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2022.04.08

医学部に入るため、10年以上の長きに渡って住み慣れた関東をこの3月で離れた。

関東に住んでいたときの色々な思い出は、僕の胸の中にしまっておけば済む話なのだが、こればっかりは記録に残さずにはいられなかった。

それは…愛しき猫たちの生き様。

そこで、すごく個人的なテーマなのだが、
猫たちと過ごした1年半あまりの記録を書き留めておきたい。


1. 「家に住み着いた猫たち」との出会い


日常的に屋外で見かける猫は、たいていは誰かの飼い猫だったり、
あるいはなんとなく地域に住み着いていて、たま〜に見かけるものだろう。
僕なんかは、道端で猫を見かけると、「プシッ…プシッ…」と口を鳴らして興味を引こうとしたり、手を差し出してエサをあげるふりをして遊んでしまう。
(めちゃくちゃ警戒されて逃げられてしまうのだが)

だけど、「この猫はいつものあいつだな」と個体識別がきっちりできるほど同じ猫と顔を合わせるという経験はしたことがなかった。
だから、「猫といっぱい遊びたいなぁ…」という悶々とした気持ちを抱えつつ日々を過ごしていた。


関東を去る1年半ほど前に、同じ地域内で引っ越しをしたのが、
その家に引っ越した直後から、違和感があった。

何かが、視界に入るのだ。

最初は気のせいかと思ったのだが、どうやら違う。
僕の部屋は1階だったのだが、そのベランダを何かがちょろちょろと通過するのだ。

「むむ…これはもしや…!?」と思い待っていると、
案の定彼らは姿を現した。

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2. なぜ彼らは家に住み着いていたのか?


この疑問の答えをお伝えするためには、
少しばかりアパートの構造の説明が必要だ。

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話をわかりやすくするために、
僕が住んでいたアパート名をショージツ(仮名)と呼ぶことにする。
この図は、ショージツをベランダ側から描いている。
①のように奥側に入り口があり、②のように手前側にベランダがある。
ベランダの手前に簡単なフェンスがあり、さらに手前には駐車場だ。
先程の寝そべった にゃんこ の写真は、
僕の部屋からフェンス越しに駐車場を撮ったものだ。

僕の部屋は③のようにショージツの角部屋だったのだが、
④のように、ベランダが にゃんこ たちの通り道になっていた。
これは誇張ではなく、本当に毎日ベランダをテコテコ通過していた思う。


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なぜ、にゃんこたちはショージツのベランダをテコテコと歩くのか?

これが、その答えの図だ。
①のように、一般的なアパートのベランダには、隣の部屋の間に仕切りがあるだろう。

問題は、②なのだ。
まじで、何故だかわからないのだが、
僕の部屋のベランダからしか立ち入ることのできない、
謎の階段があったのだ

階段の行き先はどこかというと、
僕が住むアパート・ショージツに隣接したガレージ(車庫)の屋根だ。
③のように、おそらく大家さんが所有している車庫が隣接しているのだが、
その屋根に登るための階段は、全く無関係な住人である僕の部屋からしか、
『人間』には入ることができないのだ。
(車が置いてあるガレージ側から立ち入れそうに思えるけど、
積み上がった荷物が壁になって、人は通れないんですよ)

しかも、④のように、
ガレージの屋根は隣り合ったプレハブの屋根とつながっていて、
日光が気持ちよ
〜く当たるんだな、これが。

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プレハブの屋根で日向ぼっこ。


こんな具合で、僕が住んでいたショージツには、
「小さな体でベランダを行き来できる」にゃんこたちしか立ち入れない、
最高の秘密基地があったのだ。

おそらく、にゃんこたちがショージツに住み着いた理由の1つはこれだろう。
(あと、近所の人や、角部屋の人はエサをあげてました)


3. にゃんズの紹介

最後に、ショージツのにゃんズの愛おしい姿の思い出を残しておきたい。

一応書いておくと、僕はにゃんズの生命に責任を取れないので、
一切のエサも水も与えたことはない。
基本的に、近づこうとするとめちゃくちゃ警戒されて逃げられていました。

