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やれない人<<やれる人<ヤる人 第35回 かつお

わかめさん、こんにちは。かつおです。

わかめさんの前回の日記、とてもおもしろかったし、すばらしかったです。正直……ぶちのめされました。ぼくが童貞である理由を暗に突きつけられたかのようです。からかうわけではなくて、やっぱりわかめさんは最後には、やるんですよね。やるんですよ。すごいです。やる人間に、ぼくみたいな口だけ人間は敵いません。ゴミクズだと悟りました。

まず劇団で活動している彼をフッたそうですね。やっぱりわかめさんはフれるんですよ。フるんです。まだ彼を好きだったんですよね? 普通の人だったらもう少し長くしぶとく、例えばメンヘラを小出しに発揮して、彼の注意をひこうとするものじゃないですか。でもわかめさんはネチネチとつなぎとめるくらいなら、ひと思いにぶっ壊す。関係をぶった切る。後のことはそのとき考えればいいじゃないか。リスクを考えて何もできない、ぼくの思考と正反対で、かっこいいなあと思います。

そしてこの日記に突然現れた登場人物、Tさん。「何者だ?」と思っていたら、把握する間もなく、わかめさんはTさんと寝ている。さらっと書いてるけど、わかめさんはやっぱりちゃんと寝るんですよ。寝るんです。痛烈なピッチャー強襲をくらった気分でした。わかめさんの言葉を借りるなら「高尚な日記」を前回書いたぼくでしたが、わかめさんの日記を読んで「わざわざご立派な決意表明なんかしなくていいから、やってみせろよ。女の一人や二人口説いて、童貞卒業してみろよ。あ? 口だけで結局なんもできねーじゃねえか! この、クソキモ童貞野郎が!」とお叱りを受けた気分でした。本当に自分が情けないです。(前回の日記は、そういうメッセージをはらんでますよね?)

そしてどうしたらいいものか、悩みました。3月で東京を離れて、ど田舎の地元に戻ってきたぼくがここで何かやれるのか? 車がなければコンビニにさえも行けないこの地で女性と出会えるのか?

考えたすえに文明の利器に頼ることにしました。そうです。マッチングアプリと呼ばれる「Tinder」を使ってみることにしたんです。

ぼくにとっては苦渋の決断でした。今までまともにTinderを使おうとしたことがなかったんです。理由は3つあります。

まず、ずばりTinderを使っていることを知り合いに発見されるリスクがあるからです。Tinderって表示された相手ユーザーとfacebookで共通の友人がいる場合、その友人が表示されちゃうんですよね。その機能を使って、ぼくの知り合いの女子は、知り合いがいる相手ユーザーの画面をスクショしておいて、後からその知り合いの友だちに情報を流したり、聞いたりするそうです……。これは稀有な例で実際は見つかる可能性は低いとわかりつつも、リアルでお付き合いがある人にネットでの姿を見つかるかもしれないと思うと怖くないですか? ぼくはネットとリアルで差が生まれやすい人格なので、ビクビクしてしまいます。

次に自分の顔に自信がないので、誰かのスマホの画面いっぱいに自分の顔が表示され、そして評価を下されると思うと恐怖でした。ぼくにとって初対面の相手に、ああいう形で自分の顔面をさらすことは、自分の男性器をさらすことの10分の1くらい恥ずかしいんです。10人の女性に、少なくとも自分でいいと思っているであろう自分の顔写真を見られたとすると、道端を歩く女性に突然、ちょっとコンディションが良い自分の男性器をさらすのと同じです。死ぬほど恥ずかしいでしょう。おまけに「コンディション良くて、それ?ww」なんて思われたら、絶望するでしょう。いや、その前に捕まるでしょう。

Tinderでは不特定多数の女性に自分のボテッとした精気の薄い顔がさらされます。少なくとも複数回、男性器をさらすくらいの回数は自分の顔を見られますよね。

最後にぼくの童貞丸出しのロマンチシズムゆえに、出会い系アプリでの出会いを認めたくありませんでした。やっぱり出会いというのは偶然かつ自然な状況下でなければ……って思ってたんです。Tinderを使うような無味乾燥で下心丸出しの出会いはちょっと受け入れられなかったんですね。

つらつら書いてきましたが、一言で言ってしまえば、自分のプライドがゆえに出会い系アプリを使いたくなかったんです。どうしてもそういうものを使うのはかっこ悪くて、恥ずかしいことだと思ってました。でも、「友だちに見つかったからってなにか困るのか? お前、そもそも恥ずかしがるほどの顔面してんのか? 『人に顔を見られたくない』って自分の顔面気にしすぎで、逆にクソキモいで。あと運命の出会いみたいなのを夢見るのも止めたほうがええで。『君の名は。』の世界じゃないんだから」と自己問答を繰り返しているうちに抵抗がなくなってきました。

さて、そんなこんなでTinderを使い始めて3日間が経ちました。気合い入れて顔写真4枚つけて、プロフィールも無難に書いています。ほとんどの女性は「LIKE」にしています。

結果……

2人とマッチしました。
「こんにちは〜^^」と送りましたが、返答ありません。

もうスワイプする相手がいません。
田舎だからでしょうか。


ウジウジ考えたすえに、勇気を出して踏み出した小さな一歩は的外れだったようです。なんかさらに恥ずかしいです。もっと頑張ってメッセージ送れよって感じですが、どうしても気乗りがせず……。やっぱりTinderはもう少し経ったらやめて、また違う方向を探ろうと思います。

明日は大学の卒業式です。結局卒業するまでに、卒業はできませんでした……。

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