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来週の読書リスト

① 『人間の絆』

 サマセット・モーム 著 /  訳

岡田尊司の『生きるための哲学』で紹介されていた本。サマセット・モームといえば、少し前に読んだ『月と六ペンス』。その彼の自伝的な小説だというから読んでみることにしたのだ。

『人間の絆(Of Human Bondage)』というタイトルは、オランダの哲学者、スピノザの一節からの引用である。スピノザの言う「絆」の意味するところは、人間の自由を縛る制約ということであり、そこから解放されて自由となることが必要だと、スピノザは説いているわけである。つまり、日本語で言う「絆」という言葉の持つ肯定的な意味合いよりも、「縛り」「しがらみ」「桎梏」という否定的なニュアンスが強いと言えるだろう。モームも「絆(Bondage)」という言葉を、そうした意味で用いている。
岡田尊司『生きるための哲学』

生きていくって何かと不都合で、厄介で、わずらわしい。日本語では何かと美しいものとして語られがちな「絆」という言葉は、よーく見ればわたしたちにまとわりついて離れない何かだ。
絆のなかでしか生きられないわたしたちは、どう生きてゆこうか?

② 『ブラームスはお好き』

フランソワーズ・サガン 著 / 朝吹登水子 訳

こちらは久々に『人生を狂わす名著50』から。

アラフォーの女性がひとまわり年下の男性と同世代の男性の間で揺れる、いかにもフランスな恋愛小説。設定だけ聞くといかにもフランスなのだが、読んでみると案外甘すぎなくてべたべたしていなくて、『やさしい訴え』同様に落ち着いた文体で描かれた大人の恋愛小説。
人生を狂わす名著50

引き合いに出されている小川洋子の『やさしい訴え』の紹介文句は「静かに感情の波に飲み込まれたいあなたへ」。
小説の世界にもぐりこむと、思いがけず大きな波にざぶんと飲み込まれて危うく溺れそうになる。疲れちゃうのだ。
静かに感情の波に飲み込まれる、それってどんな気分だろう。疲れた体を委ねてみようかな。

③ 『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ 著

アディーチェを最初に読んだのは去年、『半分のぼった黄色い太陽』だった。読んだこともすっかりわすれていて、今年に入ってナイジェリア人が主人公ということに惹かれて『なにかが首のまわりに』を読んだ。
でも、アディーチェといえばこれなのだ、『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』。『なにかが首のまわりに』を読み終えてわたしは確信した。間違いない、これは絶対読まなきゃいけないと。
だから遅ればせながら。

④ 『女として人類学者として』

マーガレット・ミード 著 / 和智綏子 訳

20世紀米国を代表する偉大なる文化人類学者。この人の師匠が『菊と刀』のルース・ベネディクトなのだそうだ。この人の生もまた、前述の『生きるための哲学』で紹介されていた。こうやってあちこちで出会うと運命を感じてしまうもので(単純接触効果)、うっかり彼女の自伝を手に取るに至ったわけである。

年間200冊を目標に掲げていると、読むことのハードルがぐんと下がるのがわかる。次から次へと読み繋いでいきたいから、2年前のわたしだったらスルーしていたかもしれない本の前で立ち止まる。これはいい傾向。
だって人生で読める本の数は限られている。出会った本が「読まなかった本」になるよりも、読んだぞって胸を張れたほうが楽しい。


以下は、毎日少しずつ読んでいる本。ラインナップは継続。

・『人生を狂わす名著50』

三宅香帆 著 / 今日マチ子 絵

順調に読書欲を刺激されている。気になる書名に付箋を付けていったら、あっというまに付箋だらけになった。三宅氏の手にかかれば、どれもこれも面白そうなのだ!
今の進捗状況は、23/50

・『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』

情報文化研究所 著 / 高橋 昌一郎 監修

枕元に常備している本。しかしなかなか毎日こつこつというのが難しくて、ほかの本が一息ついた日の夜に何章かまとめて読むことが多い。
そのくせ一度読み始めると、次も次もと読みたくなる。夜が更けてしまうから、泣く泣く閉じる。また今度ね、と。
今の進捗状況は、42/60。3分の2を通過して、そろそろ終わりが見えてきた。

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