あまり愛着が湧きすぎると、別れが辛くなるので名前をつけないようにしていた。
だけど、あいつら、あまりに特徴的なもんだから、
結局名前がついてしまった。


「茶色」

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毛並みが茶色いから、"茶色"。
にゃんズの中でおそらく一番元気で、見た目もきれい。
夕日に向かって撮った写真もすごく映える。


"茶色" は身のこなしが俊敏で、1メートル以上あるブロック塀に
ひょいとジャンプして飛び乗っていた。
あと、おそらくメスなのかな?
しょっちゅニャァニャァ鳴いていた。
朝方にあまりにもなくもんだから、目覚まし時計じゃなくて
「あぁ…"茶色" が鳴いてるなぁ…」
といって起きる日が週に1日くらいあった。

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ベランダで気持ちよく寝ている "茶色"。寝顔がかわいい。

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これも "茶色"。しょっちゅう駐車場でお昼寝や毛づくろいをしていた。

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お腹を上にむけてごろんとする "茶色"。
"茶色" は自分の可愛さを理解している。


「じじい」

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2匹目のにゃんズが "じじい"。

この写真だけで伝わる、じじい感。

毛はぼさぼさだし、かなり近づいても気づかないし、
寒い日は目やにとか、鼻水垂らしてるし…

だけど、僕が出勤する時間には、律儀にショージツの角部屋のベランダで、
エサをあげる人のために待機していた。
毎朝、「おぅ、じじい。にゃあ」
と僕が声をかけると、1ヶ月に1回くらいは「……にゃ」と返事をしてくれた。
じじい、長生きしてくれ。

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「ぷんち」

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問題児がこいつだ。

そもそも、"ぷんち" という名前の説明が必要だろう。
僕が小さい頃、兄たちと鼻に指を押し付けてブタ鼻のようにする遊びをしていた。
これを僕の家では "ぷんち" と呼んでいた。
なぜかは知らんが、幼い僕がそう名付けたらしい。
鼻が特徴的なにゃんこなので、自然と "ぷんち" という呼び名がついた。

"ぷんち" の最大の問題点は、『アホさ』だ。

だって、普通に考えたら猫だってわかりそうなもんですよ。
ベランダを通ったら、人間に合うかもしれないよ?

だけど、"ぷんち" は人を見かけると、こんな顔をするんです。

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「ハッ!?」
っていう顔を毎回するんですよ。

いやいや、お前知ってるだろ笑
なんだその変顔は。

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ぷんちはちょいブサ。


こんな具合で、ショージツには3匹の個性的なにゃんズが住み着いていた。

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にゃんズは仲良し。
手前の "茶色" と、奥の室外機でお昼寝する "ぷんち"。

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寝そべる "ぷんち" と、走り去る "茶色"。

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網戸越しに「ハッ!?」とするぷんち。おまえさんよォ…

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やっぱりにゃんズは仲良し!

4. にゃんズとの別れ


引っ越しの日。

僕は、新居の鍵の受け取りなどの都合で、
一足先に関東を去った。
引っ越しの日が、ちょうど計画節電を要求された3月22日。
関東ではみぞれ混じりの雨が降るとても寒い日だったので、
とてもにゃんズと遭遇できる環境ではなかった。


しかし、奇跡というか…なんというか。

引越し業者の積荷を終えて、妻がショージツを去ろうとする、まさにその時!

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なんと!
ぷんちがショージツの前にちょこんと座っている!!!

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挨拶に来てくれたのか、ぷんち!!
近づくと、相変わらず「ハッ!?」という驚きの表情。

(この後、お礼を言おうと思って近づいたら、
まさかのガレージまで全力ダッシュで逃げたそうです。さすがぷんち)


こんな具合で、僕らはショージツにゃんズとお別れしました。

新しい土地でも、そんなにゃんズに出会えるかな?
いや、あいつらほど個性的というか、
俗物的なにゃんズには巡り会えないだろうなぁ…

そんな思い出の一幕でした。

3匹のにゃんズに感謝します。


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