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こうして都合のいい女に戻るのだ 第34回 わかめ

こんにちは。

かつおさんの前回の日記「弱さは麗しいが、磨くと刃になる」、すごかったです。なんだかもう人生を達観しているような、悟っているような・・・。すごく高尚なことが書かれていて、私の稚拙な行動と下手な文章がとても恥ずかしくなりました。

自分の弱さ・・・そんなこと今まで生きていて一度も考えたことがありませんでした。

でも言われてみると、身に覚えがあります。私はすごくわがままで自分のことしか考えていない人間です。特に親しい人、例えば家族や彼氏などにはこの本性はすごく現れていると思います。自分の思い通りにならなかったら、怒る、無視する、泣く。劇団の彼氏はとても好きだけれど、少し心の距離があったので、そのような面は今まで見せてきませんでした。しかし、かつおさんの助言もむなしく、とうとう私はがまんできずに、自分の弱さをむき出してしまったのです。

前回話した、彼のそっけない電話で私の中の何かがプツンと切れました。そして翌日の朝になってもモヤモヤしたままだったので「ごめん、別れよう。会えるとか会えないとかではなく。さよなら」とlineを送りました。

そしたら、1時間後くらいに返信がきて「あー、なんだかごめんね。」「また気がむいたら、映画とかご飯とか誘ってくれたら嬉しい。」ときました。

えっっっ??それだけ???なんで引き止めないの?えっ、なにこれ。

あまりの彼の軽さに驚きが隠せません。

同時に、その返答にショックを受けている自分に気が付きました。

あれ ‥‥なんでこんなショック受けてるの?本当は別れたくなかったんじゃないか‥?

「別れよう」って言って彼の気を引きたかったのか??

たぶんそうなのです。本当は別れる気はさらさらなく、こういった鋭利な言葉を投げかけることで、彼にかまってほしかったのです。

私はそういう人間なのです。恋愛に関わらず頭にくると、後のことも考えずに、すべての関係を壊したくなってしまうのです。

しかし今から「ごめん、別れようは言いすぎた、別れるのやめよう」というのはカッコ悪すぎます。というか、すべてが私の一人芝居みたいで悔しい。でも別れたくない。

今、彼からきたラインは既読をつけずにそのまま放置しています。彼のツイッターは毎日見ていますが、普段と変わりません。少しも私と別れたことがショックではないのでしょうか。私ってそんな小さな存在だったのでしょうか。普通に日常を送っている彼が憎くてしょうがありません。死んでとは言わないけれど、リストカットくらいしてほしかった。

さて、日記はまだ終わりません。「別れよう」という連絡をいれた夜、ずっと劇団の彼のことを考えていたところに、一件の電話が入っていました。

電話の相手はTさん。

Tさんのことはこの日記では話してはいませんでしたが、一昨年の年末ごろから就活の相談などでお世話になった二つ上の人です。

ただの就活のアドバイスをくれる先輩だけだったらよかったのですが、いつのまにか就活相談から恋愛相談に変わっていき、終いには寝てしまいました。数か月間関係は続きましたが、付き合うこともなく、去年4月にTさんは仕事で富山に、私も劇団と付き合うことになっていたので、たまに連絡をとる程度の頼れる兄のような存在でした。

私はどぎまぎしながら電話をかけ直しました。

わかめ「もしもし?おひさしぶりです。急にどうしたんですか」

T「いや、なんとなく元気かなって思ってさ 」

そうなんです。Tはいつも忘れたころに電話をかけてくるのでした。

その後世間話が進み、話題は恋愛の話になります。

T「わかめちゃん、あの劇団だっけ?その彼氏はまだいるの?」

わかめ「あ、それが今日別れたんですよー。Tさんもなんかすごいタイミングですよね。」

T「えっ?なんのタイミング?(笑)」

わかめ「いや、なんでもないですー、Tさんはどうなんですか?富山かわいい子多くないですか」

T「んーわかめちゃんがいい。今すぐ富山きてよ、新幹線代とタクシー代出すから」

そこで私はときめきます。男性の「今すぐきてよ」という言葉にとても弱いのです。

わかめ「いや、いけませんよー。ちょっと落ち着いたら、遊びにいきますね」

T「え、なんで無理なの?3月は?」

わかめ「(えっ、急すぎるよ、劇団とも正式に別れたわけじゃないし‥‥)いや、ちょっと3月はバタバタしてるので‥」

T「俺の休み言うよ、○日と○日と○日、ほら、○日と○日なら二日連続で空いてるから、富山回れるよ」

わかめ「あー、ちょっと、ちょっとまた予定がわかったら連絡しますね。」

私は突然の富山の誘いに驚きながらも、どこかで喜んでいました。

そしてだんだんとTのことを思い出してきました。

エレベーターの中で恥ずかしげもなく「今夜は帰さないよ」と言いながら、壁ドンをしてキスをしてきたこと、

ピロートークで「そんなにカンボジアがひどいなら(その頃はカンボジアのことも相談していたのでした)俺が愛してあげるよ」と言ってきたこと、

酔って「なんで付き合ってもないのに私と寝たんですか?」と問い詰めた時にも「わかめちゃんが好きだから」とちゃんと言ってくれたこと。

文字にしてみると、ただの恥ずかしいセリフに私がまんまと乗せられている感満載ですが、実際目の前でそんなことを言われたら、その強引さに惹かれてしまうんですよ。

Tさんのマッチョな男らしさいいなー。きっと劇団とTさんを合わせて2で割ったら最高なんだなーと思い出していたら、Tさんが言いました。

T「俺、本当にわかめちゃんと付き合いたいって思ってるよ。」

わかめ「(キターッッッ!!!!!)えーうそだー。いつもTさんは口からでまかせなんだからー」

T「ほらそうやっていつもおちょくる。俺、本気だよ?」

わかめ「えー、だって富山と東京の遠距離なんて無理ですよー。また、会った時に考えましょ(どうしよ、どうしよ、私、告白された??されたよね??)」

わあ、告白されました。劇団と別れた日に。いや、でももう体の関係は持ってるし、これってただ遊ばれてる?ってか、できすぎな話じゃないか?いい交換日記のネタができたな。などと私はいろいろなことが私の頭の中に渦巻きました。

今、私の手帳にはTの休日が赤丸で記してあります。

私は富山に行くのでしょうか。行く予感しかしません。

ただTとは付き合ってもうまくいかない気がします。Tはとてもいいかげんな性格ですし、劇団以上に放置されるでしょう。しかも遠距離になるし。

はあー、でも劇団のこともやっぱり好きだ。どうするべきか。。。

かつおさんからの高尚なテイストを引き継ごうと思ったのに、また下世話な話になってしまった。今日もがんばります。

わかめ

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