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19日目:”自由”な運動会

先日の日曜日、スタッフとして行っている保育園の地域の運動会に出てきたけど、すごく良かった。

何が良いって、練習がないぶっつけ本番でみんなが楽しめること。
順位はつくものとつかないものがあって、リレーや綱引きといった足の速さや力が競われるのは3分の1程度。
あとはラジオ体操やジャンケンで勝ったら進めるレクレーション的なもの、幼児さんのおやつを取ってくる競争などがあった。
おもしろいのは競技のど真ん中に集合写真があること。
最後だとさっさと帰ってしまう人がいるから、真ん中に配置してあるらしい。

過疎化が進んだ地域だから人も足りない。
基本は地区で分かれているけど、人数が足りなければ保育園のスタッフや保護者が「空いてる?」とスカウトされる。
私もまさかのリレーに借り出された後遺症で膝の裏がやられている。
そもそも競技に必要な人数がその日の来ている地区の人数より多く設定されているらしく、「はい、集めてきて〜」なんて係の人に言われている場面を見た。むちゃくちゃだ。
だから地区外の人間は、さっきの競技は緑チームだったけど次は赤チームで出場したりする。ゆるさ極まりない。

名簿もないから、実況は全部アドリブだ。
何十年と地域に住み続け、みんなが顔見知りのご近所さんだからこそなせる技。
でも時々、
「はい次は、えーと、〇〇さんちの次男の…1年生になった…△△くん〜!」
「違う違う!◻︎◻︎!!」
などとギャラリーから訂正が入ったりする。ちょっとした脳トレだ。

面白いのはミニミニマラソン。
ミニミニと言いながら、小さくも校庭を二周してからぐるりと校舎周りを走ってくる。
なんだかんだ1キロほどあるのでせめてミニマラソンと言ってほしい。
なぜ最初に二周するのか疑問だったが、競技が始まってすぐわかった。
保育園の園児たちが、力配分もわからず猛烈ダッシュするからだ。
校庭を出たら田舎道とはいえ車道なので、ちびっこたちの力を半減させるためなんだろう。めちゃくちゃ考えられている。
ちなみに先導するのはおっちゃんの原付だ。
見晴らしのいいコースを大きいのも小さいのも駆けていき、数少ない中学生はあっという間に帰ってくる。
その速さに悔しさを滲ませながら、がんばって追いかけてくる小学1年生。
続いて、即おんぶになった我が子を背中に乗せてほぼ7割を走ってきたお父さん。保育園スタッフも続く。
「私も出る!」と駆けていったお母さんが、ゴール直前に我が子を見つけ、抱き上げて颯爽と走っていった。
ベビーカーを押しながら出場したお父さんは大会初だろう。
誰かが帰ってくるたびにギャラリーから拍手が起こる。
その脇で出場しなかったちびっこが砂遊びをして、その隣には途中離脱した子も混じっている。
聞けば「疲れたし○○がやめるって言ったから俺もやめた〜」と。
何とも軽い。それでいい。
最後に走ってきたのは2歳児とお母さん。途中ショートカットもありで、最後まで駆け抜け、ゴール…テープの目の前で止まる。
どうしたらいいかわからなかったらしい。可愛らしい姿に客席から笑いが起こる。
結局お母さんに抱きついて、テープは切らずにゴールした。

運動会って何のためにあるんだろう。
私は足が遅いから、徒競走は好きではなかった。
小学校の頃は応援団もやったし楽しい記憶もあるけど、憂鬱でもあった。
競うことも必要。足の速い子はそこが秀でている部分だから。
だけど入場行進とか、組体操とか、目的は何だったのかな。
保護者を感動させたいがためにやらせるんだったら、もうやめていいんじゃないかな。

それから、ショートカットしても途中離脱しても「ずるい!」なんて文句は出ない。
やりたい競技に、やりたい人が参加しているから。
みんながそれでいいと思っている。
楽しいことが全て。
それだけでいい気がするよ。
いいものに参加したなぁ。


ちなみに、子育て世帯がほぼフル参加した綱引きの間、赤子を含めたチビたちを見ていてくれたのは、保育園のお姉ちゃんたちでした。
競技をしながら遠目から眺めていて、その景色もすごく愛らしかった。
子ども同士のつながりが深い。
縦割り保育っていいな。

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