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『予想外の勢いを受け入れるピラー』

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https://www.mlb.com/angels/news/kevin-pillar-riding-offensive-surge?t=mlb-pipeline-coverage

 ケビン・ピラー自身ですら、エンゼルスでのスタートがここまでの展開になるとは想像できなかっただろう。
 最下位のホワイトソックスで17試合で打率.160と不本意な成績を残した後、4月26日にDFAされ、アリゾナの故郷に戻った。

 彼は4月30日にFA(自由契約)となったが、偶然にも、マイク・トラウトが左膝の半月板断裂と診断されたため、エンゼルスはベテラン外野手を切実に必要としていた。
 その日の朝、エンゼルスから電話を受けたピラーは、午後にはアナハイムに到着し、チームに合流した。入団後、最初の3試合は、2度の代打を含む6打数1安打と、幸先の悪いスタートだった。

 しかし、5月7日にピッツバーグで2本塁打6打点と大ブレイクすると、そこから振り返らずに走り出した。

 12年目のベテランである彼は、18試合で打率.419(62打数26安打)、本塁打5本、二塁打3本、盗塁4、打点21を記録し、エンゼルスに大きな活力を与えている。

 18試合で21打点は、入団18試合での打点としては、1977年のジョー・ルディの26打点に次ぐ、チーム史上2番目の記録である。
 そして、木曜日のツーベースにより、彼は12試合連続安打という新たなキャリアハイを樹立した。

「少しも驚かなかったと言えば嘘になるが、この試合はクレイジーだ」とピラーは語った。
「ここに来るまでの道のり。ホワイトソックスに所属し、DFAとなった事。そしてあまりプレーできず、自由契約となり、数日間家にいた事。だけど、もしまたチャンスを得られるなら、何よりもまず“楽しもう”と自分に言い聞かせたんだ」

 エンゼルスに入団したピラーは、多くの馴染みの顔ぶれと再会した。

 昨シーズン、ロン・ワシントン監督がエリックヤングシニアとともにコーチを務めていたブレーブスでプレーしていた。また、トロント時代には内野コーチのライアン・ゴインズと長年のチームメイトで、バリースポーツウエストほ解説者を務めるマーク・グビザはカリフォルニア州ウェストヒルズのシャミナード大学準備校で、彼のコーチの一人だった。
 彼らもまた、ピラーを完全にチームメイトとみなしている。

 5月19日には、テキサスで通算1000安打と通算500得点を達成し、5月15日には通算100盗塁を達成するなど、キャリアを積み上げ続けている。また、選手にとって大きな基準となる年金給付が受けられる勤続10年にも近づいている。

「個人的に達成しようと決めた事があったし、ほとんど達成できたけど、その成功の多くは、みんなが私を信頼してくれたからなんだ」とピラーは語った。

「彼らは私を信頼してくれるし、ここにいるのには理由がある。だけど、今日の成功が明日の成功を意味するわけではない。だから私は努力を続け、自分の能力を信じなければならない」

 ピラーの影響はクラブハウスでも見受けられる。
 彼はジョー・アデル選手やミッキー・モニアック選手といった若い外野手の指導者としての役割も果たしている。

 ピラーは恥ずかしがり屋とは程遠く、試合の前後には常にチームメイトと話し、彼らが学び続けられるよう手助けしているという。

「KP は素晴らしい」とアデル。

「俺達のチームはかなり若いんだけど、それをまとめようとしてくれている。クラブハウスに彼の存在があるのは本当に良い事だし、彼が素晴らしいプレーをしているのは明らかだよ」

 攻撃面での彼の異次元の活躍にもかかわらず、エンゼルスはピラーを主にサウスポー相手に先発させるなど、プラトーン的な役割で起用している。

 ピラーはここ3年ほど毎日出場している選手ではなく、エンゼルスは彼を酷使したくないと考えている。また、今年は安定した打席数が必要なアデルとモニアックの成長も、気を配っている状況だ。

「モニアックを奮い立たせる必要がある」とRonは語る。

「ピラーが毎日フィールドに立てない事は分かっている。儂は彼を停滞させ、以前の力を失うまで追い込むつもりはない。だから、調子の良い夜を過ごしても、翌日はプレーしない日もあるだろう」

 ピラーは自分の役割を理解しており、メジャーリーグでの最後のシーズンとなるかもしれないこのシーズンをただシンプルに受け入れている。
 彼がトレード候補になる可能性はまだあるが、今のところは波に乗って、できる限り楽しんでいる。

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