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12 スカイ・ロード

「彼が現役に復帰できる程度の負傷ならば、うちが彼をスカウトできないよ。補給本部に掛け合ったところで、そこそこ腕のいいパイロットを期限付きでレンタルできる程度だ。そしてそこそこ腕のいいパイロットなら、うちのテストパイロットのほうが上だ」
 元々開発設計局のテストパイロットは、最新鋭の戦闘機やミサイルの試運転を行うため、一定の経験と飛行時間が求められている。そのため、テストパイロットとはいえ、前線での戦闘経験もあれば、パイロットとしての個人技能も高い。
 カイザーも、かつての彼のままならば、相当の個人技能を有していた。
 しかし今のカイザーは歩行すら出来ない。
「しかし彼は完全に下半身不随になったのですよ?」
 エンバリーがそう言うと、フィードラーは机に手をついてニヤリと笑った。
「それは問題ない。うちが彼に求めているのは、パイロットとして空を飛ぶことじゃない。これまでに彼がパイロットとして得た知識・技術・経験を必要としているのだから」
 開発に携わっていたのだから、エンバリーにも下半身不随となったカイザーでも十分にその役目を果たせると知っていた。

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