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シュヴェーグラー『西洋哲学史』 読み方・学び方・使い方

2021年6月2日追記
シュヴェーグラー哲学史(上巻)をベースにした哲学史動画をYouTubeにて公開しました。
本noteの購入者は、動画で使用したスライド(324枚)を閲覧できます。(Googleスライドの共有リンクを末尾に記載)
※月額1980円の読書会サークル参加者はslackにて配布しているので購入不要です。これ目当ての新規加入もOKです笑(サークル詳細↓)
https://note.com/kotoyumin/circle

こちらが新たな動画です。


右上を見て「は!? 高ぇ!!」
って思ったのは分かってるんだけど、まあ落ち着いて無料部分だけでも読んでくれ。

シュヴェーグラーはいい本だ。
このnoteでは読者にシュヴェーグラーを読むことをおすすめし、使い方を説明します。

シュヴェーグラーって何? って人はこのツイートの動画見てほしいです(50秒)


あらためて該当の本はこちら。

シュヴェーグラー『西洋哲学史』 上巻

シュヴェーグラー『西洋哲学史』 下巻


まあ、こんなnoteを開くくらいだから、哲学史の勉強したい方だと思いますが、何をさしおいても岩波文庫のシュヴェーグラーは暗記してもいいってくらい優れた哲学史です。

たぶん、高等遊民によって需要が高まり、復刊するでしょうね。岩波書店さん、その際は帯なり推薦なり書かせてね。

とはいえ、正直古臭い文庫本で、あんまり読む気がしなかったり、高等遊民の口車に乗せられて手に取っては見たものの、いまひとつ魅力・面白さがわからないという方も多いのではないか。

ってことで、シュヴェーグラーの確かにここはダメだよねって箇所を話します。でも、実はそんなにダメじゃないとわかるでしょう。
それから、そのあとシュヴェーグラーを血肉にする読み方・使い方を解説します。

有料の理由
・シュヴェーグラー買わざるを得ないと思ってほしい。
・シュヴェーグラー哲学史の読み方=使い方を話す
・それはどんな哲学史でも応用できる
同じ文章を別プラットフォームでも販売しています。PDFのため500円値引き(スライド資料も付いてます)
https://neomin.booth.pm/items/2141622

つまり、シュヴェーグラーのような本格的な哲学史を読む際の指針として、つねに参照できるようなnoteです。
これはほんとに役に立つと思う。だって今までいくら読んでも断片的な知識しか身につかなかった哲学史の本が、読めるようになるんですよ。本屋に行っても、こんなこと教えてくれる本は見つかりません(見つかったらそっち買ってください、むしろ教えてください!)
正直10000円でも安いと思いませんか。もしプロタゴラスやゴルギアスなんかに教えを乞うたら1回100ムナです。いくらかわかりませんが、ソクラテスの土地屋敷を全部うっぱらった20倍の額です。要は豪邸1件分の価値。よく客がいるな。なので現代の知の値段は破格だと思います。

まず、シュヴェーグラーのダメなところ、足りないところから話します。ここは無料。

ダメなところ

初期ギリシア哲学が説明不十分
これは当時の資料的限界があるかと。現代では通称ディールズクランツという、『ソクラテス以前哲学者断片集』というまとめサイトみたいな文献があってすべての学者はそれを参考にするんだけど、当時はない。
だから記述も簡素にとどまってるし、あまり彼らの学説の意義を発見しようとしてない。なんというか、これからの進歩の捨て石みたいな扱い。
実際はそんなことはない。初期ギリシアの哲学者たちは、それ自体で大きな哲学的意義があるし、現代の私たちをも突き動かす力も持っている。
そんな話を期待するならば、ネオ高等遊民という人のYouTubeチャンネルを見ましょう。


ただしパルメニデスの記述とかはすごい。ポイントめちゃめちゃついてる。だけどそれは、パルメニデスについてある程度理解の見通しが既にないと、気が付きもしないレベル。
なのでいわゆるソクラテス以前の哲学者たちを勉強するためには、シュヴェーグラーを使うのは上策ではない。基本から始めるなら、もっといい本がある。
知りたいだって?  どんな物語でも、主人公は情報屋に信じられないほど高い料金を払うものだぜ。どうしても知りたい情報ならな。ってことで、サポートをして、メッセージで古代哲学史の良書を教えてください、などと書いてくださればお答えします。サポートの金額はお任せしますが、お答えしかねる金額はご遠慮ください。さて次。


