「攻撃行動」以外に集団で見られる対人行動とは?
困ってる人を助ける「援助行動」と集団との関係について
人間は、他者と助け合いながら生活をしています。
しかし、他者に対して「助けて」と援助要請をすることを苦手に感じる人を少なくありません。
援助行動が生じるまでの過程を理解し、「傍観者効果」など援助が起こりにくい要因について理解していきましょう。
援助行動が生じるまでの心理的な過程
援助行動は集団内で生きる人間が求める幸福感を、効率よく満たしてくれる行動です。
実際に援助行動を実行する際には、ある一定の過程を経て実行するかどうかが決まっていきます。
その過程とは、
①援助が必要な状況を視野に捉える
②援助が必要だと認識し、
③援助することにによってどの程度自分に責任がかかってくるかを検討
④どのように援助に介入するかを考え
⑤実際に援助行動に移る、
という過程を辿ります。
人間は、援助にかかる労力やコストが大きいと援助行動に移るのをためらう傾向を持っています。
これは、冷淡とか無関心など、個人のネガティブな感情を起因するものではなく、
ごく自然な判断です。例えば、大きな荷物を持ったお年寄りが目の前を横切った時、自分がこれ以上持てないほどの荷物を持っていたら援助行動に移りにくい、ということです。
援助される人の心境
他人を助ける「援助行動」は、抵抗なく行動に移せる人が多いのですが、他人に助けを求める援助要請は「苦手」と感じる人が結構います。
なぜ、人間が援助要請をしにくいのかというと、誰かに助けてもらうことで
「心理的負債」(返さなければならない貸し)が生じるためです。
社会には、何かしてもらったら、お返しをしなければならないという「返報性の原理」があります。
援助してもらうと、援助をしてくれた人に返報を義務付けられた状態になり、心理的負債を請け負いたくなくて、援助要請を出しにくくさせる要因です。
援助を受ける行為は「自分で問題解決する能力がない」という自らの否定的な一面を他者に伝えてしまいます。
僕たち人間は、自尊心が傷つけられる場面から逃げようとしてしまうのです。
周りに人がいると援助行動が生じにくい
僕たちの援助行動は、周りに誰かいる場面よりも、ひとりの場面の方が出やすい傾向を持っています。
つまり、他者が存在を確認することにより、援助行動が抑制される傾向があるのです。
このことを「傍観者効果」と言います。
傍観者効果が生じるのは、「他にもたくさん人がいるんだから、わざわざ自分が助けなくても良い」という責任の分散と、援助行動をすることにより、周囲の人が自分をどう評価するかが気になる評価懸念が大きく影響しています。
この評価懸念は「お節介」「親切ぶっている」など、周囲から否定的な解釈をされることを心配する、社会的動物独特の傾向です。
しかし、人間は他者の援助行動を観察することで、援助行動が促進される傾向を持っています。
評価懸念に負けない気持ちで援助行動に踏み込む姿勢が非常に重要です。
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