高校入試問題解析3 2020年奈良県

本日もよろしくお願いいたします。今回は正答率を公開している中でも比較的平均点の高かった奈良県の公立入試問題を解析したいと思います。
当初は関東圏の入試問題を解析する予定でしたが、平均点の高い問題になったときの点差を分ける決め手が何か、という点も話しておくと、様々な場面での指導に役立つと判断し、今回は奈良県の問題を取り上げました。
第1回目は正答率の非常に高かった神奈川県を、前回は正答率・平均点の低かった滋賀県を取り上げて解析をしましたが、実際に平均点の高い府県ではどう対策していけばいいか、も解析できたら、と思いました。

■2020年奈良県公立入試問題解析(無料公開)

それでは、まずは2020年の奈良県の平均点から見ていきましょう。2020年(令和2年)の社会の平均点は33.3点(50点満点)でした。100点満点に換算すると、66.6点と非常に高い点数です。2017年からの過去4年の平均点でも64.7点と全国平均の56.2点と比べても8点近くも高いことが分かります。
よって、奈良県の入試問題の難易度は易と判定しています。奈良県で点差が非常につくのが数学で、他科目と比べると6~8点ほど平均点が低いです。よって、高得点の取れる4科目でどこまで稼ぐことができるかがポイントですが、逆を言うと一つのミスで点差を付けられてしまう、というリスクもはらんでいます。
社会は大問が4題あり、地理・歴史・公民・三分野総合とバランスよく出題されています。50点満点で計算されます。この出題配列は広島県などとほぼ同じです。実際の入試形式については、奈良県教育委員会の公式サイトなどで確認してください。

そういうところも踏まえて、正答率と実際の問題と比べてみてじっくりと考察していきたいと思います。

■大問1 解析(以降限定公開)

それでは、早速解析していきたいと思います。
大問1は歴史で貨幣史の問題です。これは2019年に新紙幣の発行がニュースとなったため、それを題材としてテーマで出題した問題です。

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