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2018.09 - 2020.02.15(四)

前回からの続きとなります
2018.09 - 2020.02.15(三)

2019年3月初頭。
今回のライブにも同行してもらった友人立ち会いの元、初対面の人とほぼ1対1の状況の中、簡単なディレクションも行いつつ2時間で1曲を最後まで録音するという、私にとっては結構特殊な出来事がありました。
翌日にはエディット含めほぼ完成まで持っていけたその曲は結局諸事情でボツとなりましたが、何となくの草案はあれど2019年に何を作るか結局決めあぐねていた自分にとってはむしろ好都合だったと思います。
その人が【NOTO】の"voice"、YUKI SHIGAさんです。

(一)で少し触れたように、眞鍋氏との合致性が見えつつあったのもこの頃で、彼がボイスメモで送ってきた曲に破茶滅茶なアレンジをして送り返した結果、それがとても好感触だったようです。その好感触である旨の感想が私にとっての好感触でした。とにかく、好感触の応酬。

そんなこんなで【NOTO】が始まったのは5月。勿論その頃はノトのノの字もありませんでしたが、あらためてキーを確認するために用意した曲が「暮らし」「羽虫」の眞鍋曲2曲、私の曲は「NEO CORPSE」とボツ2曲でした。

当初の予定した規模感で収まるはずがないと確信したのは割とすぐの事で、ここから2人の約半年に渡る怒涛の奈良通いが始まったわけです。
はっきり言ってかなり滅茶なタイミングでデモや譜面を渡す事になったり、そのデモもガイドメロだけ、終わった曲も歌詞やキーの変更でやりなおしたり、その度に奈良に来てくれました。

特に『暮らし』はずっと録音していました。これでいこう、となった次の週には「やっぱり前の感じのほうがいいけど、前のテイクに戻すのは違う」とか。すげぇなおい...とは内心思いつつも、そう言ったニュアンスがちゃんとした「要点」として全員が共有出来ていて、その度に70km南下してくる彼は今思うと面白すぎます。

「良いですね!」「じゃあもう一本欲しいです!」
と首を傾げながらも好き放題のたまう我々2人の無茶振りを聞きながら、半畳にも満たない箱の中に1人きりで、どれほど首を傾げていたんでしょうか。真夏、首に巻いた氷マフラーは何度もただのマフラーになってました。

毎回の思い付きを可能な限り的確に伝え、それを可能な限り丁寧に仕上げるという繰り返しの中、出来上がったものに最早コンセプトもテーマも残っていないわけで、その辺りから「丁寧なのに説明内容が雑」という現象が普通になり、プロデュース大失敗、NOTO失踪。これはコンセプト・ネタとしては成立しても、狙って作ることは出来ません。
結果として【NOTO】である、というのはこういうことで、勿論それなりに困りましたが、三人合わせてNOTOではなく、四人目を生もうとしたわけでもなく、三人で一人になろうとしたわけでもない。

では一体【NOTO】とは?
全員が説明できる事は沢山あると思いますが、「NOTOとは結局何なの?」という問いに対しては「分からない」んです。

今回の「拡式」とは桶田知道サポートという位置付けで、後に付く「フ型」というのは形態・編成名です。(123、ヒフミの「フ」で、サポート三人なら「拡式ミ型」といった具合です)

【NOTO】は紆余曲折ありながらも、最終的には絶対条件である「ポップス的集約」をもって、アルバム「NOTO」としてフォーマット化出来ました。その段階で、プロジェクトは終結しています。
今回2人が「拡式フ型」として参加しているのも、前述の形式と照らし合わせれば、それは偶然であると言えます。全く同じセットを全くの別人の協力の元で行ったとして、得る結果は変わったかもしれないし、変わらなかったかもしれません。

ただ、今私の目の前には謎の達成感と喪失感が横たわっています。
それは何故なのかは不明ですが、恐らく、得難いものを得たということなんだと思います。

帰宅した時から今まで長々とロクな推敲もせず振り返りました。日付的にはもう2日も過ぎています。
時間単位・作品単位で総括出来ず、しかも音楽ではなく文章でしか表現できないこと、これは腐っても音楽家を名乗る身としては残念ですが、「鉄は熱いうちに打つ」を鵜呑みにしてみました。

あらためまして、2018年9月の「螺旋境にて」に始まり、湯田温泉「ゴソゴソ」まで続く、関わっていただいた方々に感謝申し上げます。
引き続きよろしくやろうと思いますので、何卒良しなにお願い申し上げます。本当にありがとうございました!

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追伸
大江千里さんの「Rain」の1フレーズに、

今日だけが明日に続いてる

というのがありまして、最近「言の葉の庭」を初めて観てアレだったという現象もありますが、奇しくも16日の朝からの大雨で、本当にアレなんですけどそれを思い出してしまい、普段そういう経験が皆無の人間としては、かなりアレでした。

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