ヘーゲル以降がない

これも痛いところ。原著が1848年なんだから仕方ない。ほんとよく19世紀中ごろに、こんな優れた哲学史が書けるなと驚くばかり。
しかもシュヴェーグラー27歳とかだよ。穏健ヘーゲル学派っていうらしいんだけどさ。27歳でこんな優れた哲学史書けるんだったらオレも穏健ヘーゲル学派とやらの門下に入りたいよ。
ただ、ヘーゲル以降の哲学は基本的にヘーゲル批判をめぐって展開されていく。(現代フランス哲学なんかその典型。コジェーヴから始まるやつ)。
そしてヘーゲル批判を一通り終えて、さらに遡っていく。デカルト批判、プラトン批判……これがいわゆるモダン(近代)批判。

その批判の材料として、さらに別の哲学者たちが参照される。代表的なのはデカルトに対する批判の武器としてスピノザが参照される。あるいは、ソクラテスプラトンに対するアリストテレスや初期ギリシア哲学、またはストア派などのヘレニズム哲学。もちろんその過程でスピノザ自身、アリストテレス自身が批判や克服の対象となる。だから、ヘーゲルまでの哲学史とは、現代の哲学者たちが批判しているものを理解するのには持ってこいなのだ。

話がシュヴェーグラーからは外れるが、重要と思われるのでもう少し話そう。
現代の哲学はとにかく難解だ。前提となるものの理解がないと、納得しながら読むのは困難。納得しながらって何かと言うと、たとえば

・自分自身にとっても問題だと思える問題意識の共有
・理解できているという高揚や満足感
・自分の既存の知識と繋がって新たな知のネットワークができる喜び

などなど。こんな楽しい読書はない。
逆に言えば、その前提知識が備わっていれば、楽しい楽しい読書が経験できる。
かといって、プラトンからヘーゲルまで、ご丁寧にすべての著者の作品を読んでいる時間のある人はまれだ。中公『世界の名著』、河出『世界の大思想』、講談社『人類の知的遺産』を読破しましたなんて人の話が思わず気になってしまうのも無理はない。
せめて読むにしても、裸一貫ひのきのぼうとぬののふくで立ち向かうのは得策ではない。何か事前に装備をしたり、経験値を積みレベル上げをするべきだ。その方法が哲学史の勉強である。
もちろんできるだけ強力な装備が望ましい。その強力な装備、ラストダンジョン手前の武器屋の豪華な陳列がすなわちこれシュヴェーグラーである。特にデカルト以降の近代(下巻)に関しては見事な解説である。
しかもシュヴェーグラーは岩波文庫でたった2冊。この軽やかさ。他方、たとえば中公『哲学の歴史』(通称赤本。初出たぶんネオ)は電話帳の厚みで12巻。買ったところで通読できまい。せっかく買ったんだから装備しなくちゃ意味がない、と武器屋は言うけれど、それを装備すなわち通読できるキャラクターはごく限られた強靭な力の持ち主で、弱々しい我々には装備できないのではあるまいか。同じことはちくま新書『世界哲学史』全8巻にも言えよう。
しかるに、シュヴェーグラーはページの少なさゆえ、装備(読破)できる人がかなり多い。その内容は極めて優れているので、もちろん楽には理解できないのだが、それゆえ読む価値のある哲学史だ。噛みにくいがすさまじく滋養があり、端っこからでもなんとか噛めればたまらなく美味しい。

悪いところを書こうと思ってたのに、結局褒めてしまった。
これから書かれている良いところは、同書の具体的な内容にも触れていく。

ではここからは有料でござる。

以上の記述だけでも、シュヴェーグラー『西洋哲学史』を十分に読む気になってくれる人もいるかと思います。
続きは、シュヴェーグラーのいいところを紹介しつつ、実践的な使い方の例をふんだんに説明していきます。

返金もできるので、シュヴェーグラー読みたくなってしまったら、思いきってポチってみてください。

クレジットカードない、noteで買い物したくない、だけどどうしても読みたい方は、TwitterでDMください。場合によってはAmazonギフト券等で対応可能です。
同じ文章を別プラットフォームでも販売しています。PDFのため500円値引き(スライド資料も付いてます)
https://neomin.booth.pm/items/2141622
お願い
返金した場合は、スライド資料の閲覧・利用(ダウンロード・コピー)などは一切ご遠慮お願いいたします。システム上防ぎようがないので良心・倫理にお任せするよりありませんが……。

シュヴェーグラーの使い方

先に箇条書きします。基本・再読・発展とフェーズ分けして9つの使い方を示しました。
もちろん、1個ずつ固定的に発展するのではなく、読んでいるさなかに、1から9までを行ったり来たりしながら学びを深めていくイメージです。

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