2022公立高校入試前半戦統括

本日もよろしくお願いいたします。いよいよ公立高校入試も前半戦が終わり、来週から後半戦に突入します。そこで、現在公開された問題、解き終えた問題を踏まえて、気になったところを話していきたいと思います。来週の入試を控えている受験生の皆様には、是非一読いただきたく思います。昨年もこの統括の注意点からいくつか出題が重複・的中もしています
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。


■前半戦の統括

前半戦(3/4現在)までに入試が終わった都道府県は以下の通りです。なお、太字は問題がWeb上などで公開されているところです。

【3/4までに入試が終わっている都道府県】
北海道・福島県・茨城県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟県・福井県・山梨県・静岡県・岐阜県・島根県・愛媛県・高知県・熊本県・鹿児島県
※注意:高知県は問題がまだ公開されていないものの、YouTubeで解説はされています。熊本県は問題は公開されていませんが、解答例は公開されています。愛媛県はWeb上で公開されているものの、会員登録しないといけません(無料で登録可)。

というわけで、全部で17都道府県が行われています。来週は残り30府県が一気に行われます。これまでの難易度を見た限り全体的に易化した感じでした。特に神奈川県・岐阜県は安定の易化でした。
そして、大きく変化したのは茨城県でした。昨年は短文記述問題が大量に出ていたのに今年は一転して短文記述問題が0問でほぼ記号問題が出ていました。そのため、昨年よりも大幅に易化した感じでした。

今のところ、短文記述問題が難しいところと感じたのは北海道くらいでした。資料読解型の短文記述問題はグラフを正しく読み取り、正しくまとめきる要約力が必要となります

■共通テストを意識した問題が増えた?

前半戦で現状解いた問題を見た限りでは資料読解問題が増えたこと、記号問題が増えたことなどが目立ちました。加えて短文記述問題も資料読解が中心となっていました。
神奈川県は今までは短文記述問題、一問一答の記述もありましたが、2022年は全問題マーク形式の問題になっていました。これは共通テストを意識したものではないのか、と思います。となると、今までのような暗記中心の学習がほぼ通用しません(岐阜県は除く)。

しかし、今回の問題を見た限り、僕が考えられ得る難問はそこまでまだ多くない気がしました。あとは後半の入試で滋賀県・広島県がどういう形式で出るかが気になるところです。

■2022年前半戦で気になる問題

では、お待たせしました。2022年前半戦で出題された気になった問題をいくつかピックアップしたいと思います。ここでの指摘が昨年も多くの都道府県で出題されていましたので、是非これから入試を控えている受験生の皆様は参考にしてください。

➀企業・家計・政府の財政関係
昨年出題があまり見られなかった経済分野のなかで、今年度はいくつかの都道府県で出題されていました。それぞれの関係性をしっかりと押さえること、政府の財政政策に関する知識も押さえておくといいでしょう。
今年は経済分野の出題が多いため、特に警戒しておくべき単元だと思います。

②SDGs関係
今年も複数の都道府県でテーマとして出題されていました。もちろん、「持続可能な開発計画」の「持続可能」を出題してきたところも2府県ありました。今後も出題が増えると予想されます。なお、SDGsに関する出題形式は下記の記事でまとめていますので、合わせて一読いただけると幸いです。

③パリ協定(環境問題)
今年、国際関係の問題が解禁されたこともあり、環境問題の出題が増えたのでは、と思います。関連性としてはエネルギー関係、京都議定書なども気を付けておきましょう。なお、北海道では先進国と発展途上国、それぞれの立場に立った対比討論型の短文記述問題が出ています。
もちろん、先ほど解説しましたSDGsとの関係性も合わせて出題されることもあります。

④雨温図
今回も出題頻度が非常に高い問題となります。よって、正しいグラフの見方を知ることで正答率は上がります。特に気を付けないといけないのは南半球の判断です。今回はいくつかの府県でも南半球の雨温図が出題されています。出題が多いのはアルゼンチン、南アフリカ、ボリビア(アンデス山脈)、シドニーあたりの雨温図は気を付けておきましょう。もし、仕上がっていなければ、下記の究極のTactics集で確認しておきましょう。

