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鬱と喫茶店

新聞社の取材を受ける。

喫茶店の人」に載せた十三の喫茶店「もみの木」の息子さんは某警察署の署長。

警察担当の新聞記者に私の話をしたら記者が興味を持ったらしく、「喫茶店の人」の話を聞きたいとオファーがあった。

阿波座の喫茶古月で2時間ほど話をした。
普段自分の話をすることがほとんどないので奥底から自分の気持ちを引っ張りだすのに苦労した。

最初に「喫茶店に通い出したきっかけ」を聞かれたのだが、
言葉が詰まってうまく答えられない。
本心を話そうとすると、涙が溢れる。
周囲に面倒臭がられるのが嫌で、自分の気持ちを押し殺すようになった。

新聞記者がわざわざ私の話を聞きたいと時間を割いて来てくれているのだから泣きそうになっても正直に伝えようと思った。

2012年、家庭と仕事の悩みが原因でうつ病になり、半年ほど寝たきりで過ごしていた。リハビリのため近所を散歩することからはじめ、徐々に距離を伸ばしていった。

当時住んでいた江坂から十三、淡路、庄内、緑地公園まで歩くのが定番コース。過去パニック発作が起きたことがあったから、電車移動は避けた。まずは歩いていける範囲で、心と身体を慣らしていこうと思った。

「喫茶店の人」に登場する十三の喫茶店は、リハビリ散歩の休憩場所として通っていた。すでに閉店しているが、本に取り上げたことで永遠になったと思う。

無くなってしまったものでも、覚えている人がいる限り永遠に側にある。


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