公立高校入試頻出テーマ史の攻略2 世界遺産

本日もよろしくお願いいたします。今回は公立高校入試でもテーマ史として出題されやすい世界遺産に注目したいと思います。
前回から始まりました公立高校入試頻出テーマ史の攻略の2回目です。マガジンとしてまとめていきますので、テーマ学習が追い付いていない受験生、塾講師の方などに見ていただけると幸いです。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。なお、前回よりルビうちができるようになったことで、読みにくい漢字についてはルビを振っています。少しずつこの機能に慣れていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

■世界遺産のテーマ史1 歴史総合

世界遺産の出題形式は2つあります。一つはこの後に紹介する三分野総合問題、もう一つはこちらで出します歴史総合での出題です。

歴史総合の出題形式は、関連テーマが中心となることがあります。例えば、建築を中心とした問題、工業を中心とした問題が中心となります。

【出題形式1 建築との関係】
建築を中心に出題するときは全時代出題されますが、中心となるのは前近代となります。
・飛鳥時代:法隆寺
・奈良時代:東大寺(奈良の都)
・平安時代:平等院鳳凰堂(京都の建築物)、中尊寺金色堂(平泉)、厳島神社
・室町時代:金閣、銀閣(京都の建築物)、首里城
・安土桃山時代:姫路城
・江戸時代:日光東照宮、潜伏キリシタン関連遺産
・明治時代:富岡製糸場、軍艦島ぐんかんじま・八幡製鉄所など(明治産業革命)、国立西洋美術館(ル・コルビュジェ)
・昭和時代:原爆ドーム

日本の世界遺産の大半は、上記のように建築物が中心となります。ということは、これらをもとに出題が想定できると思います。
もちろん、文化だけの問題ではなく、政治・外交など関連する問題が出題されます(実際の問題でも建築などの文化に即した問題よりも広範的な範囲で出題されている)。
全時代広範的に出題されたり、前近代中心で出題されたりと、どの形式でも出題はあります。気を付けないといけないのが、年代並び替え問題が出た時ですが、上記のことが分かればそんなに難度は高くないです。

【出題2 産業関係】
産業関係の問題が出るなら、鉱山などの問題が出てくることが想定されます。
・江戸時代:石見銀山
・明治時代:富岡製糸場、明治日本産業革命遺産

これについては単独での出題はないと予想しています。もし、出る場合は単品での出題になるか三分野総合問題で出題されることが想定されます。
気を付けることは、社会経済史(主に産業史・鉱業史)との関係性で出題されることが予想されます。石見銀山の場合は、長崎貿易との関係も気を付けておきましょう(実際、短文記述問題で出題されたことがある)。
2020年埼玉県は、明治日本産業革命遺産をテーマにした三分野総合問題が出ています。主に長崎に関する問題で出ています。

【出題形式3 遺跡関係】
これをテーマとして出す場合は、上記の建築や産業と融合させることが多いです。
・縄文時代:三内丸山さんないまるやま遺跡など
・古墳時代:百舌鳥もず・古市古墳群、宗像むなかた神社・沖ノ島
・平安時代:紀伊山地の霊場と参詣さんけい
・江戸時代:富士山

富士山を江戸時代に入れていますが、文化関係で富士山が出てくるのが江戸時代という理由でそちらに分類しています。
なお、富士山と紀伊山地の霊場については三分野総合のほうで出題される可能性がありますので、地理との関連知識を付けておきましょう
今年は、三内丸山遺跡・白滝しらたき遺跡などの遺跡群が世界遺産に認定されています。当然、縄文時代に関する知識はしっかりと入れておきたいところです

■世界遺産のテーマ史2 三分野総合問題

もう一つ。世界遺産の出題形式は三分野総合問題で出題してくることがあります。上記のテーマをベースに地理や公民などと関連付けて出題してくることがあります。もちろん、以下の形式の場合も三分野総合問題で出題されると思います。

