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陰キャ大学4年生、人生初の同窓会に挑む。⑤

こんにちは。高校5年生です。

引き続き、人生初の同窓会を回想していきます。
お料理を取った後、クラスごとの写真撮影までに20分の歓談タイムが設けられました。私は他テーブルに話しかけに行く相手も勇気もなく、自分のテーブルについたまま、一緒に来た友人やその周りの人達と話しておりました。

あるとき、友人が後ろを指差しました。振り返ると、そこには同じ部活に所属していた男子(A君と呼びます)がいました。
「おお!○○君!」
すっと名前が出たことにほっとしました。A君の見た目が高校時代とほぼ変わらなかったお陰です。

「お久しぶりです」と、高校時代と変わらず敬語で話しかけてきたA君に、私も敬語で「お久しぶりです、ご無沙汰しています」と返します。ただ同じ部活にいただけで、特別仲が良いわけではなかったので、お互いちょっぴり会話に困っておりました。

「大学生?」
「あ、はい」
「……就職?」
「あ、大学院に……」
「大学院行くんだ、すごいね」

こんな会話をしたと思います。「元気そうで良かった」とか「話しかけてくれてありがとう」とかも言いました。すごく当たり障りのない会話と言いますか、当時の関係性のまんまの会話でした。

ただ1つ、嬉しかった言葉があります。A君が「話しかけたかったんだけど……ずっと、お友達と喋ってるから話しかけられなくて」と言ってくれたのです。
確かに私は、それまでずっとテーブルの人達と話していて、他の人が会話に入ってくることはありませんでした。私の妄想かもしれませんが、A君はテーブルの人達と話している私を、一定の時間「話しかけたいなぁ」と思いながら見ていたのかなと思いました。女子ばかりのテーブル、しかも全然違うクラスのテーブルに1人で話しかけに来るのは相当勇気の要ることでしょうが、それでも私に話しかけたくて来てくれたのだと思うと、この上なく嬉しくて泣きそうです。高校時代、思い出したくないほど人望がなかった私なのに、話しかけたいと思ってくれる人がいるなんて……。
「そうだよね、ごめんね、話しかけてくれてありがとう」ぐらいしか伝えられなかったのですが、A君の優しさが本当に本当に嬉しかったです。「今度は自分から話しかけられる人になろう」と決めたのは、話しかけられる嬉しさを噛みしめたからなのです。

ほどなくして、同じ部活に所属していた別の男子(B君と呼びます)が話しかけに来てくれました。A君が、私がいることを伝えてくれたようです。
今でははっきりフルネームで思い出せるのですが、実は、顔を合わせたときに咄嗟に名前が出てきませんでした。
「あ、えーと……○○君か」と言ってしまい、ちょっと気まずい空気が流れてしまいました。「ごめん、頭が混乱していて咄嗟に出なかった」と要らぬ言い訳も口走ってしまい、B君には本当に申し訳なかったです。しかしながら浪人を経験して大学に行ったことを話してくれ、私の近況も尋ねてくれ、B君は高校時代と変わらず穏やかで良い人でした。
当時はみんなと話が合わなかったり、私だけ変わり者だと感じたりすることが多く、正直、部室は本当の自分を解放できる場ではありませんでした(部員のみんな、ごめんなさい)。けれども、もう少し将来のことを考えていたら、部員のみんなと一緒にいたあの時間をもっともっと大切にしたのではないでしょうか。今なら、そう思います。

その後、元部長が再び私のところへやってきました。腕を引かれたので、「何、何?」と言いながらも抵抗せずに引っ張られていったところ、同じ部活に所属していた別の女子(Cちゃんと呼びます)と会いました。
「え、○○ちゃん!」
「○○ちゃん!」
名前を呼び合いました。お互い、ふわふわしておりました。Cちゃんがふわふわしていたのは私に何を言ったら良いか分からなかったからでしょうが、私がふわふわしていたのは名前が躊躇わずすぐに出たことに安心したからに他なりません。

Cちゃんは、私や他の部員とは異なる科のクラスに所属しておりました。私や他の部員がいたクラスより、偏差値が高いクラスです。地元トップ校の最も偏差値の高いクラスなので、つまりはこの地域で最も優秀な高校生が集まるクラスにいたのです。選ばれし人々しかいないので、この科に所属していた彼女はとんでもない秀才の1人でした。「でした」と言うと過去のことみたいですが、きっと今もとんでもない秀才です。学年ビリ級の成績を維持していた私からすれば、雲の上の存在です。

そんなCちゃんに話を聞きました。てっきり、地元で1番偏差値の高い国公立大学に進学したものと思い込んでおりましたが、彼女の進学先は違いました。ただそれでも、とんでもなく勉強した人しか入れないところです。現役で入ったため、私と同じ大学4年生でした。

話してみて感じたのは、他の人と同じように「変わっていないな~」ということでした。みんな、髪も服もおしゃれですし、綺麗にメイクしているのですが、そうしても別人にはならないんですね。どこからどう見てもCちゃんでした。喋り方も高校時代と一緒でした。何だか、安心しますね。
Cちゃんと話して改めて、進学先にこだわっていたのは私だけだったなというのを実感しました。

最後に、2年生のときのクラスメイトで会えて嬉しかった子がいます。それは、中学時代に通っていた塾の友人です。Dちゃんとします。
私が通っていた塾では志望校と成績によってクラス分けがなされていて、地元トップ校である私の出身高校を目指す子だけでクラスが編成されておりました。そこにいたのがDちゃんです。塾で顔を合わせて挨拶したり、お弁当を一緒に食べたりしました。

当初、私は地区でNo.2の偏差値を誇る高校を受験する予定でした。そのため、このクラスに入ったときも、受験のときも、私はこのクラスで1番下の成績でした。
しかし蓋を開けてみると、第1志望校に受かったのは私とDちゃんともう1人の子だけでした。「○○は大丈夫」と言われていた子も、私より遥かに優秀だった子も、系列の塾と共同で行われるテストで上位常連だったため他の塾でも名前が知られていた子も、入学式にいませんでした。
Dちゃんは中学時代と高校時代の私どちらも知っている、ただ1人なのです。

Dちゃんには、私から声をかけました。見つけたので、今声をかけなければ一生会うことはないと思い、「Dちゃん!」と話しかけました。「誰?」と言われるのを恐れ、すぐに名札を掲げながら「○○○○です、久しぶり」と言うと、「もちろん覚えてるよ、中学から知ってんだもん」とDちゃんが笑ってくれました。
覚えてくれていたことも、声をかけたときに優しく応じてくれたこともすごく嬉しかったです。中学時代から知っているDちゃんですが、すらっとした長身に黒髪ショートヘアは変わっておらず、そのままでした。

眼鏡をコンタクトレンズに変えましたし、制服ではなくドレスですし、私を私だと認識できない姿だったはずなのに、話した全員がすぐに私を私だと分かってくれたこと、本当に本当に嬉しかったです。同窓会、本当に参加して良かったです。

続いては、先生に話しかけに行ったときのことを書きます。ぜひ、『陰キャ大学4年生、人生初の同窓会に挑む。⑥』もご覧くださいませ。

以上、「陰キャ大学4年生、人生初の同窓会に挑む。⑤」でした。
最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
次の投稿でまた、お会いしましょう!