#16 会えない時間が愛育てるのさ

今までより近くに移送されて、最初の手紙が届きました。
前の場所でOKだったヒートテックや暖かシリーズの下着が全て使用不可だと怒りの内容。
私がドン・キホーテなどで買って差し入れたものですが、それが全滅。
今度のところでは、そこの売店で購入するものしか身に付けられないルールだそう。
分かりやすい抱き合わせ商法‼️
結局、中にいる本人よりも待つ方が経済的にも精神的にも苦しくなるシステムなのね。

受刑者になったこと、刑務所が変わったことでルールもかなり変わるとのことでした。手紙に関しては私からはいくらでも送れるけど、彼からは月4通がリミットなため、そのうちの1通を仕事に使えば私には3通のみ、ということになります。
面会は籍が入っていない恋人同士は「結婚の予定がある」という意思をお互いに示した上で手続きが必要と聞いていましたが、どうも彼の手紙だともう大丈夫な様子。
早速、面会に行ってみるのです。

何度か行った今までの所とは違い、建物からして近代的。何よりも待合室が広くてキレイな上に、トイレが屋内にあるー!
今までのところは外に建っているプレハブトイレを利用するしかなかったので、つい我慢しがちでしたがもう大丈夫。
今まで通り30分の面会時間をゲットしたいので朝イチ!

時間がきて番号が呼ばれます。ドキドキ。
刑務官の質問に答えを間違えると面会出来なくなっちゃうらしいのでちょっと緊張。
個室に入ると、すぐに刑務官が2名入ってきました。
「どのようなご関係で」みたいな質問をされ、模範解答しましたが、もはや私の答えが何であれ、面会出来ないことは決まっていたようです。
「申し訳ないんだけど、面会は出来ないという判断なんですよ」
「でも、以前いた場所での面会と手紙の実績があるから大丈夫だと聴いてます」
「以前の事は私たちにはわからないけどね、ここではダメなんです」
「理由が分かりません」
「私が決めた訳じゃないから…そういうルールなんでね」

一人は年配、一人は若者。私に何の説明にもならない「ダメダメ」を繰り返すのは年配。若者は申し訳なさそうに私を見ている。
「差し入れは出来ますか?」
不覚にも泣いてしまった状態で、敢えて若者に聞いてみた。「もちろんです。差し入れはいつでも出来ます。」

結局、刑務所ってそういうところ。
居心地良く過ごせる訳ないんだよ。だからやっぱり待ってる方が色々とすり減る…。彼は自分に非があるから我慢できるけど、お前はトバっちりで可哀想だと良く手紙に書いてきました。その時は、彼がそれを分かってくれていればいい、と思いましたが、一番分かっていなかったのは、他の誰でもなく彼だったんですね。

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