【出題形式4 自然遺産】
・白川郷・合掌がっしょう
白神しらかみ山地
知床しれとこ
小笠原おがさわら諸島
奄美あまみ大島

地理で出題されそうな問題が目白押しです。自然遺産ではないものの、富士山も絡めてくる可能性はあるでしょう。
公民との関係性ならナショナルトラスト運動に関する問題、環境問題にも気を付けておきましょう。地理だとエコツーリズムやまちおこしなどの関連問題には気を付けておきましょう。間違いなく短文記述問題や自由記述問題も出てくるので、自分の私見をある程度持っておいた方がいいでしょう。

なお、エコツーリズムの問題はここ近年でも何回か出ていますが、正答率は2020年の青森県で7.7%なので、非常に正答率が低く、この類の語句・内容の定着がほとんどできていないのでは、と思います。自府県の過去問だけでは対応しにくい問題にも取り組んでほしいと思います。

■出題形式を知ったからといっても……

このように出題形式を知ったからといっても、実戦問題を数多くこなすことができなければ、効果は半減します。
よく、1冊のテキストを完璧に仕上げろ、と言われますが、これについては間違ったことではありません(理由は後述で)。が、1冊のテキストを何回やっても意味はありません。ただし、基本土台を固める単元別問題集1冊は固定しておいた方がいいです。
理科・社会については、基本土台の1冊を仕上げてからは実戦問題向けの問題集を色々とこなしていただきたいと思っています。
これにより、実戦形式の問題に触れている関係で、対応力が身につくというメリットがあります。デメリットとしては、こなす問題が多い分、消化不良に陥りやすいため、社会が苦手な方にはこのやり方は勧めません。社会が苦手な方にはむしろ、1冊の土台問題集を完璧に仕上げたほうが効率がいいです。なので、決して間違ったアドバイスではありません。

僕が「問題集を1冊完璧に仕上げろ」という場合、土台となる単元別問題集を1冊仕上げる、という意味で言います。これについては何度学習しても構いませんし、知識の再確認・再構築などを行うことができれば、十分活用できます。
ですが、間違ったアドバイスをしている講師がいるのも事実です。僕も上記のことが自分でできること、が究極の理想です。ですが、それができない生徒がいることも事実です。そのため、生徒によってアドバイスすること、学習法などが変わってきます。もちろん、志望校によっても使う問題集が異なります。汎用はんよう度の高い参考書ルートを作るのはいいのですが、状況に応じて修正していけばいいのです

出題形式を知っていたからといっても、活用法を間違えるとただの苦痛にしかなりません。そのため、それが活用できるまでの道筋を正しく導かせないといけません

■今年の紙面講義について

こちらはお知らせになります。
今年の紙面講義についてですが、すでに入試解析を行っている関係上、秋からの紙面講義は正答率がWeb上で非公表の問題を中心に行いたいと思います。今までは週3日で行っていましたが、今年は10月からの多忙を鑑みた結果、週1程度の更新となります。入試解析・紙面講義については今年も限定公開としています。理由としては、赤本などでも触れていない問題でも丁寧に解説すること、関連知識や背景知識なども駆使した解説を行うためです。また、11月ごろから月1で最新予想問題をアップさせていただきます。歴史と三分野総合問題が中心とはなりますが、ぜひ最後の仕上げに活用ください。昨年はすべての大問がテーマとして取り上げられていました。そのため、最後の仕上げに格好の教材だと自負しています。ちなみに、今回の予想問題の一つに世界遺産に関する問題を作成予定です。こちらの記事と併用いただけると出題形式など見えてくるものが出てきます。

上記については、公式note上のサークルに加入していただきましたら、紙面講義は月1本のプレゼント(メールで送りたいと思っています)、2022年予想問題の無料提供(こちらもメールでデータを送らせていただきます)などを予定しています。

次回の頻出テーマ史の攻略ですが、昨年の予想問題でも出題した伝染病・病気の歴史について話したいと思います。このまとめは独学ではまとめるのが困難なので、この公式noteを用いて解説していきたいと思います。問題や内容によっては、日本史・世界史でも活用できるものがあります。

皆様のサポート、よろしくお願いいたします。サポートいただいたものは一般社団法人CAMELの活動費として活用させていただきます。