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「糸魚川版・マネーの虎」で見えてきた有意義なイベント運営のコツと魅力

株式会社新潟家守舎 代表 小林紘大さん。自身の法人以外にも多数の事業を手掛けており、携わっている事業は30以上にも及ぶパラレルワーカーとして活動している。
今回は、紘大さんがマネージャーとして携わっている駅北ラボにて行われたイベント「イトコレ」について伺った。
イトコレとは「糸魚川でコレやりたい!」の略。
地域愛と未来への活力に溢れた企画の裏側を紹介していく。

「イトコレ」は糸魚川版「マネーの虎」

はじめに、駅北ラボとは糸魚川における実践者のコミュニティである。

「今の糸魚川に必要なのは実践力と挑戦しやすい環境、そして人と人との繋がりだ」という考えのもと発足したコミュニティで、紘大さんはマネージャーのポジションで立ち上げから携わっている(駅北ラボの詳細は紘大さんが担当している公式noteで)。


2022年6月26日に実施されたのが、駅北ラボマネージャーを中心に企画した「イトコレ」である。




イトコレとは、その場で出資が受けられるかもしれない大プレゼン大会。
応募の中から選ばれた20〜30代の若手実践者から数名のプレゼンターが、市長達に向けて糸魚川でやりたいことを伝える。


・プランに不足箇所はないか
・「絵に描いた餅」で終わらせない実行力があるか
・駅北エリア活性化のための波及効果が望めるか

これらの観点から審査員らが、その内容に対して支援するかどうかを検討。
支援が決まればその場で資金を受け取ることができる。

紘大さん(以下、紘) この糸魚川版・マネーの虎を企画する前から、
0→1(ゼロイチ)を作るよりも0.1→1を増やす着眼点を持って、イベントを企画したいと考えていました。

イトコレはまさに0.1、つまり
「熱意を持って前に進んでいる、その動きにブーストが欲しい人」を
資金という最強の形で応援する企画なのである。

紘 声をかける、情報や仕事を提供する……色々な応援の仕方がありますが、イトコレを通して「資金援助って最強だ!」と痛感しました。

目の前で5万とか、多いものだと30万以上の資金をその場で手にする。当然ありがたみが生まれるし、その場全体がワッと温かくて優しい熱気で包まれて、笑顔で手を叩きあって……。
地域への思いを高められるいい機会になったと感じています。

ハレパネで作成した札束の小道具も、場の雰囲気を盛り上げた

単なるビジネスプレゼンじゃなく「グッときちゃう地域愛」を

紘 プレゼンターとして参加される方は、ご自身の取り組みに対して黎明期から停滞期を迎えている場合が多くて。停滞の理由は大抵、コロナで資金不足になり、広報がうまくいかないということでした。

ーー「あとは資金さえあれば実行できる」という方のための企画だったわけですね。

紘 とはいえ、投資家に向けたガチガチのビジネスプレゼン会にのようにはしたくなくて。あくまで「駅北ラボ」の企画なので、見ている方もグッとくるような地域愛に溢れた時間にしたかったし、そうすることに意味があると考えていました。

ーー確かに、市長や街の重鎮に向けて「この街でこんなことがしたいんです!」とプレゼンする市民の方がたくさんいらっしゃるって……すごくいい空間ですよね。

プレゼンターたちには当日までに「プレゼン研修」の機会をもうけた。
さらには不安なく全力で臨めるよう、マネージャーが事前に全員分のプレゼン資料と内容をチェック。得意のPowerPointスキルを生かしてアドバイスや修正提案を前日ギリギリまで行ったという。

紘 実際に資金が受け取れるかはプレゼン結果次第でしたが、受け取れなかったとしても内容に応じて適切な行政窓口を紹介できたのが、プレゼンター達にとってプラスになったと思います。

こうした準備や裏側のひとつひとつが、愛のあるイベントを作り上げたと思うと感慨深い。

地域イベントを有意義にするポイント

これまでさまざまな場所で、建築や土地と人とを繋げるイベントごとを企画してきた紘大さん。そうして培った強みは単なる企画力にとどまらない。
「仲間とともに、細やかな心配りを形にし続け、場所と人とが心地よく繋がる空間をプロデュースできる」のが、彼の強みだとインタビュアーは考える。

先述した「適切な行政窓口の紹介」以外にも、イトコレを有意義にするためのこだわりポイントを聞いた。

紘 イベント以前から、プレゼンターの皆さんと駅北ラボのslackを作って連絡を取り合っていました。
参加者同士の横のつながりを作るのが狙いでした。

ーー同じ地域で頑張っている方同士の繋がりは、それぞれの今後の活動にも良い刺激を与えてくれそうです。

紘 イベント当日でいうと、若者であるプレゼンターと審査員たちの間にはどうしても世代の差がありました。なのでビジネス用語の理解や世代間ギャップによるプレゼン内容の認識齟齬が生まれないよう、中間世代の地域経営者を数名お呼びし、コメンテーター(翻訳者)として参加していただきました。

ーーなるほど、プロジェクトのクオリティ云々ではなく「言葉の意味が通じず響かない」なんてもったいないですものね。

紘 それから、当日はリアル+オンライン配信も行う「ハイブリッド運営」を実施。オンラインで観覧する方はもちろん、プレゼンを行う方もいらっしゃいました。

ハイブリッド運営は、今の時代のイベントの基本系になりつつある。
100人カイギで身につけた配信スキルがここでも活きた。

ひとつひとつは細かいポイントに見えても、人数や規模、さらには官民連携の状況によって煩雑になっていくのがイベントという「ナマモノ」。
細やかな心配りを仲間を巻き込んで形にし続けるのが難しい、だからこそ達成した時の満足度もひとしおなのだろう。

「なんか新しいことやりたい!」に順応できる人でありたい

紘 イトコレの企画が形となったのは、駅北ラボチームのマネージャーのおふたりがいたからこそ。

参加してくださった市長をはじめ、これだけの人を集められたのはおふたりが熱心に各所に働きかけてくれたからこそです。

ーーイベントの良し悪しは「参加者と作り手の関係性」にフォーカスされやすいですが、そもそも作り手同士のチームワークも重要ですよね。

あえてご本人にお聞きしますが、紘大さんがこの駅北ラボにマネージャーとして加入しないかとお声がかかったのは、どうしてだと思いますか。

紘 「チームに新しい人間を入れた時の新鮮さ」を求められていたのかな?と、自分の中で仮説を立てています(笑)。

これからも場所と人を繋ぐ企画を形にしたいですし、その形のひとつが「イベント」だと考えています。
何か新しい企画を立ち上げようとしている時、「そういえば新潟に小林 紘大ってヤツがいたな」と思い出してもらえたら。さらには声をかけてもらえたら、本当に光栄です。
最初は漠然としている「なんか」を形にするって、楽しい。
考えただけでワクワクしてきますね。(了)


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