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「生きている音」がラスト1分で鳴り響く名曲 ~ベースボールベア『ドライブ』~ #2021年のおすすめ曲

2021年は「生きている実感」を持ちにくい1年だった。
生きているということは、当然だが命を永らえているから感じるのではない。
心が揺さぶられたり感情が湧き上がったりすること。仲間や友人、家族との触れ合いやコミュニケーション。美味しいものを食べたとき、美しい風景を見たとき。
2021年はこういう実感を得る経験が薄かった年だったと思う。

今年は多くのミュージシャンやバンドがライブ活動を制限されたことがあり、楽曲制作に打ち込むというケースが目立った。音楽ファンとしては嬉しいような悲しいような複雑な感情である。

さて、「ベースボールベア」のボーカル兼ギタリストであり、楽曲制作のメインである小出祐介。何をイメージするだろうか。最も強いのはソングライターというイメージだろうと思う。ひねくれたコード進行、思いも寄らない内容の歌詞。「ギタリスト」としてのイメージはあまり強くない。

2021年、ベースボールベアは「ドライブ」という楽曲を発表した。世相を反映した楽曲である。このなかに何度も出てくる歌詞に「生きている音がする」「生かされている音がする」というのがある。
日常生活の風景を描いたなかに出てくる歌詞である。
この楽曲の優れた点は、その「生きている音」を実際に鳴らすという点である。「これが生きているってことだ」という答えを小出祐介は我々に届けてくれたのだ。

それがラスト1分で流れる長大なギターソロである。楽曲は4分。そのうち後半の1分間、ひたすらギターソロなのである。まるで今までの部分がギターソロのイントロダクションなのではないかというくらいに、小出祐介はギターを弾きまくる。

そこにあるのは確かな実感だ。「俺は生きている」とギターが言っているように聴こえる。こういうメッセージを出せるところが、ベースボールベアというバンドの強みなのだろう。

非常に感動的なギターソロなので、ぜひ堪能してほしい。
2021年、聴きまくった曲のひとつである。
PVの出来も素晴らしい。

#2021年のおすすめ曲

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