教科書展示会に行きました1 2021年版

本日もよろしくお願いいたします。昨日、急きょ時間が取れたため、教科書展示会に行ってきました。そこで、歴史総合を中心に閲覧をしてきました。今回は歴史総合と自由社の中学社会の教科書を見てきました。本日はその所感を話したいと思います。ただ、歴史総合の教科書が12冊もあるため、ざっくりとみてきたので、細かい内容までは言及できないかもしれません。今後の閲覧で細かく見ていきたいと思っています。
今後、公共と地理総合についても言及していきますので、よろしくお願いいたします。

■自由社の中学歴史の教科書

まずは、こちらから見ていきましょう。新規で合格した中学校の教科書はこれだけだったので、今回はじっくりと見ることができました。育鵬社に内容を寄せている部分もあり、また、日本神話に関する話も2ページ使って説明しています(公立高校入試ではほとんど出題はされません)。
縄文時代の稲作で菜畑遺跡を太字で記載し、また、乙巳の変や八色の姓、科挙についての記載も出ています。
大航海時代では、ほとんどの教科書では触れていなかったトルデシャリス条約、サラゴザ条約にも触れています。また、フランス革命を批判したエドモンド=バークの話も触れています。西安事件についても触れていることもありますが、やや歴史総合につなげるような意識も見られたのかな、と思います。
日中戦争を支那事変、太平洋戦争を大東亜戦争、と明記しているところは気にされる可能性はあると思います。また、ほとんどの教科書ではスルーされている日本人排斥運動の話も記載されていました。
まとめの部分で復習ページがあるため、知識の整理・確認ができるのは評価できるかな、と思います。
教科書の内容では問題視する人もいるかもしれませんが、語句レベルはやや高い気がしました(それでも山川よりはやや低い程度)

これを受けて、横浜市では教科書検定の再検討を行う、という異例の対応を取ります。その結果、次年度から使う教科書の変更が行われた場合、現場は混乱するのでは、と思います。こちらは結果が分かりましたら、また記事を閲覧したいと思います。

■歴史総合の所感

まず、全体的に共通している点を話します。
それは、章のタイトルがどの教科書でも同じです。そして、それに対する着目テーマも全て共通しています(本文に入る前にテーマに関する知識が盛り込まれている)。それを踏まえて各教科書会社が工夫をされていた、という感じです。
そして、歴史総合の教科書全12冊は以下の通りです。

【歴史総合の教科書】
・東書:「新選歴史総合」「詳解歴史総合」
・山川:「現代の歴史総合」「歴史総合 近代から現代へ」「わたしたちの歴史 日本から世界へ」
・清水書院:「私たちの歴史総合」
・実教出版:「歴史総合」「詳述 歴史総合」
・第一学習社:「新歴史総合 過去との対話、つなぐ未来」「歴史総合」
・帝国書院:「明解 歴史総合」
・明成社:「私たちの歴史総合」

このうち、「詳解歴史総合」(東書)、「現代の歴史総合」(山川)、「私たちの歴史総合」(清水)については塚原先生から紹介をいただき、少し時間をかけて閲覧しました。加えて、「歴史総合 近代から現代へ」(山川)、「歴史総合」(実教)、「新説歴史総合」(東書)の3冊も時間をかけて閲覧しました。
ほとんどの教科書で気になったことは、2ページ完結になっていることです。つまり、中学社会の方式をほとんどの教科書で取り入れていたことです。恐らく、中学歴史と高校社会の接続になるように配慮されているのでは、と思います。第一学習社、帝国、明成社についてはざっくりとしか見ていないので、内容については次回以降でまた閲覧できたら、と思います。

■新選歴史総合(東書)

章の最初の1節でグラフ・図・史料などの考察を行うことを数ページにわたって解説されています。それを受けて、1つのテーマ・キーワードに沿って内容の展開を行っています。国ごとのまとめではなく、テーマの関連性を重視している感じでした。
それは1節で大まかなテーマが書かれているのですが、それに沿って教科書がまとまっています。そして、これは他の教科書も同様です。単元によっては日本史中心の内容になっているところもあり、中学社会の学習の延長線上になっている気がしました(中学内容よりも少し踏み込んでいる感じでした)。

■現代の歴史総合(山川)

基本的なものは前述のものとほぼ同じですが、相違点としては、2ページ完結ではなく4~6ページくらいでまとめている点です。内容については東書よりもやや詳しく書いているため、ノートまとめなどで活用するのはやりやすいのでは、と思います。

僕が今後気にしているのは、歴史総合専用の用語集が出ること、それぞれの教科書に対応したサブノートなどのラインナップです。深い学習を行うのに最適です。

■歴史総合 近代から現代へ(山川)

上記の「現代の歴史総合」との大きな違いは、「詳説日本史・世界史」形式に近いものになっています。どちらかというと、「日本史探究」や「世界史探究」につなげるためのものになっている気がしました。記述も内容もそれに近かった気がしました。そのため、他の教科書と比べると考察などについては劣ることがあるのでは、と思います。

実際、山川の公式サイトでもそのような意図で書かれていましたので、探究を意識するところはこちらを、無理なく歴史総合の入り口を作ろうとするなら、上記の2つあたりが有力になるのでは、と思いました。

■私たちの歴史総合(清水)

こちらは2ページ完結ですが、左ページでは資料しかなく、右ページに本文という感じでした。内容の知識は最小限にしたうえで、資料の活用を重点的に行っているな、と思いました。
ただ、前提知識が少ないため、がっつりと知識を身に付けたい人にとっては物足りないかもしれません。しかし、資料考察の面でいうなら十分な量になっている気がしました。

■歴史総合(実教)

実教の歴史総合ですが、日本史中心の単元、世界史中心の単元のメリハリはできていた気がします。これはほとんどの教科書で言える話ですが、世界史部分については、一からの内容なのでベースとしては使えると思います。ただ、しっかりと知識を身に付けたい人にとっては少し物足りないかもしれません。

■その他の教科書で気になったところ

僕がその他の教科書で気になったのは、「詳解歴史総合」(東書)です。こちらが塚原先生がおすすめされてた方でした。
これは歴史語句に太字を敢えて施さないで書いているため、語句重視の学習から脱却している感じがしました。また、「私たちの歴史総合」(明成社)では、まとめ部分に関してはやや踏み込んだ記述・内容がありました。

これらから見ても、中学社会歴史の学習をベースにしつつ、次の探求にいかにつなげて学習させるか、という工夫が各会社で異なっています。
既に発刊されている「歴史総合問題集」(山川出版社)との併用はどの教科書を使っても対応はできると思います。もちろん、教科書によっては触れている内容・触れていない内容の差異はありますが、ベースの問題集としては使えると思います。ただ、これに加えてサブノートを使うとより理想の学習ができ、次の探求に向けた前提知識ができあがると思います。

その他の教科書の詳細な内容については、追ってみていきたいと思います。

次回(6/17を予定してます)の教科書展示会閲覧は公共を中心に見に行こうと思います。

皆様のサポート、よろしくお願いいたします。