⑤領域関係の問題
今年の入試でよく見た問題が領域関係の問題です。といっても、領土などの領域問題ではなく、関数で用いられるようなあのグラフを用いるものです。
縦軸と横軸の関係を正確に理解し、説明文と照合しておきましょう。今年だけで数府県出題が出ています。といってもそこまでの難易度ではないので、正しく判断して得点源にしましょう。関連としては、効率と公正も出題頻度が高いです。合わせて押さえておきましょう。もし、「『解きかた』が身につく問題集」(旺文社)を持っている方は、最後の確認として使うといいでしょう。

他にも気になる問題はありますが、後半で気になるところが出てきたときに解説を改めて行いたいと思います。なお、今回は予想問題の的中はそこまでありませんが、近い問題は何問かは出ています。テーマとしてはまだ出ていませんが、後半で出てくる可能性もあります。最後の仕上げに活用してください

■今年公式noteで解説速報を出せていない理由

さて、今回気になった方も多いと思いますが、いつもなら公式noteで公立高校入試解説速報を出しているところですが、今回ほとんど出していません。今のところ出したところとしても神奈川県公立高校入試くらいです。本来なら東京都・埼玉県・千葉県など解いたところを出す予定でした。

この場を借りてお詫びいたします。実は、今年は入試問題の解析はできるものの、それを公式noteで出せていない理由はいくつかあります

【今年、吉野が解説速報を出せない理由】
➀歴史総合・公共のテキスト作成・編集に追われているため
②各都道府県の教育委員会に使用承諾を得るため

これらが理由になります。
特に大きな要因は➀です。新年度より歴史総合・公共の授業が始まります。それに向けてのテキスト作成、問題構成などをいち早く行うためにそれに向けた学習を行っています。その関係で今年は公立高校入試問題を解く時間はあるものの、公式noteにアップできるほどの余裕がないのです
それ以上に大きい理由は②です。今回からこのようなことをアップするために、各都道府県教育委員会に承諾を得ようと思いました。解いた雑感は公式Twitterや公式Facebookで投稿していますが、問題を使うためにしっかりと各教育委員会に使用承諾をいただくために、承諾を得たのちに公式noteなどに出せたら、と思います(個人の感想であることが多いため、所属する機関とは関係はありませんが……)
これには別の理由があります。映像授業などで公立入試問題を使用するために問題なく対処するために、使用承諾を得ようと思いました。つまり、万全の体制を整えたうえで出していきたいと思ったので、今回は敢えて承諾を得てから、という段取りをとることにしたのです。これがすぐにアップできない理由となっています。

ただし、広島県については3/8もしくは3/9までには公式noteでアップすることは決まっています。ということは、広島県については先日、3/8以降での使用承諾を得ています(著作権が関わる図版などは5月以降に別に承諾が必要になる)。

段取りをとる理由としては、現状判明がされていない都道府県の平均点を明確にしたいこと、正答率を把握したいこと、頻度の高い重要語句が本当に頻度と正答率で反映されているのか、などを知る目的があります。そのため、今回から少し大変ではありますが、使用承諾を得ようと思ったのです。
使用承諾を得ることができ次第、アップしたいと思います。ただし、僕自身の多忙次第ではアップが難しいため、正答率が公表され次第承諾を得られたところから随時アップできれば、と思います。その際にはいくつかの所に絞って行う予定です。
基本的には所属している機関などとは関係ないので、その辺りはご了承ください。

■最後まで諦めずに!

土日の間で不安になることもありますが、最後の仕上げをしっかりと行ってください。この2日での注意点は、学習する範囲を絞ること、科目バランスをしっかりとることなど気を付けてください。英語・数学が不安なのに社会ばかりするのは効果的ではありません
最後の仕上げがまだできていない人は、短期完成などで一通り仕上げるといいでしょう。ただし、これだけで仕上がるとは思わないでください。それと、今年行われて公開されている問題を解くのもいいでしょう。意外とそういった問題から出てくる可能性もあります。今できることを全力で行いましょう。

入試が終わったら、高校に向けた学習も忘れないようにしましょう。社会については地理・歴史・公民は土台となる中学生の教科書も活用するといいでしょう。詳しくは別記事でアップする予定です。

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