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日本から、魚が消える日。

スペイン、バルセロナへ来て4日。

多くの方との国際交流を終え、様々な学びを得ると同時に日本の『サスティナブルシーフード』の遅れを痛感する。


『サスティナブルシーフード』

噛み砕いていうと、長く孫の世代まで美味しい魚を食べるためにはどうしたら良いか?を考える事。今日本の水産物は危機的状況にある。それを僕達シェフが中心となり、水産資源を守る為に様々な活動をしている。一般的な例として、マグロやウナギが減っていることはみんなも聞いたことがあるだろう。しかし現状はもっと深刻で、安定的に取れる(持続性のある)水産物は日本にほとんどない。ただ、この事を知っている人は世の中にほとんどいない。

全ての魚が減っている。僕が料理を始めた10数年前と比べても、魚の量は減り、値段は高騰している。でもスーパーやコンビニには今日も魚の商品は並ぶ。なので、普通に生活をしているとその事に気づく機会は無いに等しい。しかし、その魚たちがほぼ輸入品である事を知っているだろうか?決して輸入品が悪いわけではない。ただ日本の魚が減っていることを知ってほしい。


海の近くで産まれ海に育てられた

何故僕が魚の話をしたいのか。FacebookやTwitterでこの手の話をしても殆どイイネは付かない。難しい話に聞こえるのか?それとも単純に魚に興味がないのかは分からない。魚食自体も年々減っているし、家で魚を使うのは確かにめんどくさい。でも僕は日本の文化である魚を食べるという事を護っていきたい。

僕は神奈川県の三浦市というところで産まれ、育った。小さい頃から海と共に生活し、食卓にも魚介類が常にあった。小さい頃はあまり好きではなかったが、今はとても大好きで、如何に特別な環境だったかがわかる。朝一で漁港に行き、生きている魚に触れた経験は、自分の料理感にも影響を与えているし、食べる事は生きる事という感覚も、この頃から養われていると僕は思う。

だからこそ僕は日本の海を守りたいし、育ててもらった恩を返していきたい。少しでも日本の海の事をみんなに知ってもらいたい。その一環でバルセロナまで僕は来ている。


『サスティナブルシーフード国際カンファレンス』

東京のシェフ達が集まり活動をしている『Chefs for the Blue』。この取り組みが世界のサスティナブルシーフードのコンペティションで世界一位になった。その副賞として今回国際カンファレンスにお招きいただき、ここスペインへと来ている。世界中から集まった人たちが、海にまつわる様々な課題解決のためにディスカッションし、情報を共有。よりよい未来の為に今何が出来るかを考える。

海の未来をどうデザインしていくのか?

ここnoteで難しい話をしたいわけではない。ただ少しだけ、ほんの少しだけでも日本の海について興味をもってもらいたい。日本の素晴らしい水産物を子供や孫にも残すためにも。

日本の魚が減っている。どうすれば魚は増えるのか?

答えは単純で、魚を捕る量を減らせばいい。

ただ漁師さんたちは魚を捕ることで生計を立てている。魚を捕る量を減らすという事は収入が減るという事だ。なので、収入が減らないように魚の価値を高めたり、今まで使っていなかった未利用魚を使った商品を作ったりする必要がある。国が規制をし保証を出してくれれば一番早いのだが、色々な問題からそれは難しい。一筋縄ではいかないのだ。


僕達も明確な答えは見つけられていないし、何が出来ているわけでもない。ただ今回こうして世界の人達と触れ、沢山の考えや成功事例を知ることが出来た。これから行動に移していき、未来を少しでも良くしていきたい。


一体何人の人がこの記事に興味を持ってくれるかは正直分からない。それでも何もしないよりはいいはずだ。少しでも日本の海の未来の為に出来る事があるならば僕は行動し続ける。自分を育ててくれた海の為にも。

皆様の優しさに救われてます泣