遺族年金の給付期間と給付額、いつまでもらえるか受給資格を徹底解説

「遺族年金の給付期間を知りたい」「遺族年金の給付額を知りたい」「遺族年金の手続き」を考えているでしょうか。

ご家族が亡くなられ、感情的にも厳しいうえに経済的な困難を乗り越える必要がある人のために遺族年金はあります。

本記事では遺族年金の給付期間を中心にまとめました。

遺族年金とは


一家の家計を支える人物が、残念ながら亡くなってしまうことがあります。

残された遺族は、悲しみに明け暮れると共に経済的な困難を意識せざるを得ません。

遺族である人は、明日の一歩を踏み出すための勇気と、現実的な資金が必要になるでしょう。

遺族年金とは、残された遺族の生活を維持するための年金です。

年金と聞くと、老後に支給される老齢年金を想像する人は多いです。

国民年金も厚生年金もそれぞれに「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3種の年金があります。

本記事では、遺族年金に焦点を当てて説明していきます。

あなたの年金はどれ?遺族年金の種類


公的年金には、国民年金と厚生年金の2種類があることはご存じでしょう。

国民年金は20歳以上60歳未満の全ての国民が加入義務があります。

厚生年金は第2号被保険者が対象となる年金で、一般的にサラリーマンなどの会社員や公務員が、給与天引きにより被保険者となっています。

国民年金の人は遺族基礎年金、厚生年金の人は遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給できる資格があります。

以下でそれぞれについて詳しく解説を行います。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金加入者の遺族が受給できる遺族年金です。

自営業者などの国民年金加入者の遺族は、遺族年金を検討する場合に遺族基礎年金をご検討ください。

遺族基礎年金は、以下の人が受給可能です。

• 子どものいる配偶者
• 18歳を迎える年度の3月31日までの子ども
• 障害等級1級または2級の子ども

遺族基礎年金は、残された子どもを中心とした年金です。

子供がいない場合は支給対象外となる場合がほとんどで、遺族基礎年金を受給するためには、以下の要件を満たす必要もあります。

• 被保険者と同居していた(別居の場合は仕送り有りや扶養親族であれば可)
• 前年の年収が850万円未満

遺族気年金を受給するには、上記全ての要件を満たした場合に受給が可能です。

【子どもがいない場合】死亡一時金

子どもがいない場合、全く年金が受け取れない訳ではありません。

「死亡一時金」を申請すれば、1度のみの一時金が受給できる可能性があります。

受給要件は以下の通りです。

死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときは、その方と生計を同じくしていた遺族(1配偶者2子3父母4孫5祖父母6兄弟姉妹の中で優先順位が高い方)が受けることができます。
参考:日本年金機構 死亡一時金を受けるとき

【子どもがいない場合】寡婦年金

あなたが女性の場合、寡婦年金を受給できる可能性もあります。

夫が第1号被保険者として国民年金を10年以上納めていた場合、以下の条件を満たせば受給可能です。

• 10年以上継続して婚姻関係にある
• 夫婦ともに老齢年金を受給していない

寡婦年金は、女性の収入が男性に比べて低い現状があることを補填するための年金とお考え下さい。
そのため、男性が寡婦年金を受給することはできず、女性であることで受給できる可能性があります。

