少しおセンチな話 第2段

一月ほど前に、TBSラジオアトロクに書き送った夢の話。
ラジオでは読まれなかったが、
眠らせておくのもアレかと思い、noteに書いておく(夢だけに)。


宇多丸さん
アトロクスタッフの皆様

夜分遅くに失礼いたします。
ラジオネーム酵母マンと申します。

今年の正月明けに夢の話の特集をされていたかと思いますが、
今日見た夢が私にとってあまりに衝撃的だったため、眠気眼のまま筆をとらさせていただきました。

夢の途中の展開は忘れてしまいましたが、
記憶に残るその夢は明治期に建てられたような西洋風の石造りの建物から始まります。
何やらにぎやかな雰囲気のする建物の中を私は歩いています。
すると、乃木坂46を思わせる美女の集団が着替えているのか、はたまたアカデミー賞で着るような、背中がばっくり開いたドレスを着ているような景色がふっと頭に浮かびます。
私はそのイメージに導かれるまま、石造りの建物の階段を2階へと上がろうとするのですが、
階段の手前にいた女性に、「だめだよ」とぴしゃりと静止されます。

行き先を失った私は、西洋絵画がたくさん飾られた別の部屋にも興味を惹かれて一瞬は入ろうとしますが、踵を返して建物をあとにします。
すると、建物のエントランスに豪華な馬車が到着したので、
それに乗って「XXXに行ってくれ」と、何か事務的な手続きをする建物に向かうように馬車の中にいた執事に頼みます。
(XXXは夢の中で聞き取れなかった)
どこか疲れた雰囲気のある初老の執事の顔をよく見ると、
それはリーアム・ニーソンでした。
執事が「XXXならもう閉まっていると思うが…」とこぼしつつ、馬車は豪華な建物がある敷地を奥に進んでいきます。

すると、先程までの暖かな日差しがさす午後の雰囲気が一転して、
雪が降りしきる寂しい景色に一変します。
馬車は敷地の一番奥の建物に到着して、「終点だよ」と僕に告げます。
まわりの寂しい景色を見た僕は、
(あ、ここではない)
そして
(この馬車は最終便で、降りたら戻ることはできない)
と直感的に察し、
「このまま入り口に戻ってくれ」
と執事にお願いします。

執事は一言
「えっ…戻るの?」

この脳天をつくような一言で、僕は夢から醒めました。

夢の中の明治期の石造りの建物は、僕が長年所属した、東大の建物でした。
そこで感じた綺羅びやかな世界は、10年前に僕が東大に抱いていた幻想をそのまま体現していたのかもしれません。
XXXという事務的な建物が閉まっていたのは、もう既に多くの進路の選択肢が無くなっていることを暗示していたように思います。
そして、馬車が行き着いた終点の建物は、キャンパスの最も奥にある、図書館でした。
まわりの寂しい景色は、博士号を取得した現在の、キャリアや研究する目的に行き詰まった僕の心象風景をそのまま描いているように思います。

そして、執事の放った一言は、
現在所属している職場で何度も何度もうまくいかなくて、
昨晩に別件でダメ押しの一撃を食らって
「研究やめたいけど…どこに行けばいいかわからない」
と、妻に泣きじゃくって吐き出した僕には、あまりにも衝撃的でした。

最近、東大の負の側面を描いた書籍を読んだのですが、
その中でインパクトが大きかった一節がふと浮かびました。
「(東大卒で職場を去る方に向けて)君は、ここでしか働くことができない人の気持も少しは考えてみてほしい」
と。

僕の心のなかには、東大卒だからアナザーキャリアもあるかもしれない、
という甘えがあったのかもしれません。
だからこそ、ひたむきに研究に没頭する周囲の人々が抱く、「この世界で生きていくんだ!」という気概を持つことができなかったのだと思います。

この10年間で、周りの東大生との能力差や、度重なる就活失敗など、何度も挫折を繰り返してきた僕にとって、今日の夢は「生きていく覚悟」について強い衝撃を与えてくれました。

何度も心を折られてもう再起不能かな、と昨晩は思い詰めていましたが、
気持ちを新たにして、少し前向きに進んでみようかと思います。


夜分に長たらしい駄文を失礼いたしました。
宇多丸さんも、パートナーのみなさんも、スタッフの方々も、
忙しすぎて体も心も疲弊しないように、ほんとにご自愛ください。
(特に日比さんと山本さんの活躍には、心から心配&応援しています)
これからもTBSラジオのヘビーリスナーとして、番組拝聴を続けさせていただきます!

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