湖との間の道を行く馬車に、朝の陽射しが差し込んで中を明るく照らす。 「お客さんたち、次はアマリエ港町ですよ」 御者の人の声に目が完全に覚める。 アマリエ港町。次の目的地に設定してある、大きめの港町だと聞いているところだ。まずはここで、ポーションを売った後、港町を観光しようと思っている。 「まあその前にご飯だよねー」 【新米旅人の紀行録】アマリエ港町【よん】 今日の朝食は昨日屋台で買ったパンのうち、レタスと分厚い肉が挟まって