2024年公立高校入試雑感1

本日もよろしくお願いいたします。
2月中旬から始まった公立高校入試も序盤戦が終わりました。そこで、本日は自分が入手できた公立高校入試問題を見て、中盤戦に向けて気をつけるべき内容、新語などをまとめたいと思います。
メンバーシップ限定記事ですが、今回は最後の仕上げなので、メンバーシップでない方も閲覧できます。このような記事を今後もあげていきたいと思います。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。


■公立高校入試問題を見て

まず、ここからいきましょう。
3/1現在で既に公立高校入試が終わってるところは、神奈川県、東京都、埼玉県、千葉県、福井県、愛知県、広島県、茨城県の8都県となっています(もし、他にも終わってましたら申してください)。
このうち、問題を入手できていないのは福井県のみです。
今回の問題を見て、今回どのような問題の出題が多かったか、新テーマ、時事関係、新語などに注視していきながらまとめていきたいと思います。
なお、問題などを使うことは著作権の関係上、原則できません(広島県については許諾をいただいているので、使用できます)ので、こちらでは雑感を中心にまとめていきます。
それでは、早速雑感を見ていきましょう。

■序盤戦の雑感

序盤戦の社会で気を付けないといけないのは、ここ数年で言われている「従来の一問一答形式学習の限界」が言われていますが、今年もその傾向は続きます。そして、この傾向は今後も続くとみています。
つまり、今までは旺文社や文英堂などの一問一答集を最後の学習で使っていた方も多いですが、今年、来年以降ではそのような学習をする場合、よほどの使い方を考えないとこれらの問題集での学習は厳しくなってくる恐れもあります(ただし、基本土台の仕上げをするには別段問題はない)。
神奈川県の問題を皮切りに、東京都、埼玉県、千葉県なども同様の傾向がみられています。土台知識をベースに応用力が身についているかが点差を分けると思います。

それでは、それぞれのタイプに応じて解析していきたいと思います。

➀出題の多かった問題

今回、複数回出題されたものとしては、消費税、広島サミットといった時事的な問題です。
時事問題をそのまま出したのは広島サミット(広島県ではテーマで出題)です。消費税は現在注視されているインボイス制度をもとに出題されています。
ここで、現在インボイス反対論者が「消費税は直接税」という謎理論を打ち立てていますが、平成2年の地裁判決をもとにしても、そのような謎理論は成立しません。このことを判決を調べてくださった方が、「消費税は間接税」という前提の下で裁判が行われていることをご教授いただきました。
つまり、判決の一部だけを切り取って誤った解釈をしているのです。堂々と「消費税は間接税」と思って問題ありません。
そして、教科書の記述以上のものを拡大解釈しないようにしましょう(ただし、勘合貿易については倭寇と正式な貿易船を区別する、という記述は今後成立しませんので、ご注意ください)。

②時事的要素の強い問題

続いて、時事的要素の強い問題ですが、これは前述の広島サミット、インボイス制度、大河ドラマ、2024年問題などがあります。
広島サミット、インボイス制度については前述で説明しているので、ここでは強く触れませんが、今年の大河ドラマである「光る君へ」に関連して、紫式部に関連した問題が出題されていました。紫式部、著書の源氏物語、藤原氏の摂関政治辺りは関連知識として整理しておきましょう
2024年問題については後述で解説します。

③新語問題、拙著に記載ない問題

そして、今回の注目点として、新語、拙著に記載がない問題です。
今年の新語としては、2024年問題、シェンゲン協定(ともに広島)です。
拙著に記載がないもの(入試ランクが今までなかったもの)としては、被害者参加制度(群馬)、大西洋憲章(茨城)、下地中分(埼玉)、コンパクトシティ(東京)です。
2024年問題は、関連としては働き方改革が該当しますが、内容などを聞かれることが多いです。今後もこれらの問題には気を付けておきましょう。
シェンゲン協定については、「人・物の移動」に関連した協定で、EU加盟国の大半が加盟しています(イギリスがEU脱退した理由にも関連する)。ただし、教科書にも記載はありませんので、一問一答形式で聞かれると難語になります。
上記に関しては、すでに解析記事を上げていますので、そちらで確認してください。

今回、拙著で記載がなかったものの、新語として出題されたものが、上記のものです。これらについては、「入試で出た新語と教科書記載」でも解説をします。
下地中分については、写真を見て土地紛争の解決について記述できれば問題ありませんし、被害者参加制度については、利点と課題をそれぞれまとめられるといいと思います。どちらも一問一答形式では出題されにくいので、解説との関連性を重視してください。
コンパクトシティについては、色々な施設などが集約していることで、公共交通機関1つで移動が容易になる、ということなどを触れておくといいでしょう。
これらの新語については、2025年最新問題としてどこかでアップできたら、と思っています。

■中盤戦以降の学習について

来週から試験がある方は、上記の内容に気を付けながら、基本語句と内容・関連性を意識して整理しておくといいでしょう。間違っても一問一答形式だけで解決できる問題は減っています。
過去問の形式、頻度の高い形式の問題には特に注意をしておきましょう。過去問と同じ問題は出題されにくいですが、他府県の問題についてはチェックが必要です。特に今年出た問題は注意しておきましょう。

資料読解問題が多いところは「割合」と「実数」の違いに気を付けてください。正誤問題では必ず突いてくるところです。
マトリックス問題(大きな政府・小さな政府)も気を付けておきましょう。これも一問一答形式だけでは対応できません。説明を見て大きな政府になるのか、小さな政府になるのか、を判断していきましょう。

一問一答形式の直前チェックをするときは解答だけでなく、内容との関連も意識してまとめてください。
ただし、直前に新しいことをするのは好ましくありません

■新中3生へのアドバイス

今までの一問一答形式の学習だけでは対応ができなくなっています。中学校の定期テストでも短文記述問題や論述問題の出題もありますが、直前のワークの写しだけでも対応がしにくくなります(ただし、短期記憶が優れている人はこの限りではない)。
どうしても一問一答形式の問題の学習をしたい人は、拙著の『高校入試 社会が一問一答でしっかりわかる本』(かんき出版)を使うといいでしょう。この本は、今まで言われてきた一問一答形式の問題で対応できないものも対応しています。具体的にいうと、解説部分を充実させたことで、短文記述問題・史料読解問題・正誤問題などを解くための周辺知識・関連知識・背景知識などが身につきやすいです
ただ、これも単なる問題→解答、しか使わなければ効果はありません。そのため、正しい学習法をしっかりと身につけた上で、アウトプットをしっかりと行ってください。

あと、学校の進行に合わせすぎない学習を行ってください。そして、早い段階で地理・歴史の復習を済ませて公民学習に余裕をもって取り組んでください。これを行うことで、他科目の学習負担も軽減できます。
そのために、週3日30分を継続して学習するようにしてください。楽して受験をクリアーする時代は終わっています(仮にクリアーできたとしても、高校の学習で躓きます)。一日でも早く受験に向けた準備をしてください。もちろん、内申点の意識も忘れないようにしましょう。

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