カンタス航空

#同時日記 #飛行機

初めて飛行機に乗ったときのことは忘れられない。
成田空港で、間近に飛行機を見た瞬間に思ったことは、こんな巨大な鉄の塊が空を飛ぶわけがない、という率直なものだった。いっそ乗らずにこのまま帰ってやろうかとさえ考えたが、まわりの人々は、平然とした顔つきでチェックインをしていくので、「赤信号みんなでわたれば怖くない」ではないが、俺もしぶしぶ乗り込んだ。
映画『レインマン』で、ダスティン・ホフマン演じる自閉症の兄レイモンドが、過去の飛行機事故の細かいデータを次々に挙げて、搭乗を拒否する。それでも主人公のチャーリーが、無理矢理手をひいて乗せようとすると、パニック障害を引き起こしてしまう。
レイモンドは、「飛行機に乗るなら過去に死亡事故を起こしていないカンタス航空しか乗らない」と言っていた。
飛び立つ機内で、俺はシートに身を埋め、これがカンタス航空だったら、どんなに良かったことだろうと思いながら、眉間に皺をよせていた。