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展覧会「翻訳できないわたしの言葉」感想

東京都現代美術館で開催されている展覧会に行ってきました。

学生時代に英語や英文学を勉強してきたわたしにとって思うことがあったのでメモとして。

世の中にはひとつの言語で生まれ育った人、複数の言語に囲まれた環境で生きている人、少数言語が身近にある人、手話のように身体で「ことば」を表現する人がいます。
この展覧会は、多様なことばがあるということ、人それぞれの「わたしのことば」を差別したり優劣をつけることなく接する必要性をメッセージとして伝えようとしているように感じました。

わたしは多くの人とコミュニケーションを取れるようになるため、単純な英語への憧れから英語を学習してきたものの、マジョリティの言語に固執する風潮は少数言語にとっては危機になりうるのだということを再認識しました。

特に印象に残った展示はアイヌのルーツを持つマユンキキさんのインスタレーション作品です。

あたたかくやさしい空間。どこか安心するような雰囲気でありながら、アイヌの文化も感じられる部屋。言語は文化とも繋がっていてアイデンティティにもなること、英語を始めとした使用者の多い言語が少数言語を淘汰していくことへの警鐘のように捉えられました。こういった文化の灯火は決して失いたくありません。


わたしにとっての言葉って何だろうと考えましたが、母語として使ってきた日本語はもちろん、勉強してきたことや仕事柄、英語もやはりもうひとつの大切な言葉です。わたしは幸い自分の使う言葉に対してとやかく言われたり蔑視されるようなことはありませんが、それは決して当たり前のことではないと感じました。

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