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世界文様散歩1 こんなときだからこそ

世の中に大きな変化がもたらされ、これまでとは違う時間の過ごし方に恵まれたこんなときだからこそ、いろいろなものごとを見つめ直すチャンスですよね。そしてやりたかったことや大切にしてきたことに一歩踏み出す好機でもあると思っています。ずっとあたためてきたこと。それは個人的なライフワークだったことを、何かしら形にして纏めていくことでした。世界の文様やテキスタイルをこよなく愛し、調べたり、旅をしたり、集めたり、体験したり、、、それら探求や知見を元に文様の魅力についてnoteに纏めていきたいと思っています。

では、なぜ文様やテキスタイルに惹かれるのでしょう。布やその色柄。

布にはいろいろな役割があります。その原点としては、人が命や健康を守るために、長い長い歴史の中でずっと傍にあり重宝してきたことは確かです。身にまとう衣類のみならず、ラグや建材の一部など人として生きる「暮らし」に深く密着した素材。何気ないけれど最も身近な「もの」だと思いませんか。

世界各地の人々の暮らしと共に在る布。素材や用途など、その土地の文化や歴史が生きています。世界は様々な文化で溢れています。布はその縮図であり歴史もぎゅっと詰まっています。それが魅了されてしまうポイントです。

しかも人は、その布に色や柄を施すようになりました。それが文様です。なぜわざわざ?手間や時間のかかることを?その柄は誰が考えたの?その意味は?そんなことをひとつ一つ紐解いて、つぶやいていきたいと思います。それは人類の文化史のひとつとも言える、壮大な物語になります。ブログを読んでいただいて、何かのヒントやご興味に繋がっていただければ幸いです。

今日は記念すべきnote初日なので、なぜ文様が好きなのかの私の原点とも言える「文様は愛」という想いについて少しだけ触れます。

文様に愛を感じたエピソードとしてご紹介したいのは、日本のアイヌ民族の文様になります。アイヌ民族の存在は多くの方がご存知と思います。現在の北海道を中心に擦文時代の頃からそれ以降に暮らしていた民族ですが、そのアイヌには独特の文様があります。そしてその中には、魔除けのおまじないが込められているものがあると云われています。それは家族のために狩に出る人を「守る」ためのものであったという説。家族を愛する想い。無事に帰って欲しいという想い。文様には、大切な誰かのための祈りや願いが込められていました。また、その布を作り出す繊維も、文化によって独特なものになります。写真はアットゥシ。アイヌの衣装は主にこの素材から織られた布でできています。オヒョウなどの木の皮の繊維から布を織り上げたものです。

手間をかけて時間をかけて、手仕事で布を織り、文様を施していく。愛を以って一つ一つ、誰かのために丁寧に作り出す。文様はアイデンティティであり、人の営みの温かく素敵なことの表れなのだと思います。豊かな時間の流れを感じませんか。

読んでいただきありがとうございました。

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