あと4年で海に沈むと言われたのコピー

Rubjerg Knude fyr(Lighthouse) moved. ルビャオ・クヌード灯台が無事に移動完了!

2019年10月22日(火)、デンマークにある重さ700トンの灯台が内陸側へ70メートル移動されました。一体これは何のために行われたのでしょうか。

今夏、僕はこの灯台に興味を持ったので、移動される前にこの場所へ行ってきました。

今回はたくさんの海外ニュースメディアで紹介されていた内容を、日本の灯台マニアの方にお伝えできたらと思いこのnoteを書きました。


いつ何があったの?

デンマークのユトランド半島北西海岸に「あと4年で海の浸食により倒壊する」と言われている、海抜約90メートル砂丘の上に立つ灯台がありました。

その名はルビャオ・クヌード灯台(Rubjerg Knude Lighthouse)。高さは23メートル、重さは700トン。長年の波の浸食により灯台と海の間は6メートル程になっていました。

この灯台を倒壊の危機から救う「デンマークの歴史上初のプロジェクト」が10月22日の朝9時より決行され、約6時間後に無事に70メートル内陸側に移動しました。


どんな経緯だったの?

ルビャオ・クヌード灯台は毎年250,000人以上の観光客が訪れる人気スポットです。

灯台のあるイエリング地方の自治体から依頼があり、デンマーク政府が灯台を約60〜80メートル移動することを決めました。

イエリングの市長Arne Boeltは上手くいかない可能性もあり、リスクも大きいので「灯台を壊すべきだ」と反対意見もありました。

環境大臣のリー・ヴェルメリン氏はルビャオ・クヌード灯台は国宝であるため、約8,000万円の予算が割り当てられたと述べています。これにはイエリング市民も貢献しています。


どのように移動させたの?

地方自治体では灯台を分解して配置するか、レールを使ってそのまま移動するかの2つの選択肢がありました。

今回は地元の建設会社Kjeld Petersnaによって7立方メートルのコンクリートが灯台下部を補強した後、レールを使っての移動が行われました。

風によって砂がレール内に入り込むと油圧プレス装置が壊れる可能性や、灯台を持ち上げた際に崖が崩れてしまう可能性がありました。

しかし、灯台は無事に移動を果たしました。当初の想定よりも240トン軽かった為、1時間で12メートル動かすことが出来ました。

さすがに↑コレはできへんな…

どのような工事なのかイラストで見れるサイト↓

今回の工事概要がいっぱつでわかる、97秒映像↓


この灯台にはどんな歴史があったの?

1893年から1927年にかけて、デンマーク海域の船舶の指針とするために国内に71の灯台が建設されました。ルビャオ・クヌード灯台もそのひとつで120年前の1899年に建てられ1900年に初めの光を放ちました。

完成当時はまだ崖から200メートル離れていました。砂丘もまだ小さかったのですが、1910年~1920年にかけて海風が崖の砂を大量に吹き上げます。

この砂に対しては多くの植物を植えましたが、植えれば植えるだけ砂丘は大きくなっていきました。

最終的に砂丘が灯台の高さを上回り、灯台の光が海を照らすことは出来なくなります。そして、新しい航法技術により灯台は不要になったので、1968年8月1日に最後の光を放ちました。

時は流れ、1980年にThe Sand Drift Museum(砂の漂流博物館)として再始動しました。しかし、徐々に砂に埋もれていき、2002年に再び閉鎖されます。

そして2016年の春、再びルビャオ・クヌード灯台が一般向けに再び公開されます。灯台の上部には大きな風力の万華鏡が挿入され、灯内部のインスタレーションとしても魅力を発揮します。


これにより、灯台の上から自然のダイナミックな光景を楽しむ最後の機会が与えられました。


過去の歴史を参考にしたサイト(オフィシャルHP)↓

サイト重くて開くまで時間かかりますが、歴史から灯台内部の図解まであって超おすすめ↓


普段はどんな場所なの?

海と空と砂丘が広がる壮大な景色の場所です。下記よりドローンからの撮影をどうぞ。


どんな人たちが関わったの?

今回多くのメディアに取り上げられていた人物が、地元の建設会社Kjeld Petersnaのレンガ職人Kjeld Pedersen氏です。

移動が無事に成功した後のインタビューで「私はチームを誇りに思っています。」と言って、何度も何度も自分だけが名誉を持つべきではないと主張しました。

名誉を分かち合う1人にクレーン会社BMSKrangårdenのJohn Christensen氏も上げています。

Kjeld Pedersen氏は9歳のころから始めたこのレンガ造りの仕事を、60歳になる来年4月での引退を考えています。今回の工事を見守ってくれた妻と一緒に過ごす時間、釣りに行く時間を増やすようです。

工事終了後のレンガ職人Kjeld Pedersen氏インタビュー↓

移動日直近までの工事記録が見れるサイト↓

今回の工事を見守った方々までのインタビューもあります↓

妻のウラさん工事最後の瞬間↓


これからどうなるの?

まず、コンクリートを灯台の下に埋めて固定させます。そしてペンキを塗り、11月16日の再開を目指します。

今後、約40年間はこの場所にとどまりますが、その後再び海岸線の脅威にさらされることが予想されます。

なぜ、もっと内陸に動かさなかったかというと、灯台が海の近くにあることが人々を惹きつける理由だからなのです。


まとめ(個人的感想)

無事に移動ができて本当~~~~っに良かった!

これでまた、いつの日にかルビャオ・クヌード灯台と再会できる楽しみが出来たというわけです。この地で出会ったデンマーク人の青年ヴァルデマーも喜んでるやろな~。

そうそう、もしもですけどこのルビャオ・クヌード灯台に行ってみたいという方がいらっしゃれば、僕が以前書いたこちらを参考にしてみてください。


画像1

また会おうぜ。ルビャオクヌード灯台。

今回の記事は海外メディアを参考に書きましたが、一部認識に誤りがあるかもしれません。間違いがあった場合はお手数ですがFacebookメッセンジャーより教えていただけると幸いです。

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