参考:日本年金機構 寡婦年金


遺族厚生年金

遺族厚生年金は、被保険者が厚生年金加入者である場合に受給できる年金です。

受給資格は遺族基礎年金と比べると広範囲になり、受給できる人が増える可能性があります。対象となるのは以下の人です。

• 妻
• 子ども
• 孫
• 55歳以上の夫
• 55歳以上の父母
• 55歳以上の祖父母

上記の対象人物は、遺族厚生年金を受給できます。

遺族基礎年金と同様に、以下の要件を満たす必要があります。

• 被保険者と同居していた(別居の場合は仕送り有りや扶養親族であれば可)
• 前年の年収が850万円未満

厚生年金は、国民年金に追加して保険料を支払っています。

そのため、遺族厚生年金の支給対象も広範囲になり、優先度が高い順に受給できる可能性が高まります。

いつまでもらえる?遺族年金の受給期間


遺族年金を受給する場合、受給できる期間が気になるでしょう。

生計を維持するために必要な資金は、いつまで受給できるのか。

今後の生活に大きく影響を与える受給期間について、遺族基礎年金と遺族厚生年金に分けてご説明をします。

いつまでもらえる?【遺族基礎年金】の受給期間

被保険者が国民年金加入者であれば、遺族基礎年金を受給することになります。

受給できる期間は以下の通りです。

• 子どもが18歳を迎える年度の3月31日を経過するまで
• 障害等級1級または2級の子どもが20歳を迎えるまで

遺族基礎年金の場合、受給できる期間は子どもの年齢に依存します。

子どもがいない場合は、受給ができませんのでいつまでもらえるかを気にすることもできません。

ただし、子どもがいない場合に受給できる「死亡一時金」は、1度のみの支給ではありますが、受給できる可能性があります。

死亡一時金を請求するには、年金事務所や年金相談センターの窓口に請求書をもらい、記入して提出することになります。

参考:日本年金機構「国民年金死亡一時金請求書」


いつまでもらえる?【遺族厚生年金】の受給期間

被保険者が厚生年金加入者の場合、遺族厚生年金を受給できます。

気になる受給期間は、誰が受給するかにより大きく異なるため、以下にそれぞれを分けて解説します。

受給者が子どもの場合

受給者が死亡された方の子どもの場合、以下の年齢に達するまで遺族厚生年金を受給できます。

• 18歳になる年度の末日まで
• 障害等級1級または2級の障害がある場合は20歳未満まで

受給者が子どもの場合は、年齢により受給期間が定められており、法律上子どもではなくなる18歳を基準として受給期間が終了します。

ただし、障害がある場合は20歳になるまでが支給対象です。

受給者が妻の場合

受給者が妻の場合、子どもの有無や年齢により受給できる期間が異なります。

目安となる年齢は30歳ですが、以下にまとめます。

【受給者が妻】子どもがいる場合

遺族厚生年金を、子どもがいる妻が受給する場合、支給期間は一生涯となります。

再婚などにより受給する権利が無くならない限り、一生涯を通して受給可能です。

また、夫が亡くなったときに40歳から65歳未満で生計を共にしている子どもがいない場合、中高齢寡婦加算を追加で受給できます。

【受給者が妻】子どもがいない場合

子どもがいない妻の場合は、年齢により受給期間が異なります。

基準になる年齢は30歳以上であるか、30歳未満かです。

30歳以上の場合、子どもがいる妻と同様の遺族厚生年金が受給できます。

30歳未満の場合、受給できる遺族厚生年金は5年間に限定されます。

40歳以上でもないため、中高齢寡婦加算もありません。

大きな差がある基準ですが、30歳未満の女性は再婚の可能性も高いことによる基準のようです。

受給者が夫の場合

受給者が夫の場合も、年齢による受給期間があります。

妻より厳しい条件ではありますが、以下をご確認ください。

基準年齢は55歳です。

【受給者が夫】子どもがいる場合

受給者が夫で子どもがいる場合、55歳以上であれば一生涯の受給が可能です。

しかし、55歳未満である場合には遺族厚生年金の受給ができません。

【受給者が夫】子どもがいない場合

子どもがいない場合も、55歳以上であれば一生涯の受給資格を有します。

しかし、実際に支給されるタイミングは60歳からとなります。

仮に55歳で配偶者を失った場合、5年間はご自身で収入を得る必要があります。

55歳未満の場合は、遺族厚生年金を受給できません。

受給者が父母、祖父母の場合

亡くなった方が厚生年金加入者であった場合、父母や祖父母が遺族厚生年金を受給できることがあります。

受給するには、父母や祖父母の年齢が55歳以上であることが条件です。

ただし、実際に受給できるのは60歳から一生涯です。

遺族年金の受給額

遺族基礎年金と遺族厚生年金では、受給額の計算方法が異なります。

特に遺族厚生年金の計算方法は複雑であり、年金事務所などでご確認されることをおすすめします。

参考までに、以下にまとめます。

遺族基礎年金の受給額

遺族基礎年金の受給額は、年間78,1700円です。

この金額に、子どもの人数による加算が加えられます。

第1子と第2子には各224,900円(年間)が、第3子以降には各75,000円(年間)が加算されます。

参考:日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)

遺族厚生年金の受給額

厚生年金の受給額は、令和2年4月を境に計算方法が異なります。

複雑な計算式により算出されるため、計算方法が知りたい方は以下の日本年金機構のページでご確認ください。

参考:日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)

詳しい金額はお近くの年金事務所などでご確認ください。

まとめ


家計を支える一家の大黒柱を失うのは、精神的にも経済的にも辛い出来事です。

被保険者が納めた公的年金保険料は、これらのいざという時のために収めたものです。

遠慮することなく、しっかりと請求を行い、ご遺族全員の今後を支えるために利用しましょう。

年金が増える可能性がある加給年金に興味がある人は、以下の記事も合わせてご覧ください。


どうぞご無理なさらず、ご健勝下さい。



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