因果律の否定

今日は記念すべき日です。

色んな学問を学びながら
少しずつ醸成されていた考え方が
1つの形になった瞬間でした。
これがえげつないカタルシスを
もたらしてくれるんですよ。
積み重ねが何か形になると嬉しいんですよね。

この3年に及ぶ思考過程をここに
記したいと思います。
よろしくお願いします。

それが何かって言うと
「因果関係って本当に正しいのか?」
って話です。

この話の始まりは、3年くらい前に
マイケル・サンデルの『実力は運のうち』
って本を読んだ時まで遡ります。
端的に内容を言うと
「社会的に成功した人は実力では無くて
運が良かっただけ」
という本です。

その時は全然信じてませんでしたが
その1年後にヒュームという哲学者に出会い
少し考え方が変わりました。

ヒュームはこう言います。
「私が今、手を振り下ろしてテーブルを叩こうとすると叩く前から、『音がするだろう』と予想してしまうのです。しかし、厳密に言えばこれは過去の経験によって、そう予想するように強制されておりそういう習慣ができてしまっているからです。」

つまり、ヒュームは因果関係は客観的に
存在しているのでは無く、
人間の過去の記憶や経験の中から
生まれていると主張してるいのです。

例えるなら「手を離したらリンゴが落ちる」
というのはこれまでの経験によるもので、
次落とした時に「上に上がる可能性」
もある事を示唆しています。

これを聞いて実際「リンゴは絶対落ちるやん」
って思いました(笑)
哲学者こじらせてるなああって思いましたが
この考え方自体は面白かったです。

そして、この考え方を
カントはさらに発展させました。

カントの『純粋理性批判』で
因果律は経験が可能になるための
基本的なフレームワークであると述べています。

つまり、人間が世界を理解するために
因果律というフォーマットが備わっており
それに当てはめて物事を理解している
ということです。

サンデル→ヒューム→カントを経て、
初めて「因果律」について理解出来たような気がしました。

因果関係というのは
客観的に「そこにある」ように感じますが、
本当は人間の内部にあり主観的なものです。
カオスな外界を理解するために「因果関係」
というフォーマットを使って
頭の中で整理している事ですね。

それから1年くらいは
人間が因果関係によって世界を理解しようとする理由が分かりませんでした。
理解度で言うと80%くらいでしたね。。

それが行動経済学によって
100%になったのが今日ということなんですよ。

結論、その理由は
人間は因果関係や法則性を見つけることに
快感を覚える生き物であると言えるからです。

例えば、自己啓発書って
死ぬほど売れてるんですけど、
ああいう本には成功の原因を
「単一」で、「再現可能なもの」だ
と誇示する傾向にあります。
成功の原因は考えられない数あり
それも相互作用によって成り立っているため
「成功」と「その原因」を端的に繋げて
語ることは現実的に不可能です。

しかし、実際にビジネス書はばり売れてます。
これは、私たちが「納得感のある物語」
を読んで「わかった気になる」ことが
好きだからです。

人間の本能は
「未知の物事に対して不安や恐怖を感じる」
ように出来ています。
不安や恐怖を
できれば避けて安心するためには
法則性や因果律を探して、
理解する必要があります。
これに伴って人間はこれを見つけると
快楽になるように設計されてるんです。

考えてみれば当たり前ですよね。
人間が生存に有利な方向に快楽が設置されるなんて。

この因果律を作りたがる欲求を刺激しているのが、ビジネス書という訳なんです。
すっごい実用的なやつは例外ですけど!

これは他でも言えて
例えば、立て続けに悪い事が起きた時に
「これは厄年のせいだわ」と言い
自分が外に出たタイミングで雨が降ると
「雨男だ!」と感じます。

これらは全て
「因果関係を作ってスッキリしたがる脳のバグ」なんです。

これらから分かる事は
「努力をすれば結果が出る」
という言説は嘘という残酷な事実です。

結果が出る為には、
その人の生まれつきの性格・これまでの習慣・
努力の方向性・努力の基準値・環境
などなど変数が無限にあります。
その変数は全部自分のコントロールできるものではありません。
故に、この言説はキッパリと否定できます。

何年かかけてここまでたどり着いて
凄く気持ちよかったと同時に絶望しました。

漠然と「凄いお金持ちになりたい」とか
「成功したい」って思うんですけど
誰かを真似したところで再現性はかなり低く
成功の要素には運が強く絡むという現実に辟易します。

これからの人生はこの言説に対してどう自分なりのアンチテーゼを出せるかだなと思います。

現在はこれに対して明確な答えを
持てないですけど
これからの歩みによって
自分なりの哲学が出来れば
それは面白いなあと思います。
人生は一番面白いコンテンツですね。
ご清聴ありがとうございました。

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