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地域活性化のためではなく描いた未来の先が地域活性化になればいい「8BAN EVENING MARKET」タキビサウナイベントを行った理由


(株)新潟家守舎+コウダイ企画室の小林紘大です。
建築のキャリアをベースに新潟で家づくりの会社をつよくする「コウダイ企画室」と建築プロデュース「AMINARI」そして、楽しい暮らしは自分でつくる「タノクラ」の3つの事業を行っています。

インタビュー記事をnoteに載せます。

インタビュアー:さかもとみきさん

こちらのインタビュー記事の深堀記事になります。
中心街のガレージ屋上でタキビサウナを楽しむ!?イベントを行った理由を主催者2人に聞いた


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300人以上を集客したタキビ×サウナを楽しめるイベント、「8BAN EVENING MARKET」。イベントをを仕掛けたのはたった二人。地方公務員の稲葉一樹さんと新潟家守舎代表の小林紘大さんです。新潟市の中心街のガレージ屋上で仕掛けたイベントでは、サウナや焚火で体や心をリラックスしながら、まちの様子や未来を語り合う参加者の姿が多数みられました。今回は、主催のお二人にイベントを振り返りながらきいたお話をまとめました。


■なぜ「8BAN EVENING MARKET」を行ったのか

プロジェクトが動き出したきっかけは、新潟県新潟市の本町8番町と坂内小路の交差点に位置する「喜盛堂ビル」のオーナーの娘であるデュケット智美(旧姓村木)さんの相談から。家族の住居や知人に貸しながら一定の入居はあったものの、空き家状態が続くビルを「せっかくならまちのためになるような活用をしたい」と稲葉さんに打ち明けてくれたことから始まりました。

主催者の一人、公務員でありまちづくりを勉強している稲葉さんは、もともと公共空間や海でお酒やコーヒーを飲むなどのイベントや企画をよく開催していました。「その場」を楽しむことは多かった一方で、「形に残るような何かをできないか」とという思いも膨らんでいたそうです。

同時に、デザイン、マネジメント、コミュニケーション、プロモーションなどがバランスよく存在する、新しいエリア形成の手法「エリアリノベーション」への興味も膨らんでいました。

そんなときに、やってきた空きビルを利用した「場」づくりの相談。稲葉さんにとって大きなモチベーションになり、取り組むことにきめたのだそうです。

もう一人のイベント主催者、小林さんにも、「『楽しい』をみんなでつくるをモットーに、「建築」「暮らし」「つながり」「文化」の4つの方向性からハッピーな場を生み出していきたい」という思いがありました。

二人の共通言語は、「自分の暮らしは自分でつくる」というもの。未来のまちを思い描き、地域と関わりあい、共創する「場づくり」の実現する一環として、今回の空きビルをきっかけに企画が動き出しました。

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■目的は地域活性化やイベントじゃない!「エリアリノベーション」で叶えたいこと

「心地よい暮らし」を実現するためには、何が必要でしょうか。

二人は、住宅の快適さに加え、日常を送る場=まちの在り方が重要だと考えます。だから、このポテンシャルのあるエリアで、「心地よいチャレンジ」をテーマとしたイベントを行うことに決めました。

目的は、マーケットのイベントをずっとやっていくことではありません。マーケットは「エリアリノベーション」のための手段です。

例えば、今回このエリアを面白いと感じてくれる人が増えると、それを見たお店の人たちが、「このエリアならお客さんが出てくれる」と感じて、マーケット参加だけでなく、出店を考えてくれるかもしれません。そんな風に、このエリアにコンセプトが固まった人たちが集まり、その光景が日常になるところを目指しています。

二人は、「地域の活性化ために立ち上がっている」わけではなく「新しいまちの価値をつくるためのチャレンジ」をしています。

このエリアをどうしたいのか、まちの持つポテンシャルをどう活かすか、どう人を動かし、まちを変えるのかを熟考し、仕掛けているのです。

ゴールは、この周辺で暮らす人、働く人、そしてこのエリアに来る人が、このエリアなら自分らしく、心地よい選択ができる、そんな風に思えるようになること。もちろん、結果が地域活性化に繋がれば幸いです。

「やりたい人がたくさん出てくるきっかけをつくって、一緒にできる人が出てきても嬉しいし、方向性がちがうやりたいことが出てくるのも嬉しい」

やりたい人が、やりたいことをやればいい。2人の本音は、ここにあります。

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■本町8番町と坂内小路からなるBanエリアのポテンシャル

イベントを行った新潟県新潟市にある本町8番町周辺エリアにある坂内小路は、もともと多くの人が往来した古町エリアと、こんぴら通り商店街をつなぐ通り道です。この通りは、川から風が吹いていたのか、夕涼みをして過ごす人が集まっていた場所でもありました。

しかし今では老朽化した建物や空き店舗が増え、昼夜の人通りも少なく、新規出店も少ないエリアとなっています。一方で、素材にこだわった飲食店などが点在しており、根強いファンがいる店があったり、周辺にオフィスも多く、アクセスもよいことからポテンシャルが大きいこともうかがえます。

