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かんそうやさんに同人誌の解説を依頼したよレポ②

そういうわけでレポ②です。①は依頼の流れなど全般的なことについて書いています。①は依頼の流れなど全般的なことについて書いています。
こっちのレポでは、解説の内容に踏み込んだことに絞って書きます。
①と同じく、レポと銘打っていますが実態は自分用のメモですのでご承知おきください。

かんそうやさんとは

かんそうやさん
 Twitter:@kansouya3
 ココナラ:https://profile.coconala.com/users/142620
 pixivFANBOX:https://kansouya3.fanbox.cc/

はい、①のコピペです。大事なことなので。
創作物の分析的な感想を書いてくださる方ですね。今回は短編集の解説を書いていただきました。

解説元のお話と、書いてもらった解説

この記事では実際に書いていただいた解説を一部公開します。の前段として、解説を書いてもらったお話を紹介します。

「八番目のあとの澪」
https://ncode.syosetu.com/n3984ew/

要するに解説の前にこれを読んでねってことです。内容は本に収録したものと同じです。
さて、読んでくださりましたか?
では書いてもらった解説のうち、上記の話についての部分をまるっと公開します。どうぞ!

◯八番目のあとの澪
 葉月が昔から抱えている苦悩を同僚であり上司の祝に打ち明け、過去のしがらみから解放されるストーリーになっていましたね。
 過去に自己解決ができなかった思い出は時間の経過によって少しずつ薄れるものですが、葉月は誠実な人だからこそ、忘れられずに立ち直れないながらも生きてきた人でした。
 他者とのコミュニケーションはトラブルになった場合、自分だけでは解決できない性質があるために悩まされてきたんですね。
 そんななかで出会ったのが、上司の祝でした。祝は仕事柄もあるのか、とても聞き上手で葉月の心の中にあった重荷をほどいていくようでした。
 このお話の好きなところで特徴的なのが、葉月の問題を解決するのは祝ではなく、あくまで葉月であることです。
 ストーリー的に祝が解決するように仕向けるのは非常に簡単ですが、あくまで葉月の自己解決にフォーカスを当てているところがよいですね。
 葉月の性格だと、祝に「解決してもらった」と認識してしまうと、せっかく前を向けたはずだったのに、このイベントすら新たな重荷として心に大きな負荷を与えるのだろうなと思いました。
 象徴的なシーンとしては、旧友から届いた地面が写されていた写真でしたね。
 葉月はこの写真を見て大きく落胆するわけですが、祝から「地に足をつけたメッセージではないか」と自分の解釈とは違うポジティブな意見を貰えて、はじめて前を向くことができました。
 祝の助けもあり自己解決できた葉月は素敵でしたね。頭の中で鳴り響いていた音楽(ノイズ)は墓参りのラストシーンでは一切の音が消えていました。
 葉月の重荷の性質はすべて「他者から与えられた影響によるもの」だったわけですが、音楽(ノイズ)が消えていたのはきっと、自己に目を向けられるようになったからだろうなと思いました。

ここまでです。
ちなみに解説はこんな具合で3作分+作者についての分析が書かれています。つまり実際にはまだまだこんなもんじゃないのだ……フフ……。

解説の感想と考えたこと

この解説を見てわたしが考えたことなどを書きます。まず単純素朴に思ったことから。
まず、好きなところを語られるととりあえず嬉しい。これはもう言うまでもないようなことですが。
次に「こういうふうに捉えられたのか」とわかる。答え合わせであったり、新しい答えを見つけたりできました。葉月自身が問題解決しているのはそのとおりだと思ったし、写真を見て彼女が「大きく落胆した」という書きようは「そういうふうに見えたのだな、確かにそういうふうにも見えるな」と思いました。(わたしは「許されていないと感じた」以上のことは考えていませんでした)
頭の中で鳴り響いていた音楽を「ノイズ」と捉えるのは特にびっくりしました。実はわたしは自分で書いておいて、頭の中で鳴り響いていた音楽ってなんだろう? どういう意味があるんだ? と思っていました。書いておいて!
そこに明確な回答例が出てきたので、びっくりしつつ、おお~と感服したのでした。ノイズが消え、ラストシーンでは現実の楽器を手にしている……なんだかきれいにまとまって感じられてとても素敵じゃないか? と、解説を読んでニコニコしました。

次に解説を受けて考えたことです。
ひとの捉え方はそのひとの生き方の鏡のようだと思いました。
わたしにとってこの解説は、「自己解決」という言葉が非常に印象的でした。何度も出てきますよね。かんそうやさんが「葉月は自己解決した」「それは素敵なことだ」と捉えたのは、かんそうやさん自身の価値観、考え方の反映であるのだと思います。
この話は実はわたしにとってなかなかに不明瞭で、葉月がどうやって回復していった/なぜ回復できたのかあまりよくわかりません。さまざまな気づきや語りがあるからではありますが、そのどれかが決定的だったというより、少しずつ重なって、気づけばいまは少し楽に生きられている……というくらいのものであると感じますし、「葉月は自己解決したんですか?」と訊かれたら作者としては答えられません。
だからわたし自身はこの話のことを一向に掴めないままでいました。それがちょっとネガティブなことのように感じてもいました。
でも解説という受け取りの一例をもらったことで、「わたしもそう思う」とか「それはわたしとしては違うかも」とか、この話をわたしなりに掴むためのなにかヒントを得た気がします。
ひとの捉え方はそのひとの生き方の鏡のようだ。読んだ相手だけでなく、そこからなにか返してもらったときのわたしの捉え方を含めて。だから、わたしの捉え方や意図に合致するように=鏡にひとつの姿が映るように書こうとするのではなく、むしろ多様な姿が映るように書くほうがいいのではないか、と感じました。そのひとなりの捉え方があるって物語の健全なところ、素敵なところであると思いますから。
そういうわけで、作者として掴みがたいところがあるまま書いても良いし、そこにどんな感想が返ってきてもそれはきっと糧になるな……と感じることができました。今後の執筆において大きく背中を押してくれる考え方を得たように思います。

おわりに宣伝

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短編集「アリエッタ」
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もうちょっと丁寧に書きますと……。
web公開済みの話7本+書き下ろし1本の計8本を収録しています。ここ5年くらいで書いた短編詰め合わせ、全部で5万字くらいの本です。ワンライからアンソロジー参加作品まで、ジャンルもファンタジーから現代まであります。
解説は「八番目のあとの澪」ほか表題作含む3作品分と、作者の特徴について書かれています。作者の特徴のところは作品を横断的に捉えていて特に読みごたえがあります。
というわけで、よろしくお願いします! あなたと出会えることを待っております。
最後にレポ①(以来の流れなど全般的な記事)のリンクと、かんそうやさんの情報を再掲して終わりとします。ありがとうございました!

かんそうやさん
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