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喫茶店めぐりの師範

・Twitter上で、#純喫茶コレクションのタグはミュートしている。#喫茶店めぐり #純喫茶めぐり と同じ意味合いで使っているのだと思うが、難波里奈さんのブログタイトルと同名だから使わないようにしている。
小さな矜持であり、他人とくらべないためのマイルールである。

・私の師範は山之内遼さんと沼田元氣さんだ。

山之内遼さんは私が引き継いだ「純喫茶保存協会」を発足した人で、「47都道府県の純喫茶」の著者。20代の若さで他界している。

純喫茶保存協会は「47都道府県の純喫茶」の著者・山之内遼が2006年に発足した任意団体。純喫茶に関する情報の発信、書籍の出版などを通じて、純喫茶文化の普及と記録の継承を行っていた。

現在の活動会員は筆者・コトリスのみ。純喫茶の魅力を伝えるブログの執筆やメディアへの露出、閉店する喫茶店の後継者探し、SNSを活用した情報発信などで純喫茶文化の発展を支援している。

喫茶店をテーマにした本や雑誌の喫茶店特集は内装やメニューを重視しているものが多く、「昭和レトロ」「古き良き」「琥珀色の店内」等、他の店に置き換えても成立するような手垢のついた言葉で紹介されがちだ。映える写真がメインで文章は添え物のよう。私には物足りなかった。

「47都道府県の純喫茶」は単なる喫茶店案内本ではなく、純喫茶を通じてマスターやママの生き様や店の歴史を記したルポルタージュである。

「47都道府県の純喫茶」のあとがきは世田谷邪宗門で書かれた

・私が関西圏以外の喫茶店に足を運ぶようになったのも、店主とのコミュニケーションを重視して店の歴史を聞くようになったのも山之内さんの影響だ。

話を聞き、写真を撮らせてもらい、ブログにまとめる。ブログだけを読むと私にコミュ力があるように見えるかもしれないが、そもそも駄目なときはブログに書かないからコミュ障な部分が隠れているだけ。

今でも店の人に話しかけるときは生まれたての子鹿のように震えている。挙動不審になってしまう。純喫茶保存協会の看板を守りたいけど、アピールするチャンスをことごとく逃し自分の不甲斐なさに落ち込むことの方が多い。


「夢をみることが私の人生」と書かれた森茉莉直筆の色紙

・本に掲載されている店舗で山之内さんの話を聞く度に心が波打つ。私は山之内さんほど魅力的な人物ではないし、志もない。ハイペースで日本各地のレトロスポットや喫茶店に巡っている人は多いのだけど、山之内さんのように(遠方でも)繰り返し同じ場所に通い、店主と交流している人は少ないと思う。喫茶店を通して、人との関わり方を教えてくれた先達でもある。

『気持ちは、遠く離れた距離も時間も超えることがある』

山之内さんが自身のブログに残した言葉だ。

山之内さんの足跡を辿って旅を続けている。


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