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航空電子@蜃気楼ニ浮カぶ街

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人力ロックバンド航空電子、Vo.Haoping が滞在する[404圏外]における虚実入り乱れた旅の記録。
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2018年7月の記事一覧

201X年3月 鹿ノいヌ街

ぽっかり空いた週末。期限付きの青の十八番と呼ばれる切符が2枚余りそうな事に気付き、ふらっと電車に飛び乗った。誰とも連絡取れなくても充分楽しいのだが、せっかくだからとその地域に移住したKJ氏に連絡を取った。 青の十八番で移動する旅はとても心地が良い。流れる車窓。変わりゆく言語。寝たいだけ寝て、読みたいだけ本を読んで、そして何より大嫌いな渋滞がなく時間通りに着く。 何度か途中下車して探索しつつ、鹿ノ居る街に着いたのは日暮れ近くだった。駅を降りると鐘の音が響き渡り、静寂が訪れる

201X年2月 太陽の街

毎年、極東の島国の冬の寒さが身体に合わず、この季節には居場所を探しているのだが、冬の太陽を求めてようやく辿り着いたのがこの街だ。世界で何番目かに美しいと言われる駅を降りたところにホステルがあった。この地域ではよくある、ビルの1フロアがホステルというタイプでとても綺麗で快適だ。電車を何度も乗り継ぎで来たため、着いた時にはすでに夕暮れ時。チェックインして明るいうちに街へ出ようとしたところホステルの受付に居合わせたHJという女性と話し、一通りの旅の挨拶をしたところでどういうわけか一

201X年6月 淀ム風の街

パンダの街のすぐそばのゴッドハンドことTA氏のところで身体をほぐしてもらっていた時。「来月、淀む風の街にいくんだけど遊べる人いないかな?」と相談を受けた。日を聞くと、Hラサワが大阪でライブをやっている日ではないか。つまりあれだ。街には馬の骨が沢山いるし遊べる人も沢山いるではないか。なんてことは1mmも思わず、航空電子で招集かけたらいいじゃん、という至極簡単な答えにたどり着いた。 かくして7月には頭が最もおかしかった時期の最も頭がおかしかった集団が集まることとなった。相変わら

201X年8月 優しサの街

201X年8月 前々から誘われていた温暖の街。渡航を決めたのは1か月ほど前だが、出発の一週間ほど前に現地から連絡が来た。彼曰く「ベース持っテ来イ」。フライト前日に演奏曲が渡されると、自分が全く通ってこなかった極東の島国のポップソングが並んでいた。8ビートパンクやロック育ちの僕に16ビートの壁は厚い。慌てて「オとヤ」と呼ばれるマーケットで運搬のための機材や自主練のための機材調達をし、現地に飛んだ。 かくして現地では、ライブまでの約一週間、日の出前に起きて朝日が昇るまでは散歩。

201X年7月 国境の街

201X年7月、僕は国境の街にいた。 厳重に警戒態勢の敷かれた国境。ものすごい熱量を持った人たちが我先にと先を争う。国境とは、ヘゲモニーによる支配の価値観を守るための壁のように僕には見えた。たぶん間違いないだろう。そして壁は高ければ高いほど超える欲望は膨らんでいく。そう、彼らは違う価値観を恐れている。 果たして、壁の向こうの街は「偽物の王国」であった。うまく言えないが天井が低く、妙に管理された街ではあったが、その中で生きている人たちは逞しかった。どうやって抜け道を作り、どう