コットクラブ vol.54
あーあ、わたしって小さい人間だなあ。
とにかく自分にイライラした日、近所のお菓子屋さんでキャラメルを買った。
口に入れると甘ったるいキャラメルが伸びて、最終的には体全体がコーティングされた。
キャラメルの殻に入ったわたしはサナギ状態だった。
とりあえずサナギのように動かずにじっとして自分の中の最大の問題と向き合っていた。
考えても解決せずキャラメルの殻を壊しそうになった時、殻の中にあるスライダーからパティシエがホッホ〜イと言いながら降りてきた。
パティシエは踊りながらわたしの凝り固まってる脳みそを一度ホワホワになるまでほぐして優しく固めた。
そして脳みそにサラサラの砂糖を振りかけて、固めて、磨くというのを繰り返してピカピカの泥団子みたいにした。
そしたら仕上げにエスプレッソをかけてアフォガードみたいな甘くてじわじわ溶けていく甘い脳を作ってくれた。
デザート脳になったわたしはパティシエとキャラメル色の草原でジャンプしたりキャラメル味のプールに入ったり沢山遊んだ。
すると甘い脳みそが心にまで浸透してわたしの心臓はデザートハートになった。
「食後のデザートと同じくらいみんなスペシャルなんだから君もスペシャルスコッティ、自分を責めないデザートハートで君もスペシャルスコッティ」
と言いながらパティシエは持っていたビスコッティを飛ばしてキャラメルの殻を壊してくれた。
わたしは外に出て夜の曇り空を見上げながら星を探した。
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