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自叙架空#137


 
ある週末、IQが二十二万あるという地球外的生物とチェスの勝負をすることになった


 
 
地球外的生物は、腕が二本、足が二本、頭が一つと容姿こそ人間と「ほぼ」同じだが、自分は宇宙一高等な頭脳を持つ種族の中でも更にエリート一中のエリートで、貴様のようなトイレのスリッパの裏以下の下等生物に負ける訳がないと言い放ち、こんな原始的なゲームやるだけ時間の無駄だと嘲笑した



先手の私が初手を指すと、地球外的生物はほんの一、ニ秒考えただけで、三十八手後に自分がクイーンで貴様のキングをとって勝利すると断言し、私がどうぞ言うと、地球外的生物は椅子から小さなハシゴを使ってテーブルの上のチェス盤に乗り、自身の体の十倍くらいある駒に両手を添えて全身で動かそうとしたものの、どんなに力を込めても駒は一ミリも動かなかったので私は降参を促したのだが、地球外的生物は全身汗だくで肩で息をしながらも頑なに負けを認めなかった


  
    コウ

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