心の理論

人間特有の他者を理解する力

僕たち人間は、他の動物にはできない特殊な過程で他者を理解する特徴を持っています。

それは、他者の行為を相手の心理的な状況から理解しようとする「心の理論」と呼ばれるものです。

「心の理論」とは相手の心の動きを読み取ったり、相手が自分とは違う信念を持っていることを理解する機能のことです。

「心の理論」をわかりやすく説明するために、「心の理論」に関する実験をご紹介します。

「心の理論」の実験で有名なのが「アンとサリー課題」と呼ばれる実験です。

この実験は3歳〜10歳までの子供を対象に行われました。

子供の人形を使いながら次のことを説明していきます。

①アンとサリーという名前の人形を見せ「2人は一緒に遊んでいる」という状況を説明します。

②「サリーはボールをカゴの中に入れて部屋を出ていきました」と伝え、サリーの人形を隠します。

③「サリーが出て行った後で、アンがボールを別の箱に入れました」と伝え、アンがボールを別の箱に入れる姿を見せます。

④「サリーが部屋に戻ってきました」と言い、サリーを部屋に戻します。

⑤ここで子供に「サリーはボールを取り出そうと、最初にどこを探すでしょうか?」と質問します。

この問いの答えは、もちろん「カゴの中」です。しかし相手の立場に立って考えることができない(「心の理論」の発達が遅れている)と、この問題に正解することが難しくなります。

「心の理論」の課題はだいたい4、5歳で正解できるようになります。つまり、僕たち人間は4、5歳から相手の心情を理解するという能力を持ち始めると考えられています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?