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#19 マニュアルを作りたいわたし|思考の練習帖

良品計画の「MUJIGRAMムジグラム」が紹介されていたのは、『リーダーのための行動分析学入門』だったかな。それとも『図解モチベーション大百科』だったかな。読んだそばから忘れてしまうの、ほんとうに嫌になるわ…。

MUJIGRAMというのは、業務マニュアルの名称だ。無印良品の店舗で使っているマニュアルで、売り場のディスプレイや接客をはじめとしたすべての仕事のノウハウが書かれており、実に2000ページにも及ぶのだそう。

これほど膨大なマニュアルをつくったのは、「個人の経験や勘に頼っていた業務を”仕組み化”し、ノウハウとして蓄積させる」ためです。
松井忠三『無印良品は、仕組みが9割』

この一文に、痺れた。
そうだよ、それが今わたしの仕事にも必要なんだ。

やってみよう、というわけで。
今日の #思考の練習帖 では、「うちでもマニュアル作りたいんです!」と提案するために、マニュアルを作ることの目的をまとめよう。

マニュアルの目的

①「知恵」を共有する

圧倒的な経験値が、高いパフォーマンスをもたらすのは当然だ。では、経験の浅い人はじっと時が経つのを待っていればよいのか。否、だってそれは人材育成の怠慢である。
マニュアルによって言語化・共有し、個人の経験を組織に蓄積することができる。

②「標準なくして、改善なし」

マニュアルづくりとは、すなわち仕事を標準化させることだ。
誰がやっても同じようにできる、という標準を明示することで、「もっとこうしたらいいんじゃない?」という視点が生まれてくる。改善のチャンスである。標準があるからこそ、次なる改善が見えてくるというわけ。

③「上司の背中だけを見て育つ」文化との決別

新人育成を効率化するという観点でも、マニュアルの存在意義は大きい。マニュアルだけぽんと渡せばいいというわけではないけれど、新しい仕事を吸収する過程で目に見えるマニュアルがあると心強い。それに、教える方もマニュアルに沿うことで抜け漏れを防げる。

④チーム員の顔の向きをそろえる

それぞれの業務の目的をマニュアルで共有することで、仕事のブレをなくす。これはすごく重要だ。
仕事上のトラブルの多くは認識のズレ、コミュニケーションのズレによるものだということを、最近ひしひしと感じている。マニュアルによって一つひとつの仕事に対する認識をすり合わせることで、そういったトラブルを回避することができるとしたら最高だ。

⑤「仕事の本質」を見直せる

マニュアルは、業務を目的と結びつける。マニュアルを作るにあたって、あるいは作ったものを見返したときに、「この目的に対してこの業務ってなんだかズレてない?」とか、「もっと別のところに目的があるのでは?」「この作業って無駄では?」ということに気づいて業務を見直していくことができる。本質的な仕事に注力することができるようになる。
「なぜこの業務をやっているのか?」に答えられないならば、本質を見逃して惰性で仕事をしているだけということだ。なんと恐ろしい…。

どのようにマニュアルをつくるのか

マニュアルはボトムアップで作るというのがMUJIGRAM流だ。自分たちで作るからこそ面白いし、意味がある。やらされ仕事ではマニュアルの目的の半分も達成できないだろう。

わたしが今考えているのは、来年度の新人育成にマニュアル作成を絡めていくというプラン。新人が仕事を覚えるために、わたしたちが抜け漏れなく仕事を教えるために、というところを表の目標として掲げて、新人にも力を借りて膨大な量のマニュアルを作っていく。
退職者が出て新年度はかなりハードな走り出しが予想されるので、正直なところ新人育成には全然手が回らないと思うのだ。だから、やり方を変える。教えた内容をマニュアル作りの進捗状況で可視化する。
全然楽なやり方ではないけれど、このチャンスを活かさなければこの先組織を変えられないだろう。

なお、裏の目標は、業務改善とチーム内の認識のすり合わせ。ここに切り込んで組織を変えたいのだけれど、大々的に掲げると抵抗が大きくて実現に漕ぎ着けない懸念があるので、あくまでも副次的な効果として示すにとどめる。

おそらく、一年がかりの大仕事になるだろう。一年たっても完成していないかもしれない。というか、マニュアルに完成はない。
常に作りつづけ、使いつづけ、更新しつづける。そうすることによって、組織の知恵は蓄積されつづけ、業務はもっともっとよい形に変わりつづけるだろう。

今日はここまで。


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