新潟は、街中でも古町から少し歩けば信濃川や海にも出れられ、自然も近く、「まちなかがここちいい」環境があります。このイベントが、そんな「当たり前だけど贅沢なこと」に気づくきっかけになればとてもうれしいです。

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■屋上ガレージで行った「新しい」マーケットイベントが生まれたいきさつ

空きビル活用の話からスタートした「エリアリノベーション」計画。しかし、「ビルだけ新しくしてもダメだよね」ということで、「このエリアはあたらしく何かが起こっているという状況を見せたい」と二人は考えました。そこで、たどり着いたのがこのエリアの道路を活用した「路上マーケットイベント」です。

アフターコロナの未来では、「道路空間を使って外で飲むのが日常になってくるんじゃないか」「新潟でもそういうエリアを作りたい」という思いもあり、実は最初に「路上マーケットイベント案」で動き出したのです。

■路上マーケットイベントがとん挫しガレージ屋上へ

道路でマーケットを行うには、許可が必要になります。

計画を進めていく中、使いたい道路の許可は下りたものの、近隣住民への配慮の中で課題がみつかり、計画は頓挫してしまいました。

そのとき、「ビルの斜め前にあったガレージの屋上ならあいてるんじゃないの?」という話が出ます。ガレージの管理会社に、企画と、とん挫した理由を話し、イベント利用のお願いに伺うと、まちへの想いに共感いただきで、「ぜひ」と後押ししてくれました。そうして、無事屋上ガレージでのイベント開催が決定しました。

実際やってみると道路より参加者も、主催者も気が楽でした。道路は撤収や時間制限が厳しい反面、ガレージでは搬入も、撤収も道路よりはゆるく、車で近くまで来れるのも◎。郊外でやるマルシェと違い、雨がふっても足場もべとべとににならないという利点もあります。

今回のイベントでは、前の週に比べてガレージもほぼ倍の稼働率になったそうです。イベントを通して少しでもガレージや、近くの飲食店にも少し効果を出したいという意味では、手ごたえを感じました。

ただ、もともとこのエリアは飲食店が多く、駐車場はよく利用されていました。それが、今はコロナで駐車場が空いていた。そういう意味で、今後ずっと同じ場所での運営は難しいかもしれません。

テーマは「心地いい×チャレンジ」!「大人の時間」を楽しむイベントへ

今行っているイベントは、一過性の集客が目的ではなく、エリアリノベーションのひとつの手段です。

だからこそ、人気店や話題店ばかりを呼ぶのではなく、エリアにあう、ほかのマーケットとかぶらない、自分たちしか知らないような新しいチャレンジをしている人を集め、マーケットの個性にしました。これは、テーマのひとつである、「チャレンジ」でもあります。

サウナイベントは、プレイベントの来場者からでた「屋上でサウナをしたい」という希望を実現させたものです。

マーケットやマルシェはお子さんと一緒に行けるようなものが多いですが、今回は差別化して「大人の時間」を打ち出し、ちょっと落ち着いた大人のテントサウナを実現することに。
目玉のビルの屋上サウナは新潟初の「チャレンジ」です。

来場者の体験を最大限に高めようと、「心地いい」というテーマもぶれないように練りました。

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■「心地いい」を高めるタキビサウナの仕掛けと個性的な出店者のキャスティングのコツ

サウナは身体を気持ちよくさせるもの、心も気持ちよくさせたいと、マルシェはエシカルなビーガン対応の食事やスイーツ、ギルトフリーや野菜スイーツ中心のものをチョイス。心と体がリラックスできるような酵素ドリンク、カレー屋さん、ジェラート、キャンドル、インテリアグリーンなどの出店をお願いしました。

メインターゲットにした女性は、サウナハットやポンチョもレンタル可能。サウナで温められたサウナストーンに水をかけてサウナを楽しむロウリュを3つのアロマで体験できるようにし、かけゆして水風呂に入ることで副交感神経が作用してリラックスできるよう、大きい水風呂、小さい水風呂ぬるめで用意しました。タオルで体をふいたあとは、焚き火や夜空を見ながら休憩してリラックスできる空間も設け、ガレージ屋上から新潟の街を眺めながら「大人同士でゆっくり街を見ながら語る」、心地よいチャレンジが実現したのです。

実は、このイベントもう一つ狙いがありました。イベントを0次会にして、最初の一杯や軽食を経て、古町に流れてくれること。マーケットの開始終了時間帯(16:00 〜 20:00)は、それを考え決めました。

実際、イベント後に名残惜しそうに帰る人や、まちや銭湯に繰り出す人もいたようです。コロナで叶わない部分もありますが、近隣含め、どう作用するか仕掛けていくことで、エリアの価値をあげていきたいと考えています。その結果、まちを愉しむ大人が増え、理想的な人の流れが見えてくるとると、主催者側もよりやりがいを感じられます。

「8BAN EVENING MARKET」を皮切りに、二人の属する8BANリノベーションの挑戦は続きます。

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